MYTH & ROID×2BOY×大河臣が団結 日本のピクサーを目指して

コンポーザー / プロデューサーTom-H@ckによるプロジェクト、MYTH & ROIDの1stアルバム『eYe's』が、4月26日にリリースされた。

MYTH & ROIDとは、Tom-H@ckと作詞家hotaruによって作り上げられた壮大な物語を、複数のクリエイターたちがより具体的なアートフォームに落とし込む、その一連の活動の総体である。現在リリースされているMYTH & ROID名義の音源も、彼らが長い年月をかけて完成させようとしている「壮大な物語」のあくまで1ピースであり、それらはやがて、お互いに結びつき合いながら、より大きな作品へと成長していくのだろう。

前回のインタビューで、「日本のピクサーを作りたい」と大きな夢を語ってくれたTom-H@ck。その夢を叶えるためのチームメイトとして選ばれた、気鋭の映像作家・大河臣と、アートディレクター・2BOY、そしてTom-H@ckの三人に、「チームで総合芸術を作ること」について話してもらった。

音楽だけで「人を動かす」とか「世界を変える」ということが、今はもう難しいかなと思っているんです。(Tom-H@ck)

―MYTH & ROIDの最近の作品では、ミュージックビデオの監督を大河さんが、アートディレクターを2BOYさんが担当しています。そもそもTom-H@ckさんは、お二人のどの辺りに魅力を感じたのでしょうか。

Tom-H@ck:MYTH & ROIDは基本的に、僕と作詞家のhotaruが全体的なコンセプトを決めて、それをクリエイティブチームのメンバーに具体的に伝えていくのですが、その最初のコンセプトが、なかなか言葉では説明できないところがあって、他の人と共有するのが難しいんですね。

でも、大河さんも2BOYさんも、僕から映像やアートワークのお願いをすると、僕が思い描いていたイメージに対して「どストライク」のものを出してきてくれたんです。いや、どストライクというより予想を軽く裏切った上に、期待以上のものを出してくれた。だから、一緒にやっていてワクワクするんです。

左から:Tom-H@ck、2BOY、大河臣
左から:Tom-H@ck、2BOY、大河臣

上から:3rdシングル『STYX HELIX』、4thシングル『Paradisus-Paradoxum』、1stアルバム『eYe's』。すべてアートワークを2BOYが、ミュージックビデオを大河が手がけている
上から:3rdシングル『STYX HELIX』、4thシングル『Paradisus-Paradoxum』、1stアルバム『eYe's』。すべてアートワークを2BOYが、ミュージックビデオを大河が手がけている 

大河:Tom-H@ckさんと一緒に仕事をするようになって驚いたのは、作業中にアレンジがどんどん変わっていくこと(笑)。ミュージックビデオを作るときって、最初にデモを聴かせてもらって、大まかな構成を考えてから具体的な映像に落とし込んでいくんですけど、その最中にアレンジがまったく別物になったりするんです。当然ながら、その度に映像も考え直さなきゃならなくて。

Tom-H@ck:すみません(笑)。

左から:2BOY、Tom-H@ck、大河臣
左から:2BOY、Tom-H@ck、大河臣

大河:いや、でも、それがまた刺激になる部分もあるんですよ。たとえば音のなかにノイズっぽい要素がひとつ入ってくるとしたら、「それだったら映像もこういうカットにしたいよな」って思うし。

Tom-H@ck:お互いに刺激し合っている部分は、たくさんありますよね。僕も、映像を見てテンションが上がると、「だったら、こういう音を入れたいな」と思ってしまうし。歌詞の内容も、映像の企画書を見せてもらって、まったく違うものに書き換えるなんてこともあります。

そういう意味では、大河さん、2BOYさんが入ってくれたことで、MYTH & ROIDの活動自体がより流動的になったのかもしれない。それは僕の求めていた形態でもあったんです。

大河が初めて手がけた、MYTH & ROIDのミュージックビデオ

―常々Tom-H@ckさんは、MYTH & ROIDはクリエイティブユニットであって、「いつか最強のチームを組んで日本のピクサーを作りたい」っておっしゃっているじゃないですか(前回のインタビュー:Tom-H@ckが語る、『けいおん!』の大ヒットから会社設立まで)。そもそも、「クリエイティブユニット」という形で、音楽だけではない「総合芸術、総合エンターテイメント」をやろうと思った理由はなんですか?

Tom-H@ck:まず、時代の流れとして、音楽だけで「人を動かす」とか「世界を変える」ということが、今はもう難しいかなと僕は思っているんです。たとえば20年前のように、CDが売れている時代であれば、音楽を聴いて感動し、そこに自分の生活を投影したり、人生そのものが変わったり、ということもあったとは思うんですよね。でも、それが難しくなってしまった。

あと、もともと僕は映画も大好きで、映像周りの制作にも興味があったんです。なので、自分が立ち上げるプロジェクトでは、いろんなクリエイターに力を借りて、「総合芸術」として優れたものを作りたいと思いました。それを、自信と誇りを持って、海外にも発信できるようなプロジェクトにしたい。そういうところから、MYTH & ROIDが始まっています。

Tom-H@ck
Tom-H@ck

―プロジェクトごとにチームを作り変えるのではなく、継続的にやる意味はどこにあるとお考えですか?

Tom-H@ck:たとえば、楽曲提供には大抵「コンペ」というものがあります。複数のコンポーザーから曲を募り、そのなかから「いい」と思ったものを採用するというシステムですね。でも僕は、コンペって、最終手段でしかなくて、その先に本当の芸術はないって思っているんですよ。

僕がクリエイティブを作っていく上で重要だと思っているのは、「その都度、それに適した人を選んで、100点満点を出しましょう」ということではない。チームというのは、うまくいくときもあれば、うまくいかないときももちろんある。だけど、それを経てみんなで成長していき、最終的にものすごい点数を叩き出す、ということを目指したいんです。なので「ずっとやっていく」というのが、MYTH & ROIDにとってひとつの大事なテーマだと思っています。

ふざけたことばかり言ってても、「結局お前、仕事のことしか考えてないじゃん!」っていうくらい真面目な人が好き。(Tom-H@ck)

―チームを継続し、成長させていくためには「相手を全面的に信頼する」ということも、とても大事なことなのでしょうね。「今回、うまくいかなかった。じゃあ、他の適任者を」というのではなく、「次はもっといい結果を出してくれる」と信頼することが。その他に、チームで仕事をする上での秘訣はありますか?

Tom-H@ck:お互いを信頼し合っていて、ほどよい緊張感もあり、なおかつ「仲がいい」というのが、チームとしては最高の状態だと思います。そこで気をつけているのは、「こうしてください」っていうディレクションを、あまり具体的に言わないこと。

アートワーク、ミュージックビデオ、歌詞など、それぞれが自分のフィールドで「いい」と思っているものを出してもらったほうが、最終的に合わせたときにすごいものになる。それも相手をリスペクトし、信頼するということですよね。

大河:チームワークということでいうと、映像では常に監督がフィーチャーされがちで、「監督」って言われて持ち上げられる立場なんですけど、それは違うと僕は思っているんです。

監督は単に「代表者」ということでしかなく、一人でミュージックビデオを作っているわけでは決してない。「これは僕の仕事でもあると同時に、あなたの仕事でもある。なので一緒にいいものを作っていきましょう」というのが僕の考え方です。「はいはい、こっち向いて!」と言って、スタッフに監督のほうを向かせるのではなく、みんなで同じ方向を向いているような仕事がしたいんですよね。

大河臣
大河臣

大河が監督を務めた、Tom-H@ckが所属するもう1組のユニット「OxT」のミュージックビデオ

Tom-H@ck:その話に関連する僕の夢がひとつあるんです。MYTH & ROIDが今後ライブをやることになったら、最後のメンバー紹介のときに、演奏したメンバーだけではなくて、美術担当、照明スタッフ、音響チームとか、クリエイター全員をステージに立たせたい。

最近、ミュージックビデオのエンドロールにスタッフ全員をクレジットする人って増えているけど、それをステージでもやりたいんですよね。「MYTH & ROIDはTom-H@ckの一人プロジェクト」という見え方じゃなくて、クリエイターチームなんだよっていうのを見せたい。

―最近、作家でもコライトという形が増えてきて、「作家1人が作品を作っています」という「作家至上主義的なヒエラルキー」がどんどんなくなっている気がしますよね。作家も、エンジニアも、マニピュレーターも、プロデューサーも、全員がチームのメンバーとして平等というか。

Tom-H@ck:おっしゃる通りだと思います。裏方が表に立つ時代というか。たとえば日本の芸能界って、プロダクションがあってマネージャーがいて、そこにタレントが所属してっていう形態じゃないですか。海外はそうじゃないんですよね。

海外だと、タレントがマネージャー、エージェントを自分で選んで雇い、それぞれが同等の立場として仕事をしている。そういう考え方っていいなと前から思っていたんですよ。もちろん、日本人の習慣や性質にあった方法なのかもしれないけど、そのほうが風通しもよくなるし、新しい信頼関係を構築できる気がします。

Tom-H@ck
Tom-H@ck

―「こういう人となら一緒に仕事をしたい」という理想像はありますか?

Tom-H@ck:ありきたりに聞こえるかもしれないけど、やっぱり自分の仕事に真面目な人。ふざけたことばかり言ってても、「結局お前、仕事のことしか考えてないじゃん!」っていうくらい真面目に取り組んでいる人が好きだし、そういう人と仕事がしたいですね。……2BOYさんは、元々アパレルだったんだよね?

2BOY:そうです。専門学校はデザインだったんですけど、卒業後は洋服屋で働いていて。でも「やっぱりデザインがやりたい! もの作りがしたい!」と気づき、「これからの人生はこれに賭けよう」と思って転職しました。

2BOY
2BOY

2BOY:僕の信念は、「仕事は楽しくやりたい」ということですね。横柄な態度を取ったり、イライラしている素振りを見せたりは、絶対にしないと決めています。もちろん締めるところは締めますが。

アートディレクターって、撮影当日よりもその前後が大変なんですよ。スタッフィングやコンセプト決めなどの準備があり、終わった後は入稿作業が待っていて。当日は、カメラマンもヘアメイクもスタイリストも、自分の信頼しているスタッフがやってくれているので、やることといえば確認作業くらいなんです(笑)。それであれば、現場をいかにハッピーにするかを考えたい。何事も、楽しいに越したことないし。

せっかくある五感を使って楽しんでもらいたいんです。(2BOY)

―さて、最新アルバム『eYe's』の初回限定盤には、これまでのミュージックビデオを収録したBlu-rayが同梱されています。MYTH & ROIDの映像やアートワークは、単体で見たときにアニメのタイアップ曲、いわゆる「アニソン」だと分からないじゃないですか。それってアニソン業界からすると、かなり規格外なことなのでは?

Tom-H@ck:おそらく普通なら、アーティストから企画書を出した段階で、メーカー側が嫌がると思います(笑)。それこそ、アニメのキャラクターの顔がジャケットに出ているほうが、セールスも見込めるので。でも、そういう固定観念を崩したかったんです。

ただし、「固定観念を崩すこと」そのものが目的になると、ちょっと違うと思うんですよ。「アニソンなのに」とかそんなこと関係なく、芸術作品として美しくかっこいいものを作りたいと思ったんですよね。

2BOY:MYTH & ROIDのアートワークを手がけるときにTom-H@ckさんから言われたのは、「iTunesにジャケ写が並んだとき、そこで目立つようにしたい」ということだったんです。そういうところも意識されている方なんだなと思って感銘を受けました。

そこももちろん大事なのですが、子どもの頃、発売日にCDをお店に買いに行って、封を開けるまでワクワクしていた者としては、フィジカルでしかできない表現にもこだわり続けたいんですよね。今の時代だからこそ。

2BOY
2BOY

―フィジカルでしかできない表現とは?

2BOY:フィジカルの場合は「視覚」だけでなく「触覚」でも楽しめると思うんです。MYTH & ROIDでは、毎回紙にこだわっていて。もちろんCDが不況と言われている時代なので、メーカーによっては「ツヤありか、ツヤなしの2種類しかない」なんて言われることもあるんですけど、MYTH & ROIDに関しては、KADOKAWAの担当の方に無理を言ってこだわらせてもらってます(笑)。

今の時代、フィジカルで買ってくれる人は貴重でありがたい存在ですよね。せっかく手にしていただいたなら、少しでも大切にしてほしいし、少しでも楽しんでもらいたい。極端な話、ちゃんと印刷や紙質にこだわったジャケットと、単なるカラーコピーのジャケットでは、受け取り方が全然違うと思うんですよ。ちょっとした指の感触でもいい。せっかくある五感を使って楽しんでもらいたいんです。

MYTH & ROIDは、壮大な小説から楽曲が生まれているので、いつか映画にしたいと思っているんです。(Tom-H@ck)

―ここからは、実際に三人が作った作品について、一つひとつ語ってもらいたいと思います。まず“STYX HELIX”から。

Tom-H@ck:ミュージックビデオでいうと、主人公の外国人女性が、古代遺跡のようなところを走っているシーンがめちゃくちゃ美しくて印象的でした。日本っぽくないですよね。

大河:栃木にある採掘場で撮影したんです。この曲は、『Re:ゼロから始める異世界生活』というライトノベルが原作で、タイムリープがテーマになったファンタジーアニメのエンディングテーマでした。なので、映像もリープものにして、物語の序盤で印象的だった「りんご」も使うなどして、アニメとミュージックビデオのリンク感を大事にしましたね。技術的なことを言えば、“STYX HELIX”は浮遊感のある曲なので、カメラを光軸回転させてその雰囲気を出しているんです。

左から:大河臣、2BOY
左から:大河臣、2BOY

2BOY:ジャケットは、造花と生花を「生と死」のメタファーとして使いました。今思えば、僕が手がけたMYTH & ROIDの作品はすべて「花」がモチーフになっていますね。色味もシアンを多めにして切ない感じにしたのですが、アニメの世界観、ミュージックビデオの世界観ともうまく合わせることができたと思います。ちなみに、ジャケットに写っている腕は、ボーカルのMayuちゃんの腕です。あえて顔を出さない演出。

MYTH & ROID『STYX HELIX』ジャケット
MYTH & ROID『STYX HELIX』ジャケット

―“STYX HELIX”は第1クールのエンディングテーマでしたが、その次のシングルとしてリリースされた“Paradisus-Paradoxum”は、第2クールのオープニングテーマです。

大河:テーマが「侵食」だったので、多重露光を応用した撮影方法を用いました。半分が自然で半分が人間、その境目を曖昧にしていくイメージですね。それと、僕のなかでは「目に見えるもの / 見えないもの」という裏テーマがあったんです。「見えないもの」を捉えるため、まず赤外線を使って人間の体をキャプチャーし、それを3Dオブジェクトにして動かしています。あと、Tom-H@ckさんの演奏シーンも赤外線カメラで撮影しているんですけど、背景の葉っぱが真っ白になるなど、面白い効果を出せました。

Tom-H@ck:実際の撮影は、お花畑での演奏だったじゃないですか。「かわいい感じになるのかな?」と思ってたから(笑)、仕上がりを見てびっくりしました。

2BOY:ジャケットデザインは、前回が腕だけのMayuちゃんだったので、今回は顔のアップ。でもヘッドピースで隠れているという(笑)。花や鳥の羽根などを素材にしたヘッドピースなのですが、固定させるのではなく、その場で取り付けていったので、同じレイアウトでの再現は絶対に二度とできないです。撮影中も羽根の位置がズレたり、花が落ちてきたりして大変だったんですけど、その一回性というか、刹那的なところも曲のイメージに合っているのかなと思ってあえてそうしました。ちなみに花は、生花や布製、それからペットボトルを花びらの形に切り抜いて作った造花もあります。

MYTH & ROID『Paradisus-Paradoxum』ジャケット
MYTH & ROID『Paradisus-Paradoxum』ジャケット

Tom-H@ck:前作が結構売れたから、この曲では予算にも余裕があったんだよね(笑)。

2BOY:そうなんですよ!(笑) 印刷で特色の金を使えたのがすごく嬉しかったです。

『Paradisus-Paradoxum』(手前)のジャケットは、タイトルロゴが金色になっている
『Paradisus-Paradoxum』(手前)のジャケットは、タイトルロゴが金色になっている

―では、アルバム『eYe's』のジャケットと、アルバムからのリード曲“TRAGEDY:ETERNITY”については?

大河:“TRAGEDY:ETERNITY”は、タイアップの作品がない分、hotaruさんとTom-H@ckさんのプロットが、よりしっかりしていたんです。ストーリーやアルバム全体のコンセプトがしっかりあって、それを読んだときにどんなシーンが必要か、具体的な画がすぐ浮かびました。「近未来の世界観だから、ロケじゃないし背景作っちゃおうかな」とか。それを映像に落とし込むという意味ではやりやすかったですね。

Tom-H@ck:撮影のときはグリーンバックで、「これ、大丈夫なのかな」と思っていたら2か月間寝かせられ……。

大河:寝かしてないです!(笑) ずっと2か月間作業してたんです。

Tom-H@ck:このCG一人で作ったんでしょう? ヤバイよこれ(笑)。うしろの風景とか、街並みとか、機械のデザインとか本当にすごい。最初に言ったように、MYTH & ROIDは僕とhotaruでコンセプトを決め、それをもとにしたhotaruによる壮大な小説から楽曲が生まれているんです。なので、いつかそれを映画にしたいと思っているんですけど、この曲の映像を見たときに一歩近づいた気がしましたね。これだったら、日本の最新技術の粋を集めたら、めっちゃすごい映画ができるんじゃないかって。

Tom-H@ck
Tom-H@ck

2BOY:アルバムのジャケットに関しては、これまでのシングルが「花」をモチーフにしていたので、アルバムタイトルと、物語のキーである「義眼」にちなみ、花を使って「目」を表現してみました。プラスティックケースは、なかのトレーが黒になっていて、通常盤は外すと鮮やかな花の写真が現れる。買った人にしか分からない、気づく人しか気づかない、隠し扉のようなドキドキ感を演出したかったんですよね。

MYTH & ROID『eYe's』ジャケット
MYTH & ROID『eYe's』ジャケット

MYTH & ROID『eYe's』。CDトレーの内側にまでこだわりを貫いた
MYTH & ROID『eYe's』。CDトレーの内側にまでこだわりを貫いた

―アルバムのアートワークは、シングルとは違う難しさがありますか?

2BOY:ありますね。だって、これまでのシングルも含めた「顔」になるのがアルバムジャケットですから、どの曲のイメージに寄り添ってもバランスが悪くなるじゃないですか。たとえば、“TRAGEDY:ETERNITY”の映像を見て一瞬、「近未来でいこうかな?」とも思ったけど、いや、それだと他の楽曲のイメージとは合わなくなる。デザインも尖り過ぎていてもダメで、あえて余白を残すというか、削いでいく作業をしていますね。

2BOY
2BOY

2BOY:ブックレットはいたってシンプルで、黒地に白い文字で統一してあります。とはいえフォントにはめちゃくちゃこだわったというか、決めるのに時間がかかりましたね。明朝体かゴシック体か、細字にするか太字にするか……。インダストリアルな曲調に合わせて明朝体にすると、あまりにもハマり過ぎてしまって、MYTH & ROIDの持つモダンな部分、ポップな部分が隠れてしまうと思ったんです。なのであえてゴシック体で外す。ちなみに、日本語はセザンヌというフォントを使用しています。

そうやって、MYTH & ROIDに込めたスタッフ全員の気持ちを、最後にぎゅっと凝縮した形で外に向け発信する「顔」が、僕の手がけるジャケットだと思っています。すごく大切な仕事なんですよね。プレッシャーもハンパないけど(笑)。

―本作『eYe's』をもって「第1章完結」ということですが、今後の展望について最後にお聞かせください。

Tom-H@ck:これ、今言うことじゃないかも知れないけど(笑)、アルバムには心残りがあって……あ、もちろんそれは音楽面ですけどね。それがなにかはあえて言わないけど、だからこそもうすでに気持ちは2ndアルバム、3rdアルバムへと向かっています。

今回のアルバムは、さっきも話したようにものすごく壮大な物語のなかの、ある一部……「義眼師のエピソード」なんです。次は別のエピソードを、少し角度を変えたアプローチで描きたい。そうやって作風を変えていったほうが、作り手としては楽しめますしね。そのときのデザインや映像についてはまた、改めて相談させてください。

2BOY大河:ぜひ!

左から:Tom-H@ck、2BOY、大河臣
左から:Tom-H@ck、2BOY、大河臣

リリース情報
MYTH & ROID
『eYe's』初回限定盤(CD+Blu-ray)

2017年4月26日(水)発売
価格:4,320円(税込)
ZMCZ-11076

[CD]
1. - A beginning -
2. TRAGEDY:ETERNITY
3. Paradisus-Paradoxum
4. STYX HELIX
5. 雪を聴く夜
6. Tough & Alone
7. ANGER/ANGER
8. theater D
9. JINGO JUNGLE -HBB Remix-
10. Crazy Scary Holy Fantasy
11. L.L.L.
12. sunny garden sunday
13. -to the future days
14. - An ending -
[Blu-ray]
1. TRAGEDY:ETERNITY (Music Video)
2. L.L.L. (Music Video)
3. ANGER/ANGER (Music Video)
4. STYX HELIX (Music Video)
5. Paradisus-Paradoxum (Music Video)
6. JINGO JUNGLE (Music Video)

MYTH & ROID
『eYe's』通常盤(CD)

2017年4月26日(水)発売
価格:3,240円(税込)
ZMCZ-11077

1. - A beginning -
2. TRAGEDY:ETERNITY
3. Paradisus-Paradoxum
4. STYX HELIX
5. 雪を聴く夜
6. Tough & Alone
7. ANGER/ANGER
8. theater D
9. JINGO JUNGLE -HBB Remix-
10. Crazy Scary Holy Fantasy
11. L.L.L.
12. sunny garden sunday
13. -to the future days
14. - An ending -

プロフィール
MYTH & ROID
MYTH & ROID (みすあんどろいど)

「MYTH & ROID」はプロデューサー・Tom-H@ckを中心としたコンテンポラリークリエイティブユニット。インターナショナルで本格的なサウンド、鋭角的でキャッチーなメロディー、圧倒的なボーカルパフォーマンスを兼ね備えた気鋭のユニットである。2015年7月、TVアニメ『オーバーロード』EDタイアップ楽曲の1st Single『L.L.L』でメジャーデビュー。iTunesジャンル別ランキングでは同時リリースのOP楽曲と合わせ1位、2位を独占。iTunes総合ランキングでは最高3位を記録。『オーバーロード』のヒットと共に鮮烈なデビューを果たした。2016年に発表した3rd Single『STYX HELIX』4th Single『Paradisus-Paradoxum』は2作続けてiTunes総合チャート1位を記録。ユニット名である「MYTH & ROID」は過去を想起させる「Myth」(神話)と未来を想起させる「Android」を組み合わせた造語。互いのルーツを掛け合わせ新たな世界を切り開きたいという思いで考案された。

2BOY (つぼい)

MILKBOY、AMBUSH® DESIGNでのデザイン業務を経て、現在はアソビシステム株式会社のアートディレクターとして在籍。音楽やファッションを中心に、広告のアートディレクションからグラフィックデザイン、映像の監督までトータルで手掛けており、「不自由の中で最大限の自由」、“0”を“1”に、“1”を“100”に。“0”を“A”にする、をモットーに、フレキシブルなスタンスで活動中。マンガ・音楽・ファッションをこよなく愛するブロンドヘアーがトレードマークのアートディレクター。

大河臣 (おおかわ しん)

映像作家。ミュージックビデオ、ライブ演出映像、CMなどを手がける。代表作に、L'Arc~en~Ciel『25th L'Anniversary LIVE』OPENING FILM、ねごと“アシンメトリ”、THE ORAL CIGARETTES“リコリス”、Mrs. GREEN APPLE“StaRt”、GARNiDELiA“ARiA”、PlayStation®4「A Possibility of SHARE」など。



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