特集 PR

GOMAインタビュー 失った過去と、歩み始めた新しい人生

GOMAインタビュー 失った過去と、歩み始めた新しい人生

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中慎一郎
2013/01/18
  • 0

リスクがあるにせよやらなあかんと思ったのは、自分がこうやって頑張る姿を見た人たちが、「俺も頑張ろう」って思ってくれるからですね。

―映画をご覧になって、実際にご自身の脳の感覚とリンクするような部分はありましたか?

GOMA:さっきも話した「画像が出てくるけど、それが何だかわからない」っていう、脳損傷の症例パターンのひとつを疑似体験できると思うんですね。実際リハビリの先生が見たときも、「すごく勉強になります」って言ってて。やっぱり、脳の症例のことって話すだけだとなかなか伝わらないから、実際に映画を見て、体験してもらったら、何となく感覚がわかると思うんです。

『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.
『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.

―実際のお医者さんにも参考になるっていうのはすごいですね。

GOMA:リハビリの先生方も、自分自身が脳損傷してるわけではないですからね。

―ご自身の活動自体が、脳損傷の認知を拡大させる役割を担っていることに関して、GOMAさんは以前から意識的だったと思います。しかし、ドキュメンタリー映画を作るということに関してはやはり、葛藤もあったのではないかと思うのですが。

GOMA:やっぱり最初はありましたね。ホントだったら、自分が障害を持ってるなんて人に言いたくないし、そこをオープンにすることで、自分や家族にどういうアクションが返ってくるかもわからないじゃないですか。実際ちょっとずつ障害のことが表に出始めると、普通に話してくれる人がどんどんいなくなって、みんな色眼鏡で接してくるようになったし。

―それでもそれを公にしようと思えたのは、何が力になったんですか?

GOMA:リスクがあるにせよやらなあかんと思ったのは、やっぱり自分がこうやって頑張る姿を見た人たちが、「俺も頑張ろう」って思ってくれるからですね。自分と同じような障害で日々葛藤してる人が手紙をくれたりするんです。その人たちは僕の活動に夢を見てくれてるから、絶対頑張らなあかんって、そういう思いはどんどんでかくなってます。もちろんそれ以外にも、個展(GOMAは事故後に絵を描くようになった)を観に来てくれた人が、ボロボロ泣きながら「俺も頑張る」って握手をしてくれたりとか、そういう瞬間瞬間が積み重なって、「やっぱやらなあかん」って、後押ししてくれたんです。

『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.
『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.

―みんながGOMAさんに勇気づけられたのは、前回のCINRAの記事がもの凄いアクセス数を記録したり、今回の映画が『東京国際映画祭』で観客賞を受賞したことでも証明されていますよね。

GOMA:観客賞という結果は、観てくれた一人一人の人らの応援だと思うんです。そのお陰で、どこかでリスクや不安を感じていた自分の気持ちも吹っ切れたし、これからまだまだたくさんの人に観てもらいたいと思えるようになりました。

GOMA

この空間が僕の新しい思い出になっていく、ここから自分の新しい人生が始まるんだなって思えて。

―映画の中で、特に印象的なシーンはありましたか?

GOMA:ピンポイントでは正直よく覚えてないんですけど、みんなと一緒にあの映画館のスクリーンで観たときに、自分が通ってきた過去の経験とか思い出を、自分もまたみんなと一緒に経験したような感覚になりました。

―真っさらな状態で、もう一度自分の人生を追体験したと。

GOMA:事故からの3年間は、不安を埋めるために過去の写真や映像を見たりしていて、それで自分が前に進んでいる気がしてたんです。でもあのとき、自分の過去をみんなと一緒に観ている現在の自分がいて、スクリーンの中には事故前の自分がいて、この空間が僕の新しい思い出になっていく、ここから自分の新しい人生が始まるんだなって思えて。これから自分が見たり、聞いたり、経験することが、これからの僕を作っていくんだって、すごく思ったんです。

『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.
『フラッシュバックメモリーズ3D』 ©2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.

―それって、GOMAさんにとってもかなり大きな心境の変化ですよね。

GOMA:自分で自分の過去を掘り起こして勉強していくみたいなエネルギーの使い方は、これでもうやらなくていいと思えたのはすごく大きいです。今の自分を認められるようにもなってきて、今の自分の脳でしかできないような、この障害を自分の長所に変えていけるような、そういうもの作りにこれからどんどんチャレンジしていきたいと思ってます。

Page 2
前へ次へ

イベント情報

『フラッシュバックメモリーズ3D』

2013年1月19日より全国順次3D上映
監督:松江哲明
出演:GOMA & The Jungle Rhythm Section
配給:SPOTTED PRODUCTIONS

松江哲明監督、GOMAが登壇する舞台挨拶が決定

1月19日(土)新宿 (1)18:30〜の回上映終了後 (2)20:50〜の回上映開始前
1月20日(日)梅田19:00〜の回上映終了後
1月21日(月)京都19:00〜の回上映終了後
1月22日(月)名古屋18:35の回を予定
1月24日(木)横浜19:00〜の回上映終了後
1月25日(金)博多19:00〜の回上映終了後
1月26日(土)博多19:00〜の回上映終了後(GOMAのみ)
1月27日(日)広島19:00〜の回上映終了後

フラッシュバックメモリーズ公開記念
GOMA個展 記憶展第三章『ひかり』

2013年3月9日(土)〜3月20日(水・祝)
会場:東京都 恵比寿KATA(恵比寿リキッドルーム2F)

2013年4月27日(土)〜5月6日(月・祝)
会場:大阪府 大阪PINE BROOKLYN

フラッシュバックメモリーズ公開記念 ワンマンLIVE
『2nd Life』

2013年4月5日(金)
会場:大阪府 大阪シャングリラ
出演:GOMA&The Jungle Rhythm Section

2013年4月7日(日)
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:GOMA&The Jungle Rhythm Section

プロフィール

GOMA

1973年生まれ。大阪府出身。ディジュリドゥアーティスト、画家。単身で渡豪した、オーストラリアで数々のコンペティションに参加し入賞。 98年アボリジニーの聖地アーネムランドにて開催された「バルンガディジュリドゥコンペティション」では準優勝し、ノンアボリジニープレイヤー として初受賞という快挙を果たす。国内外の大型フェスにも多数参加し、自身の10周年の活動をまとめた映像制作をしていた09年交通事故に遭い高次脳機能障害の症状が後遺しMTBI(軽度外傷性脳損傷)と診断され活動を休止。その後も懸命にリハビリを続け再起不能と言われた事故から苦難を乗り越え2011年6月に静岡で行われた野外フェスティバル「頂」にてシークレットゲスト出演をし、FUJIROCK FESTIVAL’11にて伝説のライブを行い、奇跡の復活を成し遂げた。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

cero“ロープウェー”

「この曲を最初に聞いた時になぜか、じっと佇む飴屋法水さんとメンバーの姿が浮かび上がってきて離れなかった」と語るのは監督を務めた仲原達彦。モノクロの8mmフィルムで撮られた何気ない風景やロープウェーの映像のはずが、なぜか現実離れした幻想的な感覚へと連れていく。昨年末にリリースされ、すでに耳に馴染んだはずの楽曲の世界がさらに広がり深まるような映像世界。(宮原)