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MUSIC

言葉に出会ったソングライター Applicat Spectraインタビュー

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作(2012/01/06)

2011年の11月にシングル『セントエルモ』を期間限定で発表し、今年4月に正式なデビューを控えるApplicat Spectra。まだ結成から1年半ほどしか経っていないバンドだが、楽曲のクオリティや詞の世界観がすでに大きな話題を呼んでいる、2012年期待のニューカマーである。話を聞いたバンドの中心人物=ナカノシンイチは、幼少期から何かを作ることが大好きだった職人気質のクリエイターであり、楽曲やプロダクションへのこだわりは相当なもの。そして、そんな彼が期せずして歌うことになり、言葉と向き合うことになった結果、Appicat Spectraの物語は始まったと言っていいだろう。今回はそんな彼らの序章をゆっくりと紐解いてもらった。

Applicat Spectra
2010年8月関西にて結成。ナカノシンイチ(Bass, Vocal, SamplingPad)、ナカオソウ(Guitar)イシカワケンスケ(Guitar, Synthesizer)、ナルハシタイチ(Drums) の4人組。相反する2つの世界を歌いあげるあどけない印象的なボーカルスタイルとエレクトロとギターロックが融合した独特のサウンドがデビュー前より話題となる。PC同期などを一切使わずメンバーが2つずつの楽器を担当して再現する独自のライブスタイルなど何もかもが新しい新世代バンド。
ApplicatSpectra

「自分がここにいます」っていうことが言いたかった


「Apple」「Cat」「Spectacle」「Orchestra」の4つの単語を組み合わせた、Applicat Spectraという不思議な響きを持ったバンドが大阪で結成されたのは2010年の8月。しかし、アップルをトレードマークとするビートルズの精神を受け継いだキャッチーなメロディ、猫の鳴き声のように特徴的なボーカル、そしてギターロックにエレクトロニクスを加えた、文字通りスペクタクルで、オーケストラのような壮大さを感じさせるサウンドがすぐに話題を呼び、2011年8月の結成1周年イベントで、2012年の正式デビューを発表することとなる。ギターとシンセサイザー、ベースとサンプリング・パッドというように、1人が複数の楽器を担当するライブのインパクトも大きく、10月に開催された日本最大級のライブショーケースフェスティバル『MINAMI WHEEL2011』ではデビュー前にも関わらず入場規制が起きるなど、とにかく「鳴り物入りのデビュー」だと言っていいだろう。

「2011年は10年分ぐらい生きた感じですね(笑)」と照れ笑いを浮かべたバンドの中心人物ナカノシンイチは、昔から音楽好きの少年で、中学生のときに親にアコースティック・ギターを買ってもらったことをきっかけに、徐々に音楽にのめり込んでいった。しかし、そのことをナカノは「たまたま」だという。


ナカノシンイチ
ナカノシンイチ

ナカノ:たとえば学校で『ドラゴンボール』のカードが流行ったときは、自分なりのカードを画用紙に書いて作ったりとか、ゲームが流行ったときも自分のゲームを作ってみたりとか、とりあえず、好きなものは真似して作ってみたいっていうのはあったかもしれないです。だから、そのとき親に買ってもらったのがたまたまギターだっただけで、音楽が必ずしも特別だったわけではないと思うんです。

この「たまたま音楽だった」という感覚は、バンドを結成し、デビューが決まった今でも変わりはないという。つまり、ナカノにとっては「何で表現するか」以上に、表現をすることそのものが重要だった。そして、「何でそういうことがしたかったんだろうね?」という質問に対しては、じっくり考えた上で、次のように答えてくれた。

ナカノ:「自分がここにいます」っていうことが言いたかったんだと思うんです。ただ、それを上手く出せてなかったんだと思います。目立ちたくても目立てなかった感じです。

このナカノの発言が、彼の表現の根底に位置するものだということは、話を進めていくうちに徐々にわかってくることになる。

2/3ページ:職人気質のソングライター=ナカノシンイチ

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