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CINRA MAGAZINE vol.18

インタビュー

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54-71インタビュー with 小林英樹(contrarede)

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インタビュー

まつきあゆむインタビュー

まつきあゆむインタビュー 「新曲の嵐」が巻き起こす、幸せな音楽とまつきあゆむの世界

MUSIC

まつきあゆむインタビュー

毎週月曜日、MySpaceに1曲ずつ新曲が更新されていく、「新曲の嵐」。常に「名曲」を追い求め、書き続けるまつきあゆむが、とうとうセルフタイトルを冠した傑作ミニアルバムをリリースした。アルバムやMySpace、今そこで巻き起こっている嵐について、お話をうかがった。

(インタビュー&テキスト:天野佑衣)

PROFILE

1983年生まれの『初期衝動音楽家』。学生時代から自宅録音を続け、2005年にNOISE McCARTNEY RECORDSのコンピレーションに参加。同年5月にmona recordsよりミニアルバム「自宅録音」、2006年9月にフルアルバム「ディストーション」をリリース。

そして2007年にレーベルをUMA/RESERVOTION RECORDSに移籍。6月には「夕暮れの現代音楽」をリリースし、9月からは「新曲の嵐」と題してmyspaceサイト上で毎週月曜日に新曲を永続的に発表することを表明。今年はアートデザイナー、ギタリストの一般公募を行うなど、革新的な新世代による、新世代のためのアーティストとして、音楽の力により新しい音楽を創ろうとしている。

現在、ライブ活動は、まつきあゆむ(Vo.G.Sampler)梶原英徳(Ba.Cho.)森信行(Dr.Cho.)のスリーピースで行っており、2008年1月より、「名演の嵐」と題したライブイベントをスタートした。

まつきあゆむオフィシャルサイト

音の追求から音楽の追求へ

─まず、このアルバムが生まれた経緯についてお聞きしたいのですが。

まつきあゆむ(以下、まつき):元々アルバムを作ろうという話があったんですけど、当時は色々なことがうまくいっていなくて、全然良い曲ができなかったんです。それで、予定していたレコーディングを全部なくしてしまった。その時に、アルバム制作とか関係なく「新曲の嵐」というのを、心を無にして始めてみようと思って。MySpaceで毎週月曜日に新曲を公開し続けるんです、一生。それが始まってから、全てがうまくいき始めた。

─今回の『まつきあゆむ』は、「新曲の嵐」が大きな鍵を握っているわけですね。

まつき:そうですね。形を変えてはいるものの、全8曲とも新曲の嵐で発表した曲です。あのビートルズでも、アンリリース・テープを聴くとすごい努力してるし、すごい迷ってるの、天才が。でもその過程が見れるのって、すごく感動するじゃない。そういうのも全部むき出しにしていけたらいいなぁというか。そういう音楽の楽しみ方ってすごい俺は好きだから。

─心が折れそうになったりはしないですか?

まつき:そりゃしんどいときはあるよ。もう、眠いわ!って(笑)。だから発想を切り替えるじゃないけど、そういう気持ちを歌にすればいいんだよ。眠くて明日早いのに新曲の嵐の為に曲を録らなきゃいけなくて、「遅刻しちゃうよ、でも俺よく遅刻してるよな」なんて気持ちが“ファイブミニッツモア” (『まつきあゆむ』M-3)になったりね。

─あと5分早く起きればいいのにって?(笑)

まつき:そうそう、その気持ちは嘘じゃないからそれでいいんですよ。愛とか宇宙とか世界とか、普遍的な言葉を使うことってすごい簡単だけど、何の考えも無しに使うと逆に曲が小さくなる。だけど、俺が寝不足で起きれないっていう本当のことを歌った上だったら、そういう普遍的なことも世界に向けられると思うから。新曲の嵐では、狭い世界から広い世界まで全部が同時に存在してる状態を理想にしていて。だから最近は昔みたいに「宅録でやってます」みたいなのはどうでもいい。俺は宇宙の歌や、恋人の歌や、色んな歌を歌ってて、その曲がいいかどうかを聴いてほしいなぁと。

─では、そんな曲が詰まったアルバムの話に戻りますが、ずばり、4作目にしてセルフタイトルにしたのはなぜですか?

まつきあゆむインタビュー

まつき:もう単純に、この8曲を集めたらセルフタイトル以外思い浮かばなかったです。今回は、やってることや伝えたいことに迷いがなくて、今までで一番嘘がないアルバムになったからかもしれないね。伝えたいことがそんなに多くなかったっていうか、一つのことを濃い密度で伝えたかったから、あんまりぶれなかった。

─なるほど。今回は曲中に子供の声が入ってますよね。今までも生活音を取り入れた楽曲が多かったと思うのですが、そういう日常生活と近いところで音楽を鳴らしているのはなぜですか?

まつき:幸せな感じの音楽を作りたいと思って。それで子供を呼んだんだと思う。自分がやりたいことを形にしてみようと思ったときに、合唱したいっていう気持ちはすごい強くて。

─なんで「合唱」なんですか?

まつき:幸せになりたいって欲が出てきたんだと思います。別にそれは音楽で成功している感じの幸せじゃなくて、人間としての「幸せ」ね。そういうことに興味が湧いてきて、そういう音楽をやりたいとき、やっぱり皆で歌って欲しかったりする。Say Yeah!とかそういうことじゃなくて、皆で歌う感じっていうのが今回のアルバムにすごく欲しかった。

─ライブ中のコーラスも増えてますもんね。

まつき:ライブも本当はステージに50人ぐらいメンバーを入れて演奏したくて。それは子供からおじさんとかまでいてもいいし、それが全部まつきあゆむであって、受ける側もまつきあゆむであって、っていう音楽がやりたくて。そういう方向にはっきりシフトチェンジしたのが今年から。

─2008年は変革の年だったんですね。

まつき:意識的に自分で変えた部分もあるし、必然的に運命が変わってしまった部分もある。でも今まで色々背負ってたのをおろして、それで結果こけたとしても、オーケーですって言えるような心構えは出来た。まぁそういう変化があって、できてきた曲が良かったのが一番応援になったかな。たとえ新曲の嵐を始めても、曲が良くなかったら今回のアルバムは出なかったと思う。

─今年とそれ以前では、決定的に違う部分があるんですね。

まつき:でも、それまでにやってきたことも俺は誇りに思ってるし、未だに“煙草を吸うガール”(『自宅録音』収録)とかは俺の中ではすごく大事な曲だから。“煙草を吸うガール”を歌ってる人が“メタモルフォーゼ”(『まつきあゆむ』M-8)も歌えるっていうのは、音楽家としてすごい誇りに思ってる。俺はこれからも変わっていくだろうけど、今、愛に溢れてる感じに変われたことはすごい嬉しいんですよ。

─じゃあ近いうちに50人ライブ、実現させちゃいそうですね。

まつき:もうそれしかやることがないなぁと思って。今年は自分がやりたいことにしか目がいってないから。ライブをするにしても、前はシビアに演奏面に気がいってたりすることが多かったけど、今はどれだけみんなを幸せにできるか。「幸せだと泣きたくなる」っていうのがTHE FLAMING LIPSのCDに書いてあって、その意味をようやく実感できるようになってきた。そういうことにすごい興味がいってるから、音楽をやっていく上で、幸せで泣かせたいじゃないですか。そういう意味で、あながち「ステージに50人あげてライブしたい」って言ってるのは見当はずれなことじゃないと思います。

1/2ページ:名曲を書いてれば何の心配もいらない、その真意とは?

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