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『ヨコハマ カルチャーガイド』 -街から生まれるクリエイティブ-

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vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜

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『さくら色 オカンの嫁入り』脚本・赤澤ムックインタビュー

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描きたいのは「女の性(さが)」。原作を活かす舞台ならではのアイデアとは

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ポップと芸術の大爆発 Wiennersインタビュー

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いま最高に斬新で新鮮な「ポップ」を奏でる反逆児たちの所信表明

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『音楽を、やめた人と続けた人』

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第1話:一本の電話からはじまった、とあるバンドのドキュメンタリー

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CINRA MAIL MAGAZINE連載コラム『全裸』

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夏のおすすめアート鑑賞『ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ』

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箱根の名品が横浜美術館に集結。夏休みに足を伸ばしたい展示をレポート

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『クリエイターのヒミツ基地』

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生と死の混交する不思議な世界 Webクリエイター・勅使河原一雅さん

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「フジワラノリ化」論 第13回 スガシカオ サングラスの向こう側

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其の五 まとめ:何故、スガシカオを批判出来ないのか?

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『消えた男の日記』 第三回

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6/17
 投げやっていた携帯電話を洋服の山のなかから探りあて、充電器につないだ。陽の落ちた暗い部屋の隅で不吉な灯台のように赤く光っている。ずいぶんと通電させていなかったので何か報せでもあるかも知れないと構えていたが、着信もEメールも履歴はなかった。  下がらない熱のせいで、飛び込み台の上からプールに引き込まれるようなめまいを感じた。最後に通話料金を払ったのがいつだか定かではないので、もしかすると使えないのかもしれない。と、思った矢先に、携帯電話の着信を知らせる振動が始まった。臓器を素手で触診されているような鈍い痛みを脇腹に感じた。
 画面には「公衆電話」とあるのをじっと見つめていた。庭の溶け出した土を打つよだれのような雨の音。暗い窓の外に貼り付く水滴は一面埋め尽くされた数式のようだ。対価の無いオファーは空気中に溢れている。そしてどうしようもないことに、持ち合わせた天秤はときどき重力を愚弄し、代価を是正する。人の帰った市場はやはり、どこへとなく叫び続けているのだろう。
 夕方に生き物は沈黙してしまった。


6/20
 リハビリに行く。扉のまえで、老人たちの気配が全く無いことに妙な違和感を感じる。処置室に入ると、鼻の奥に黴の臭いがつんとかすめた。看護士は何か記入している手を止め、「こんにちは・・」と言うあいだ、上目遣いにこちらを見やり、片方の唇の端を曲げていた。薄ら笑いのように見えるが、もともとそういう表情の人も世間にはいるのを知っている。椅子から離れて診療台に向かう看護士は肩幅が広く、手と足の動きが厳密には交互ではなく、頭の良いゴリラを思わせた。雨が二進法で網戸をついばんでいる。  「お仕事のほうは順調ですか」「いま休職中で」「そうですか いろいろと大変でしょう」
 処置は遊園地のコーヒーカップのように行き場もなく空回りを続けている。このような不毛な連続運動にはいくつも覚えがある。交通標語をかいたプラカード。教える気のない教育者と学ぶ気のない生徒。治す気のない治療者と治る気のない負傷者。
 「今日は他の患者さんはいらっしゃらないのですね」「・・・そうですね、もしかすると皆さんでどこかへ出掛けられたのかもしれない」
 うつ伏せになった後頭部越しに看護士の唇の端が歪んだのを感じた。蛍光灯が微弱な音を立てている。
「痛みますか」「楽にはなっている気はします」「煉獄っていうのは考えようによっては非常に有用な概念だと思うんです」
  看護士の呼吸が低く聴こえている。砂に潜る海洋生物を想像した。
「そうですか」と言うのを遮るように、突然扉を隔てた廊下でバタンとなにか柔らかくはないが弾力のあるものが倒れる音がして、それは思いの他ながく響いた。診察台のシーツは古い石けんの匂いがした。蛍光灯のチーという音が廊下の音の残響を上回ったくらいに、「おつかれさまでした」と石のように冷たい声で看護士は言った。
 処置室を出ると、廊下は長い羊羹の筒のように静かだった。足音がいやに大きく響くような気がする。口の中が蟻地獄みたいに乾いていたので、「スパイ」と声に出して言ってみた。外は雨で地面がじとじとしている。


6/23
 いまだに熱っぽく、何かを考える夢を見ていることに自覚したそのとき、それは現実で既に実際に目覚めていることに気付く、というのがここ数日の目覚め方だ。
 宇宙というものは脳が作り出したもので、巨大なクリスマスツリーの飾りのひとつに過ぎない。外へ向かう思考。その針の先が尖っていくスピードに脳が追いついていることがまず生命というものの予定外のイベントで、脳そのもののあり方を問う事自体はどうしようもなくアクシデントである。
 もしも地球が球状でなかったならば、広がりを求めつつも隔てる(世帯/国境/リング/収納)という不可解な習性は生まれなかったのではないか。
 そんなことを考えつつ目覚めたのが、今日だ。


6/26
 電話の向こうは、青空が広がっていることを直感で嗅ぎ取ることができた。家畜の鳴き声と蹄に叩かれて舞い上がる砂埃、回転する太陽から炙り出る匂い。
 遠くのラジオのノイズからは男の声が聴こえている。椅子を引き摺る音、ひもがひゅんひゅんと回転している音。
 携帯電話を搾り取るように耳を澄ます。最も近くに息づかいを殺した女がいる。
「もしもし」
 返答がないことだけはわかっている。頭のなか、ターンテーブルが錆びを振りほどきながらゆっくりと回りだすが、そこにレコードは乗っていない。
「もしもし」
 自分の声は、自分の知る自分の声ではない。その文脈の無き句読点のような声は架空の銀行口座に振り込まれ,即座に凍結された。凍結は電話を伝い、電話を持つ手の手首のあたりまで水色に染まった。
 反対の手で、電話を切った。


波多野裕文(People In The Box)

波多野裕文(vocals/guitars),福井健太(bass),山口大吾(drums)による独自の世界観を持つスリーピースバンド。透明感のある純粋な歌声と歌詞の独自な世界観を持つ楽曲センス、うねる様な力強さを持ったベースとしなやかでかつ躍動感のあるドラムが一つの物語を作り上げているかのようなサウンドは唯一無二。スリーピースにもかかわらず、まるで抗うかのような変則的かつ難解な曲構成を持ち、中毒性と没入感を持つ極上のポップミュージックを形成する。また独特な彼らの世界観が吐き出されるかのようなライブパフォーマンスは、数々の大型フェスやワンマンライブでクチコミを中心に話題となり、着実に動員を伸ばし続ける。2009年10月に3rd mini album「Ghost Apple」をリリース、2010年2月17日、1st single「SkyMouth」をリリースし、全国ツアーを行いファイナルSHIBUYA-AXを含む、他会場でチケット完売させた、新世代実力派。

People In The Box オフィシャルサイト

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カール・ハイド展レポート

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