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前田エマ×maegamimami×田中ちえこが語る、女の子のパワー

前田エマ×maegamimami×田中ちえこが語る、女の子のパワー

ISETAN PARK net
インタビュー・テキスト
冨手公嘉
撮影:西田香織 編集:野村由芽、飯嶋藍子

私は自分の表現方法を、まだまだ探している最中なのかもしれない。(前田エマ)

―前田さんはなぜそれが自然だと思われるのでしょう?

前田:私も好きなお洋服や身に付けるものは、今日maegamimamiさんが着ているような花柄みたいな、可愛らしくてガーリーなものが好きです。だけど、小説や映画は複雑でドロドロした作品とか表現が好きなんですよね。

私自身、言動やモデルとして活動しているイメージからか、「のんびりとした性格」とか「丁寧な暮らし」をしていると思われることも多いのですが、全然違いますね。周りの人は分かると思うのですが、かなり大雑把な現実主義な人間。1人の人間のなかにも一言では片付けられない多様な部分があるから、maegamimamiさんが「ノイズ」に影響されるという話は納得がいきます。

前田エマ

maegamimamiのワンピース
maegamimamiのワンピース

―なるほど。街から得た刺激を自分自身の表現に起こしていくうえで、どのように反映していますか?

maegamimami:私は街で見た素敵な女の子や映画館で観た映画、印象に残った言葉、フレーズなどをその都度メモしていて。その時に感じた印象は、すぐに絵に起こさないで持ち帰ります。

自分がハッとした断片を部屋の壁に貼って持ち寄って、「あの時、あの街で見た女の子の表情は、あの映画のこのセリフを言っている気がする」といった具合につじつまがあった瞬間、イラストにしていくんです。そこからはその子の髪色などからイメージして花柄をあしらったり、自分のお気に入りの洋服を着せて描いていることが多いです。

―前田さんはモデル活動もそうですし、ドローイングや詩の朗読会、ナレーションや写真など、いろいろな方法で表現に向き合っています。それはどうしてでしょうか?

前田:いろんなことをしていると言われるけれど、自分のなかではそんな気がしていない。自分が表現したいことを、自分にできる可能な形でやっているだけ。逆に、私はできないことが人よりも多いです。例えば、私は学生時代からドローイングに苦手意識があって……。同級生たちは電車やカフェで気になる人や風景のクロッキーを描いていましたが、私はそれがすごく苦手で、ぜんぜんしっくりこなかった。

そうやってドローイングして日々をメモするよりも、自分の心がときめいた瞬間を写真で撮ったり、スマートフォンのボイスメモに言葉として録音しておくほうが自然だったんですよね。そういうストックのしかたも含め、私は自分の表現方法を、まだまだ探している最中なのかもしれないです。

一言では片付けきれないような人間の感情や表情を信じている。(maegamimami)

―そもそも前田さんとmaegamimamiさんがそれぞれの形で表現に向き合うことになったのには、どのような経緯があったのでしょうか?

前田:私は小さい頃から、その日に自分の身の回りで起こったおもしろいできごとを人に話すのが大好きだったんです。毎日「一人芝居の学芸会」みたいな感じ(笑)。私の話を聞いてくれる友人や優しい親に恵まれていたんですよね。でもその体験から、将来も誰かに「私がかんじた面白いこと、素敵なこと」を伝えていくような仕事をするぞって、幼な心に決意して。そういう、毎日誰かに身振り手振りで独演会をしていた子どものときの感覚が今でも続いている感じがします。

だから絵も文章も写真も、モデルとしての表現も、周囲の人たちに「面白いことを伝える」っていう気持ちの延長で。だから、どんな形式でも変わらない部分が根底にあるんですよね。音楽とか言葉とか芸術に触れて、ふと目の前が開ける瞬間って、みんなあるんじゃないかなと思うのですが、そういうきっかけを作れる人になれたらいいなと思っています。

写真と絵を組み合わせた前田エマの作品
写真と絵を組み合わせた前田エマの作品

写真と絵を組み合わせた前田エマの作品
写真と絵を組み合わせた前田エマの作品

maegamimami:私も子どもの時から誰かに話すこと、伝えることがとても好きでした。絵の表現もいろいろトライしていましたが、今のイラスト表現が「残った」というものに近い気がしていますね。

前田:maegamimamiさんはもう自分の表現を見つけられたということですよね。maegamimamiさんのイラストに出てくる女の子って、「楽しいです、ニコッ!」「悲しいです、ポロリ」みたいにハッキリと感情を出した表情ではなく、「この子は何を考えているんだろう? どんな感情なんだろう?」と思わせる表情をしていて、私はそこが一番好きです。わかりやすい表現がよしとされる感じが世の中全体にあると思うんですけど、そういう表現とmaegamimamiさんが描くものはちょっと違う気がします。

―「ちょっと違う」とは具体的にいうとどういったことでしょう?

前田:たとえば小さい頃読んでいた本や、聴いていた音楽の歌詞などは、理解できないことがいっぱいあったけど、その「わからなさ」を心に抱えたまま過ごした時間って、すごく大切だった気がします。それと似たような感じで、簡単に言葉で言い当てられないものをイラストレーションとして表現に落とし込んでいるところを尊敬しています。

あと、maegamiさんのイラストを見ていると「絵を描くのが楽しくて仕方ないんだろうな~」というワクワクが伝わってきて、嬉しい楽しい気持ちになります。例えば花柄の部分を見ていると、その描き込みの熱量に「きっとこの花柄を描く作業をしている瞬間はルンルンな気持ちなんだろうな~」って想像しています(笑)。

左から:maegamimami、前田エマ、たなかちえこ

maegamimami:嬉しいですね。個人的にはそれぞれの表情に意図はあるんです。でも、描いた女の子が何を考えているか、喜んでいるか悲しんでいるのかは言いたくなくて。私の根本的な考えとして、自分自身になにか大きな影響を及ぼす出来事が起きたときって、表情が硬直すると思うんですよ。

たとえば大切な人を失った瞬間にする表情は、もしかしたら微笑かもしれないじゃないですか。そういう一言では片付けきれないような人間の感情や表情を信じていて。逆に言うと「すぐに伝わってしまう表情」をそこまで信じていないのかもしれないなと思います。

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サイト情報

『ISETAN PARK net』

日本最大級のファッション発信基地である伊勢丹新宿店の「今」と「これから」がわかるウェブメディア。ファッション、アート、音楽、カルチャーなどを切り口に、週ごとに新宿店で繰り広げられるイベント情報を紹介しています。

プロフィール

前田エマ(まえだ えま)

モデル。1992年生まれ。東京造形大学卒業。オーストリアウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中からモデル、エッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、分野にとらわれない活動で注目を集める。

maegamimami(まえがみまみ)

イラストレーター。群馬県出身。女性誌、ウェブ、広告、ブランドとのコラボレーションなどを中心に活動する。また、クッションをはじめとする刺繍作品を展開するアーティスト活動も行なう。女性をモチーフにした作品が主。TBS系連続ドラマ『カルテット』のポスタービジュアルのイラストデザイン及び、主題歌“おとなの掟”(Doughnuts Hole×椎名林檎)のジャケットを制作。初の作品集『maegamimami Grab The Heart』(宝島社)が発売中。

田中ちえこ(たなか ちえこ)

ギャラリスト、アーティスト。新宿眼科画廊ディレクター。現代美術を中心に、写真や映像作品、演劇など、様々なジャンルの展覧会を行っている。ギャラリー名の由来は、「新橋内科画廊」を元にして「目に良い場所」という意味。眼科は併設していない。

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