特集 PR

「すべてをのみこんで吐き出す」カイブツ木谷友亮インタビュー

「すべてをのみこんで吐き出す」カイブツ木谷友亮インタビュー

インタビュー・テキスト
阿部美香
撮影:永峰拓也 企画協力:アドビシステムズ

漫画家の井上雄彦さんとの仕事で、作品を受け取ってくれるお客さんを直接感じられる幸せと手応えを目の当たりにしたんです。本当に貴重な体験でした。

―もう1つ、この作品で注目したいのがBGM。音楽を高木正勝さんが担当されましたね。

木谷:僕はあまり音楽に詳しいわけではないのですが、「これはいい音楽だな」と思うと、高木さんの音楽であることが多くて。今回の作品は感情表現がかなり繊細なので、高木さんの哀愁と深みがある音楽が合うと思い、ぜひお願いしたかったんです。

―高木さんには、どのようなオーダーを?

木谷:監督へのオーダーと同じですね。それぞれのシーンの感情を大事にしたいと。ただ、これは監督の提案だったんですが、映像の切り替わるスピードが速いので、そこで感情ごとにフレーズをつけるとせわしない。なので、ラストのほうに大きな感情の山を設けて、映像とあまりリンクしすぎない曲にしていただきました。

―高木さんが、スピーディーな映像にゆったりとアコースティックな音楽をつけられたことで、逆に感情が伝わってきたように思います。近年は高木さんご自身も山奥へ引っ越し、アナログな感覚に回帰していますが、今、もの作りの世界では手作りの温かみやアナログの手法が1つの手法として見直されている印象を受けます。木谷さんは、手描きのアニメーションの制作を経験されて改めていかがでしたか?

木谷:今回に限るのかもしれないですが、手描きのアニメーションというのは、手をかければかけるほど良くなるものだなと実感しましたね。いつもの作業だと、やり過ぎず、途中で手を止めたほうが良くなるものが多い。でもアニメーションは、監督がこだわればこだわるほどどんどん良くなっていき、「いつまで続くのだろうこの地獄は」と見ていて思いました。

―手描きということでいうと、木谷さんは、漫画との関わりも多いですよね。『ONE PIECE』や『進撃の巨人』に関する仕事を多数手がけていらっしゃいますし。漫画家の方から影響を受けたりすることもありますか?

木谷:はい。すべての仕事から影響は受けていますが、まだカイブツをはじめる前、2004年にご一緒した井上雄彦さんの『スラムダンク1億冊感謝記念 ファイナルイベント』の仕事は、最後のイベントでファンの喜ぶ顔を直接見ることができました。作品を受け取ってくれる相手を直接感じられる幸せと手応えを目の当たりにした経験が、僕の人生にものすごく影響を与えてくれたと思っています。

―広告の仕事だけに収まらず、木谷さんがあらゆるジャンルの制作に携わっていらっしゃるのも、その経験が影響しているのですか?

木谷:そうですね。だから今、カイブツは、広告もイベント企画もロボットの「クラタス」のお手伝いも……と、ジャンルにこだわらずやっています。視野を広く持ちながら、いろいろな仕事のバランスを上手く取ることで、さらに仕事の幅を広げていけたらいいなと思っています。

―今後、『色を喰うアクマ』のように、吸収した全部を一気にはき出せるような一作を作る手がかりは見つかっていますか?

木谷:今のところはまったく見つかっていないです……。がんばります。

Page 3
前へ

作品情報

『色を喰うアクマ』

2015年8月25日(火)公開
監督:山川裕史(Spoon.)
企画:木谷友亮(カイブツ)
音楽:高木正勝
プロデューサー:石橋健太郎(Spoon.)
企画制作:東急エージェンシー / TOTB カイブツ Spoon.

Adobe Creative Cloud

アドビ社の提供するすべてのクリエイティブ製品(アプリケーション)を利用できる年間契約サービス。 すべての製品はバージョンCC(クリエイティブクラウド)となり、ダウンロードしてインストールできるほか、更新された新機能はオンラインを通じてソフトウェアをアップデートすることで利用可能。さらに、ファイル共有、共同作業、配信に役立つ各種オンラインサービスにもアクセスできる。2013年8月15日より単体製品のみの購入プランが加わり、業務に必要なアプリケーションが限定されている場合には、通常版よりコストを抑えることができる。

プロフィール

木谷友亮(きたに ゆうすけ)

1976年千葉県生まれ。工業高校~大学機械工学科~デザイン専門学校卒業。グラフィック広告の制作会社アドブレーンに入社。電通IC局への出向を経て、2005年独立。2006年株式会社カイブツを設立。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

cero“ロープウェー”

「この曲を最初に聞いた時になぜか、じっと佇む飴屋法水さんとメンバーの姿が浮かび上がってきて離れなかった」と語るのは監督を務めた仲原達彦。モノクロの8mmフィルムで撮られた何気ない風景やロープウェーの映像のはずが、なぜか現実離れした幻想的な感覚へと連れていく。昨年末にリリースされ、すでに耳に馴染んだはずの楽曲の世界がさらに広がり深まるような映像世界。(宮原)