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3.11以降の東京で表現する 悪魔のしるし(危口統之)×サンガツ(小泉篤宏)×小沢康夫

(インタビュー・テキスト:前田愛実 撮影:小林宏彰)(2011/11/17)

浅草は花やしき。閉演後の遊園地を会場に、ジャンルレスのアートイベント『CE QUI ARRIVE –これから起きるかもしれないこと–』が行なわれる。うっすらと不穏な気配を漂わせた意味深なタイトルを前に、観客は何を予感するのだろうか? このたび、イベントを主催する日本パフォーマンス/アート研究所のプロデューサー・小沢康夫と、出演者から悪魔のしるしの危口統之、サンガツの小泉篤宏に登場していただき、本イベントについて語ってもらった。話は「震災以後で東京で表現すること」などにまで及び、アーティストがこれから表現活動をしていくこととはどういうことかを自らに問いかけるような興味深い鼎談となった。パフォーマンス界に風穴を開ける彼らの、意気軒昂とした鼎談をお楽しみ頂きたい。

PROFILE

悪魔のしるし
演出家危口統之を中心に演劇などを企画・上演する集まり。デザイン、建築、編集、ファッションなど様々な分野の専門家をメンバーに持つが、演劇そのものに詳しい人材がいない。これまでの作品に、自主公演『禁煙の害について』(2010年6月、原宿vacant)、F/T公募プログラム『悪魔のしるしのグレートハンティング』(2010年11月、池袋シアターグリーン)、パフォーマンス『搬入プロジェクト』シリーズ(2009年より 東京、横浜、香川県豊島、韓国ナム・ジュン・パイク アートセンター等)など。
akumanoshirushi


サンガツ
20世紀の終わりに東京で結成。これまでに4枚のアルバムを発表。近年は、表向きはバンドの形態をとりながらも、音を使った工作/音を使った組体操のような楽曲に取り組んでいる。また、最新プロジェクト「Catch & Throw」では、"曲ではなく、曲を作るためのプラットフォームを作ること"に焦点をあて、その全ての試みがweb上で公開されている。
サンガツ
Catch and Throw - サンガツ


小沢康夫
プロデューサー、日本パフォーマンス/アート研究所代表。2003年、企画制作会社プリコグ設立。2008年に代表を退き、後進に譲る。同年、日本パフォーマンス/アート研究所を設立。コンテンポラリーダンス、現代美術、現代演劇、メディアアート、音楽など既存のジャンルにこだわることなく、独自の観点でプロデュースする。最近の主な活動として『NJP SUMMER FESTIVAL 21ROOMS』(韓国ナム・ジュン・パイク アートセンター)、『LAFORET SOUND MUSEUM 2011』(ラフォーレミュージアム原宿)、『HARAJUKU PERFORMANCE +×DOMMUNE 』(ラフォーレミュージアム原宿)など。
日本パフォーマンス/アート研究所


それぞれの芸術ジャンルからはみ出した出演者たち


小沢:今回の『CE QUI ARRIVE –これから起きるかもしれないこと–』という企画は1年以上前から、つまり3.11以前からずっと考えていて、浅草の老舗遊園地「花やしき」という場所も参加してもらいたいアーティストも、ずっと僕の中で想定して準備してきました。今回7組のアーティストが集い、閉園後の夜の遊園地のなかを回遊しながら観客はひとつひとつのパフォーマンスに「遭遇する」。当日は何が起こるのか、何に遭遇するか、すべてが未知数です。そういう未知数のアーティストたちが何をしでかしてくれるか、僕自身も大いに楽しみなんです。今日来てもらった危口さんと小泉さんともこの企画のことはずっと話をしてきましたよね。まず鼎談を始めるにあたって、2人の紹介をしましょうか。

僕が最初に悪魔のしるしを見たのは、宮沢賢治『注文の多い料理店』の悪魔のしるし版で、『注文の夥しい料理店』(2008年)という作品です。シアタープロダクツの金森香さんに「ぜひ」と誘われて見ました。その後、『搬入プロジェクト』や、『煙草の害について』を見るなど、活動を追いかけさせてもらっています。一緒に仕事したのは、今年の韓国ナム・ジュン・パイク アートセンターで行なった『搬入プロジェクト』です。悪魔のしるしは、これまでもさまざまなことを行なってきたわけですが、主宰である危口さんは自分たちをどのような集団として位置づけているんですか?

危口統之(悪魔のしるし)
危口統之(悪魔のしるし)

危口:これまでの経歴から話しますと、学生時代から演劇を始めて、卒業後もしばらくはサークル仲間とやっていたんですが、結局それも長続きせず、何もしない期間がありました。しばらくしてシアタープロダクツの金森さんと知り合い、イベント設営のお手伝いなんかをしていたんです。そして一緒に飲んだりしているうちに、「またなんかやれば?」っていうふうに持ちかけられた形で、悪魔のしるしが始まりました。最初は友達どうしでバンドを組むようなノリでしたね。『搬入プロジェクト』のような作品も、ただモノを搬入するだけですから、子どもの思いつきのようなものだと言えますし、そんなに人様からお褒めの言葉を頂けるような作品ではないという自覚はしております(笑)。

小沢:とすると、悪魔のしるしは演劇集団ではない?

危口:わかりません。一番近いのは、「アウトドア好きで、月に1回くらい山に行くような同好会」ですかね(笑)。メンバーはデザイナーさんだったり、建築家だったりと、それぞれ手に職があります。演劇っていろんな要素が必要で、どんなところに力を入れるのかで作品の個性が出てきますから、偏った人間が集まっているのはいいことだと思ってます。




小沢:サンガツの小泉さんと最初に仕事をしたのは、チェルフィッチュの『三月の5日間』という芝居のときですね。2006年の再演時に、作品タイトルの元になったサンガツにライブをしてもらいたいということになり、当時僕が代表をしていたプリコグという会社から依頼をした。小泉さんのバンドはどんな音楽を制作しているのか、改めてお聞きできますか?

小泉:バンドではありますが、「音を使って工作している」といった活動だと言える気がします。あまり「音楽」っぽくないかもしれないですね。

小沢:それは去年出した『5つのコンポジション』という作品以降の特徴ですよね。その前はいわゆるポストロックという範疇に属する楽曲を発表していたように思います。小泉さんとよく話すのは、演劇やダンスの人はたくさん稽古をするのにバンドはあんまりしない、それってどうなんだろうっていうことなんですが。サンガツは直近でライブがなくても、ずっとスタジオで練習をしていますよね。バンドとしてはなかなか珍しいことだと思うんですけど。

小泉:結成からずっと、毎週1回は必ず集まって練習をしていますね。そのせいか、メンバーの入れ替わりが激しいんです。

小沢:ミュージシャンの中には、いつも同じ曲を練習するのは必ずしも良くないって言う人もいるわけですよね。ライブで合わせる緊張感のほうが重要だと。だから小泉さんのような考え方は、珍しいんだと思いますが、どうですか?

小泉:でも、ほんとにインプロヴァイズ(即興演奏)できる人って、ごくわずかだと思うんですよね。それなのに、大概は1回合わせてみて、なんとなくイメージしたものができると「ライブやろっか」っていう感じになる。それが僕はすごくイヤなんですよ。




2/4ページ:これからも東京で表現ができるのか?

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