cinra mail-magazine「真裸」 contents
VOL.129
発行日 2007年6月25日 発行数681部
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2007 6/25 (MON)
from cinra
責任の消去=感謝の不在
文:杉浦太一
イタリアントマトの看板落下、牛肉コロッケに豚肉混入、渋谷のスパ爆発と色んな事件が相次いでいますが、どれもこれも代表や関係者の態度に疑問を感じざるをえません。意味不明な逆ギレをしてみたり、事実を認めないであげくの果てに実の息子である部下に記者会見で「本当のことを言いましょうよ」と言われてしまったり、沈黙を決め込んでみたり・・・。

誰よりも社会を見つめ、人々により良いサービスを提供すべき組織のリーダーが、誰よりも社会と乖離し、その責任を消去しようとする保身に憤慨しないわけにはいきません。

しかし冷静に考えてみれば、このあまりに稚拙すぎる対応に疑問を抱きます。そこにはもしかすると、およそ人が背負えないような常軌を逸してしまうプレッシャーがあったり、容疑を認めないでいることによって幸せを維持できる人もたくさんいるのかもしれません。

ただそれ以前に、この傲慢と責任逃れにはやはり徹底的に「感謝」が欠如していると、当たり前のことをもう一度思ってみるのです。共に働く社員や消費者であるお客様への感謝の気持ちを忘れたおごり高ぶりが、判断や人格の異常を引き起こす。ふと我に返って、確認。大なり小なりあれど、根本は意外に近くにあって、人ごとではないのかもしれません。感謝と謝罪の言葉は、いつまで経っても腹の底から言えるようでありたいと思います。
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News Of This Week
MUSIC
HER SPACE HOLIDAYことマーク・ビアンキの新ユニット始動!

HER SPACE HOLIDAYことマーク・ビアンキが新たなユニット「xoxo, panda」を始動し、1stアルバム『THE NEW KID REVIVAL』を8月15日に日本先行発売することが決定した。

HER SPACE HOLIDAYとしてある種の達成感を得たマーク・ビアンキが改めて”うた”に回帰、始動した新ユニットとのことなので、決してただのサイド・プロジェク トではない模様。HER SPACE HOLIDAYで聴く事のできるトラックメイキングは陰を潜め、より力強く、高らかに歌い上げる”うた”と楽曲からなる正真正銘の”歌もの”アルバムに仕 上がっている。


MOVIE
SSFF 2007、25日に開催!

6月25日から7月1日まで、ラフォーレ原宿にて「SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2007」が開催される。

本イベントはアジア最大級のショートフィルムの映画祭で、今年は世界中から応募された2000本以上の作品の中から90本を厳選し、期間中に上映 する。さらに、イベント中にそれらの作品の中からグランプリ作品や各部門の受賞作品を決定し(審査員は下記)、グランプリ作品は次年度のアカデミー賞短編 部門ノミネート候補に選定されるという。
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6月度マンスリーコラム
「リマインダーズ −記録写真の忘形見−」
第四回 『忘形見の原点へ』
文:後藤由美(Reminders Project)
気がつくと、原点を見失っている時が誰にでもよくある。本来の活動の目的が発足の時の気持ちとずれて行く。本来の大切な核の気持が失われて行くのである。折につけ、大切な気持を思い起こさせてくれるのが、写真を通して活動をしていく中で出会う人々だ。

「アチェの紛争下の女性と子どもたち」というフォトキャンペーンをした際、まだ誰もアチェの事を知らなかった頃、人権侵害を国際社会にアピールしようと2001年に取り組んだプロジェクトだったが、ここで始めて、「写真で社会を変える」事など出来るのだろうかと「写真の力」を疑ったものだ。もともと誰も知らない、何が起きているのか伝えられる事もほとんどない、「写真の力」だけでは、人に届かない、と切に思った。

それから2004年、スマトラ島沖大地震と大津波の発生により、アチェは一躍、世界中の人の知られる所になった。メディアだけではない、ありとあらゆる救援活動が世界中から集まり、長く続いた紛争では無視され続けたこの土地に一気に世界の眼が向けられた。
「何かしなければ」と誰もが思ったはずだ。そして、自分には2001年に何も出来なかったという自責の念があった。しかし、何が出来るのか、と言えば、「写真」を使っての活動しかなかった。2001年の取材時に付き合いのあったローカルのNGOも津波一色となっていたが、彼らの助けをかりて、子どもたちと写真を使ったプロジェクトを行った。

多くの人がメディアを通して目にしている事が全てなのか?現地の子どもたちの思いを写真を通して世界の人に伝えよう、という目的だった。子どもたちにはフィルムの入れ方など基本的な操作を教え、あとは「外の世界の人々に伝えたい事」を写真で撮って欲しいとだけ伝えた。1週間後フィルムを受け取り現像してみると、子どもたちの捉えていた瞬間は様々で、想像以上に現実をしっかりと捉えていた。悲しみに眼を背けるのではなく、失ったものを記録し、それを乗り越えようと撮影された彼らの写真は決して上手くはなかったが、経験と実力のある写真家でも撮れない強い思いが宿った写真だった。写真の原点「記録する事の大切さ」と「写真の力」を勇気ある彼らの写真が教えてくれた。

2006年は初めて南アジアのフォトジャーナリズムの世界に触れるきっかけがあった。ネパール初のフェミニストフォトジャーナリストの事を広く伝えるためのリサーチと作品制作をしたのだ。
心底変えたいと思う社会の為に闘いそれを伝える、その精神と活動が絡み合って、写真を使った活動家としての存在がとても勉強になった。「民衆が国を変える」というのはこういう事なのか、と、民と政治の強い繋がりについてまざまざと考えさせられた。「空の下はオープンキャンパスであり、全てが学ぶ対象だと言える。社会は庭であり、そこには沢山の花が咲いている。それを育てるのは我々の役目である」という事を行動で教えてくれた人々。

これだけしかご紹介出来なくて残念だが、奇しくも、アチェもネパールも長く続いた紛争が終止符を打つ形となり、人々によって平和への道が開かれている。それは、まぎれもない、人々の行動が影響し成し得た結果だ。

「写真の力」も「写真で変える社会」も、人々の強い思いと行動が相乗してこそ発揮され実現する。という意味の「写真」を通した「伝える活動」を今後も続けていきたいと思う。

いつかどこかでリマインダーズの活動の中で、この「忘形見」を読んで下さった読者の方と出会う事があったら、そして、リマインダーズというのは「被写体であり、写真家であり、それを見た人々でもある」と、時にふと思い出してもらえたら...、嬉しく思う。

写真:InSIGHT Out!(インサイトアウト)プロジェクトの子どもたち
写真:第一回女性人権活動奨励賞(やより賞)企画写真展「ネパール:途上の旅」写真展のポスターより

※ 写真展の企画、開催等、興味のある方はご連絡下さい。
お問い合わせは後藤由美info@reminders-project.orgまで。

プロフィール
リマインダーズプロジェクト(Reminders Project)は、フォトドキュメンタリープロジェクトのリサーチ、制作、媒体化のコーディネートを主に2000年に発足して以来、「広く伝える」「様々な視点を求める」ことを基本に発表の拠点やスタイル、写真家の国籍などにこだわらず活動しています。

http://www.reminders-project.org (日英)
本日25日、vol.6刊行!。サイトより無料購読申し込み受付中。
尚、mixi http://mixi.jp/view_community.pl?id=2201044
においてフォトジャーナリズム、フォトドキュメンタリー関連の情報を随時発信しています。是非、ご参加下さい。後藤由美info@reminders-project.org

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時事コラム「全裸-zenra-」
No. 129
迷惑なのだろう。
夜、電車の中でアフロヘアーが首をカクカクさせながら深い眠りに入っている。左に倒れれば、剥れだしたメイクを拭き取るかのようにOLさんの頬を撫で、右に倒れれば、飲み会帰りでうなだれた大学生の襟元に縮れ毛をモサッとお邪魔させている。OLさんは時折彼の横っ腹をひじで小突いている。小突かれ勢い良く姿勢を正したかと思えば、そのままの勢いで逆方向へ倒れ、顔の半分をアフロに埋めた大学生がさすがに顔をしかめている。アフロの弊害について真剣に考える機会が無かったが、いろんな場所でアフロって迷惑なのだろう。

渋谷のスパが爆発して、経営側と管理会社と下請け会社のそれぞれが矢印をどこかに向け指差しながら、私たちじゃないんですよに終始する様はお恥ずかしい限りだった。「すみませんでした、でもね、」へのスピード変換は「でもね、」を強めるという謝罪方法の未熟さに、この事故へ至る経緯を勝手に見つけたような気がしてしまう。喫茶店のカウンターでおじさんが自分なりの見解を述べている。「あのスパの事件で謝ってた女社長ってさ、別にスパじゃなくっても良かったって感じがするよな。アパレル失敗したんで流行のスパ始めましたって感じだよ」。おじさん特有の放言だが、一理あるような無いような。こういう事件が起こるとすぐに、「だから言ったじゃん、スパって危ないんじゃないの?」と初めて検証するくせに思い出したかのような注意を促す。十分な管理体制を置く店舗が殆どだというのに、この手の注意から、「危ないぜスパは」と結論を急ぐ。想像に易いが、これって同業者にとっては超迷惑なのだろう。

BONJOVIがBEATLESを超えた。数字上だが、確かな事実としてご記憶願いたい。日本のアルバムランキングで1位を獲得した回数が最も多かったのがBEATLESの3回。BON JOVIの新作が首位を獲得し、彼らにとっての4度目の首位獲得となった。今回も力みの無い楽曲を丁寧に調理してくる。BON JOVIに対するロックファンの見方は「無関心」である。ロックがどうのという気負いは無く、だからこそ単なるポップスと誤認されがちなのだが、ならばBEATLESもその誤認に悩まされていたはず。停止した威光をさらに昇華するくせに現役の分かりやすいスターダムに厳しいのは、その態度がロックだとでも思っているからだろうか。「商業的じゃん」だって。呆れてモノが言えない。数字などどうでもいいとどこかで思うが、かといって周囲の目と数字が全く読めない主観的すぎる観客は、シーンにとってどこかで迷惑なのだろう。

読んだ本が立て続けに真っ黒な装丁だったので、後々になってビックリした。


角田光代「ロック母」・原武史「滝山コミューン1974」・橋本治「このストレスな社会!」。東久留米のマンモス団地で幼少期を過ごした著者が、当時感じた自由と民主主義に対する仄かな猜疑を「団地」という閉鎖されたコミュニティーで揉んでいく様を記した原武史「滝山コミューン1974」は、現在へと引き続く問題提起を至る所に忍ばせ、訝しい読後感に悩まされた。真っ黒といえば、ゴキブリ防止のために部屋の隅にホウ酸ダンゴを置いたのだが、そのケースが真っ黒で、むしろそれがゴキブリに見えて、驚き慄くのだった。何故真っ黒なのだ、何て迷惑なのだろう。
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