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最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

インタビュー・テキスト:金子厚武(2012/09/24)

パソコンを開いて検索をすればあらゆる音楽が聴ける時代に、ジャンルで音楽を語ることはもはやナンセンスだろう。しかし、ジャズ畑出身のミュージシャンに取材をしたときに感じる独特の空気感、視点や切り口の面白さというのは、やはり特別なものがあるように思う。野外フェスの常連ジャズバンドSOIL& "PIMP" SESSIONSの丈青(Piano)、秋田ゴールドマン(Ba)、みどりん(Dr)によるピアノトリオJ.A.Mもまたしかりで、特にバンドの中心人物であり、菊地成孔のDCPRGにも参加する丈青は、いかにもジャズマンらしい、強い個性の持ち主だった。トランペットの巨匠・日野皓正をゲストに迎えた“HE KNOWS”を含み、ジャズに留まらない様々な音楽性が内包された3作目『Jazz Acoustic Machine』で、これまで以上に自らのコアを見せ始めた三人に、バンドの歴史と現在地について、じっくりと語ってもらった。

PROFILE

J.A.M
SOIL&"PIMP"SESSIONS(以下SOIL)のピアノの丈青、ベースの秋田ゴールドマン、ドラムのみどりんの3人によるピアノ・トリオ。都内のジャズ・クラブなどで神出鬼没的に出演、’07年&'08年とFUJI ROCK FESTIVALのField of Heavenに連続出演するなど、SOILと並行して活動中。ノン・ストップで繰り出されるビートの洪水の中を、鍵盤の旋律がめくるめく変化、フィジカルなパワーとトルクの上に、斬新な閃きの連続とダンス・ミュージックとしての高揚感が満ち溢れたパフォーマンスは、ジャズの捉え方に一石を投じる。'08年発売の1stアルバム『Just A Maestro』がロングセラーを記録。続く'10年には2ndアルバム『Just Another Mind』をリリースし、Billboard Japan Music Award 2010で"優秀ジャズアーティスト賞"を受賞。そして'12年3rdアルバムとなる『Jazz Acoustic Machine』を発表した。
J.A.M | piano trio from SOIL & "PIMP" SESSIONS

ピアノトリオは完璧なフォーマット

―J.A.Mのスタートはどのような経緯だったのですか?

丈青:これは自発的ではない形で始まっていてですね。Alfieという老舗のジャズクラブがあって、ソイルでそこに出演したときに、オーナーが「トリオでの演奏も聴いてみたい」という言葉をくれたのがきっかけです。それでやってみたら意外と面白かったということですね。そういうわけで、特に目的とか意図があったわけではないんです。

―ソイルとは異なる、トリオならではの面白味っていうのは、特にどういう部分で感じられていますか?

丈青:ピアノトリオっていうのは元々やりたいと思ってて、ただこの三人でやるっていうのは、オーナーの言葉によって決まったわけなんです。ピアノトリオという編成は、世間一般にはそんなにメジャーではないと思うんですけど、形としてはすごく完璧な形だと思うんですよね。あとはメンバーの組み合わせがマッチするかどうかっていうのが大事で、ソイルが上手く行ってるからJ.A.Mも上手く行くとは限らない。そこはあくまで三人のバランスなんです。

J.A.M

―三人のバランスが良かったから、ここまでやり続けてきているわけですね。では秋田さんは、トリオの魅力をどう感じていますか?

秋田:人数が少ないからより自由ですよね。それが楽しいし、醍醐味なんじゃないかと思います。ただ、それぞれの役割が増えるから、それはすごい大変でもあるんですけど。

―先日大橋トリオさんに取材をしたときも、やっぱり「小編成だと負担は増えるけど、演奏家としては楽しい」ということをおっしゃっていました。

丈青:メンバー以外のジャズマンの方と仕事をするときもありますけど、基本的にトリオ・フォーマットが好きな人は多いですね。

―「役割が増える分楽しい」っていうことなんですか?

丈青:そういう感じは正直ないですね。当然ピアノトリオの場合、ジャッジしたり進行する上でピアノの支配度が高いかもしれないですけど、実際のところたとえばリズムでは、ピアノとドラムがリズミカルに進んでて、ベースがその間にいたり、逆にベースとピアノがリズミカルで、ドラムがステイしたり、みんなで一緒にどっか行っちゃったり、みんなでステイブルにやったり、いろいろ組みやすいんですよね。

秋田:全員どっか行っちゃったときに、戻って来やすいとかもあるかもしれない。

丈青:まあ、ホントにどっか行っちゃうってことはないんだけどね(笑)。ただ、すごく離れたり、すごく近づいたりはあります。あとは2人になったり、1人になったり、とにかく自由度が高いのは確かで、その辺のことも含めて、フォーマットとしては完璧なフォーマットだと思います。

―みどりんさん、ドラマーからの視点ではいかがですか?

みどりん:聞かれると思ってさっきからずっと考えてました(笑)。ドラムって普通、ベースとかピアノみたいな音の伸びっていうか、曲をカラフルにするような音階まではなかなか作れないんです。ただ、ピアノトリオは「ここでこういう伸びをしたい」とか「いろんな音色をもっとやりたい」っていうドラマーの欲求に、すごく合ってるんじゃないかって思います。

丈青:彼の場合歌も歌えるし、絶対音感もあるので、特にメロディーが好きなんでしょうね。

みどりん:あとベース、ピアノ、ドラムっていうのは、室内楽にでもできるし、ロックバンドにもなるっていう、ダイナミクスがたくさん出せるところも魅力なんじゃないかって思います。


2/3ページ:J.A.Mが自然体で生み出す、日本人らしいジャズとは?

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