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矢内原美邦×伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)対談

矢内原美邦×伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)対談をdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 矢内原美邦×伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)対談をlivedoorクリップに追加 矢内原美邦×伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)対談をlivedoorクリップに追加 (2010/01/17)

バレエでもヒップホップでも何でもテクに精進することこそダンスと思われがちだが、振付家とは、フェイクをきわめることにあきたらずダンスを追う人だ。汎用性の高い身体言語やある種の超絶技巧を奏でながら。そう、日本には伊藤千枝と矢内原美邦がいる。ポストモダンの迷宮を抜けコンポラダンス界を牽引するふたりが、2010年の新作を目前に控え、その思いを語る。対照的な作風の背景にはそれぞれの歴史がある。身をもってダンスの強度を知るふたりが、今、ダンスで伝えたいこととは?

(インタビュー・テキスト:鈴木真子 写真:柏井万作)

profile

矢内原美邦
振付家/劇作家/ニブロール主宰。97年、各分野で活躍するアーティストを集めたパフォーミング・アーツカンパニー「ニブロール」を結成。代表兼振付家としての活動を始める。05 年、吉祥寺シアターのこけら落とし公演を契機に「ミクニヤナイハラプロジェクト」を始動、劇作・演出を手がける。第52回岸田國士戯曲賞最終候補作品となるなど、演劇/ダンスの両分野で高い評価を得ている。 舞台作品を平行してビデオアート作品の制作を始め、off nibroll 名義で映像作家の高橋啓祐とともに活動し、世界各地の美術展に招聘されている。
Nibroll


伊藤千枝
振付家・演出家・ダンサー・珍しいキノコ舞踊団主宰。90年、日本大学芸術学部在学中に珍しいキノコ舞踊団を結成。以降全作品の演出・振付・構成を担当。作品発表のほか、映画、映像作品、演劇への振付、出演、他のアーティストとのコラボレーションなど、その活動は多岐にわたる。03年、フィリップ・ドゥクフレ『IRIS』に演出アシスタントとして参加。03年〜04年、NHK教育番組『ドレミノテレビ』、2007年、映画『めがね』(荻上直子監督)、UA“黄金の緑”などの振付を担当。2005年より桜美林大学の非常勤講師を務める。
珍しいキノコ舞踊団

もう一回「踊っていて楽しいよね」っていう気持ちを純粋にステージにぶつけられないものかなと思って。


矢内原美邦×伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)対談
伊藤千枝

伊藤:キノコは今年でもう実は20周年、え〜っと、8歳のときに作ったカンパニーだから(笑)もう20年経つんですけど。最初は自分が踊るのがすごく好きでこういう踊りが踊りたいとか、自分の踊りたい踊りが世の中に存在しないから自分で作るっていう気持ちで、キノコを作ったんですけど、その後、ダンスで何か表現するということに志向が流れていって、色々とコラボレーションしたりしていたんですね。でも今回は20周年ということもあり、『私が踊るとき』では、もう一回自分が踊ることの喜びというか、踊っていて楽しいよね、っていう気持ちを純粋にステージにぶつけられないものかなと思っています。私が最初に一人で振付をした『フリル(ミニ)』は、そういう気持ちで作ったので、今、それをもう一回やってみたいんです。

矢内原:『フリル(ミニ)』はすごく面白かったです。私、千枝ちゃんが踊るの、すごく好きですよ。

伊藤:ありがとうございます。『私が踊るとき』は、こういう気持ちでこういう音楽でこういう場所ですごく踊りたくなる、というような衝動だけで作っています。えっ、あの名曲で踊るか?(笑)っていような音楽も使って、ローリング・ストーンズも解禁して。普段、お酒飲んで気分がいいときに踊る踊りと、自分が振付して踊るときの踊りってやっぱりちょっと種類が違うらしくて、そこをすり合わせるのがすごく大変だけど、稽古場でもパオ〜!とかフ〜!とか(マイケル風に)、盛り上がっていますね。


生きている間に「死」を表現に変えるとどうなるかなと思って。


矢内原:(笑)すごいね。私は、非常にネガティブです。「あーなったらこうならない」っていうのをあまりポジティブに捉えないで、死に近づいていくみたいな。

伊藤:真反対だね。なんで?

矢内原美邦×伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)対談
矢内原美邦

矢内原:初めはポジティブから入るんですけど、人が生きている時間っていうのがだんだん少なくなってきているっていうとおかしいんですけど、最終的に死に向かうっていうところを、今まで表現したことがなかったのでそれをやってみようと思っています。今年、『あいちトリエンナーレ』があるんですけど、それをダンスだけで先に表現してみようと。暗いです。文章書き過ぎて、ちょっと頭がおかしくなったのかも。その、死っていうのはいつも生きている私たちの中にしかないから、死はネガティブに捉えられるんだけど、でもそこにもポジティブな面はたくさんあって、生きている間に死を表現に変えるとどうなるかなと思って。

伊藤:生まれたときから人は死に向かっているって誰かが言ってた。

矢内原:初めはカラフルだけど、黒一色の世界になっていくっていうか。前に英語で読んだ『ネバーエンディングストーリー』っていう本の中に好きな言葉があって、ちょっともう記憶が薄いですけど、「Why so darkness?」だったかな、物語の始まりはいつも暗い、何もない、blackだったり、blankだったり、darkから始まるというような言葉があっていいなと思ったんです。まだまだ先なので、答えが出てないけど、みんなとまどいながらやってます。

伊藤:再生っていう意味もあるのかな。

矢内原:そこまで行けたらいいけど、あ、死んじゃった、みたいな感じで終わるかもしれない。

伊藤:真っ暗?

矢内原:暗転じゃん、みたいな(笑)?

2/4ページ:千枝ちゃんの場合は楽しいことが踊るエネルギーになるし、私の場合ネクラなので、誰か一人でも見ていると思うともうやりたくない、って。

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