『ヨコハマ カルチャーガイド』 -街から生まれるクリエイティブ-

『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜 -

『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜

白いサングラスに黒い服がトレードマークの姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」。「アートというと難しくて堅苦しいイメージがありますよね。だけど映画ならみんな観てる。そんな映画を使ってみんなをつなぎたい」。そう語る彼らは映像装置まで自ら作り出し、2次元のスクリーンに縛られた映画という表現を3次元の実体に近づけようと試み続けています。姉のユカさん、弟のケンタロウさんは横浜育ち。世界中で活動を行っていながら、今も制作の拠点を横浜に置いています。「東京に比べて情報の量が少ないから集中できるんです」(ユカ)「時間の流れがゆっくりしていますね。歩く人の速度が明らかに遅い(笑)」(ケンタロウ)。今回、2人にゆかりの深い横浜のスポットを案内してもらいました。横浜ならではの魅力的なスポットを巡りつつ、彼らの制作の秘密を垣間みてみましょう。

(取材・テキスト:松本香織 撮影:小林宏彰) 『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜をdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜をlivedoorクリップに追加 『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜をlivedoorクリップに追加

SHIMURABROS.

SHIMURABROS.

http://www.shimurabros.com/

1976年生まれのユカと1979年生まれのケンタロウによる姉弟映像ユニット。横浜を拠点にメディアアートやインスタレーションなどの映像表現活動を行う。新たな映像装置の発明によって既存の枠をこえたイメージの実体化を企てる。その作品はカンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭でも上映されている。『SEKILALA』という作品で、第13回文化庁メディア芸術祭アート部門の優秀賞を受賞。

住所:横浜市中区花咲町2-67 BLROOM
営業日:完全予約制
料金:無料
HP:http://www.blroom.org/

JR桜木町駅から少し歩いた細〜い路地が連なるエリア、花咲町。築数十年、スポーツ用品の倉庫を改装して作ったというBLROOMは、1FがSHIMURABROS.のアトリエ、2FがFECスタジオです。今日はここで2人と待ち合わせ。

等高線が浮き出た白い扉をくぐると、いきなり代表作の『X-RAY TRAIN』が現れました。「本当は6mあるけど、スペースの関係で2mしか展示できないんです(笑)」(ユカ)。中は窓がなく、みんな薄暗い中で作業しています。「映像の場合、光がない状態のほうがプロジェクターやモニターがきれいに映るんです」(ケンタロウ)。2人の着ている服がいつも黒なのも、光を反射しない機能的な色だからなのだとか。

所狭しと並ぶ、不思議な作品の数々。

奥には2FのFECスタジオに上る階段が。お客さんがアトリエを抜けてFECのスタジオに行く造りだと気が散りませんか? 「いろんな方とお会いできて新鮮です。そのつながりから展覧会が決まったりしているんですよ」(ユカ)。タイミングしだいでは、彼らと膝を交じえてアート談義ができるかも。

X-RAY TRAIN
等間隔に置いたスクリーンに、
走ってくる電車を輪切りにして映し出す
独特の作品『X-RAY TRAIN』

2Fにスタジオを構える「FEC」は、2人も制作スタジオとして利用していた「ZAIM」というアートスペースの閉鎖に伴い、東アジアで活躍するアーティストの支援を継続するためにで作られました。スタジオはこの7月にオープンしたばかり。FECの所蔵するコレクションに加え、ゲスト作家の作品が展示されています。このときは、近くにあるレジデンスに滞在していた中国の作家・孫遜(スン・シュン)さんの扇子や、横浜美術館で展示を行ったこともある金氏徹平さんのハンバーガーのタワーが展示されていました。どの作品も個性的で、一風変わったものばかり。オーガナイザーである金島さんの、アートに対する確かな視線が感じられるラインナップになっています。

住所:横浜市中区花咲町2-63
営業時間:11:30〜14:00
定休日:日曜・祝日
電話:045-231-4590

今度は2人が週に1回は行くというご飯処へ。FECスタジオのすぐ近くにある「あぶら屋」という天ぷらのお店です。油の卸を営むご主人が5年前、ランチのみの営業で始めました。「グレードの高い油で揚げてるから、おいしいのは当たり前だよ。天ぷらで難しいのなんて温度だけ」。そんなふうに軽口を飛ばすご主人と2人は、3年ほど前からのおつきあい。おいしい天ぷら屋があるとの噂を聞きつけたケンタロウさんが駆けつけたのが最初です。

ご主人は音楽業界にいたこともあるハマっ子で、おしゃべりと外国からのお客さんが大好き。「だから海外からお客さんが来れば、必ず食べにくるんです」(ユカ)。2人はいつも天丼かB定食(天ぷら盛り合わせ)をオーダーするとか。天ぷらの衣は歯切れがよく、塩だけでも充分おいしい! 確かにコストパフォーマンス抜群です。

住所:横浜市中区野毛町3-128
電話:045-231-9084
営業時間:なし
料金:無料
定休日:なし

お腹がいっぱいになったところで、ちょっとした和みスポットへ向かいます。地元では「亀寺」の名で愛される野毛山水行堂です。FECスタジオからは5分程度の距離。「小さな池に亀が一杯になっていて、みんなサイズが大きいんです」(ユカ)「衝撃的な亀の量(笑)」(ケンタロウ)という事前情報のとおり、そこには日陰で甲羅干ししたり、水面から鼻だけ出していたりと自由気ままな亀たちの姿が。種類もミドリガメ、アカミミガメ、スッポンとさまざまです。「ここは横浜のゆっくりした時間の流れを象徴していますね(笑)」(ユカ)

次のページへ:後半はアートスポット「ヨコハマ創造都市センター(YCC)」「BankART Studio NYK」、そして芝生と海のコントラストが美しい「大さん橋」をご紹介

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