さて、合コンというものをしたことがないのである。飲み屋の隣席がそんな感じの団体で「はい!席替え!」と幹事らしき男が声を張り上げては「イエーイ」とレスポンスする他大勢。中にはそんな掛け声にもお構い無しの2人なんてのも早速いて、「ええと」と口ごもるか、「おいおいそこの2人、早いよ〜」とテンションで乗り切るか、幹事はその2人の対応を判断しかねている。
自己紹介、というものがなかなかしにくくなった。自己紹介のフォーマットがあったとすれば大学生の時までで、社会人になると、社会人生活などたかが知れているにも関わらず、その自己紹介を自由に着色されて距離を測られてしまう。就職にあたって初めて関西から出てきた友人は嘆く。「友達を作ろうにも、その新しい友達って何だか最初から距離が定まっているような気がするんだよね。仲良くなっても、仲良くならなくても、その一定の距離は変わらない。こっちで意識して縮めたり離したりしてるつもりなんだけど、それじゃあダメなんだね。振り返ってみれば友達って、あくまでも自然にその距離が縮んだからこそ友達なんじゃないかと」。ふーむ。ピュアな意見で嫌いじゃない。そうかもしれぬ。大学名や社名で距離を測るなんてのは、まだ残っているらしいと感じつつもさすがに旧時代的だが、問題は、互いに色の着いた状態で出会うというのが、もうどこかで距離設定が行われているという感覚じゃないか。要は、「こいつ誰だかよく分かんない友人」に出会いにくくなったという事なのだろう。
自己紹介とは、誰でもよく分かるような貴方の説明を、という事である。「こいつはこんな奴」という把握を最初に持たせておくという、友達作りとして最もインスタントである。3分で出来る、食べられる。合コンに行ったとして、自己紹介を、と言われたら何と答えようかと考える。会社名を言って出身大学を言って趣味を言って、それで大枠を決められちゃうのか。ああイヤだと、小心者は思う。しかし、自己プロモーションとはこの後からなのだろう。それとこれが同じとは思わないが、昨今、「オレって○○な人じゃん?(例:オレって結構マメにメール返信する人じゃん?)」なんていう「知らねーよ、んな事」というアプローチが実利を上げているらしいのであって、ああそうか、彼らは自己紹介という機会自体を適当に処理しているのだろうと想像する。距離を測るではなく、距離を操作できるか否かを楽しめるのだ。ちょっとばかし羨ましい。
どこぞの週刊誌の編集長だったか忘れたが、「1日1人は初対面の人と会うようにしていた」と言っていた。こりゃまあ、ストイックな修行である。合コンでもいいわけである。そこから最も遠くにいるのは「こいつ誰だか分からない友人に出会えなくなった」なんて机上で嘆いている自分のような奴じゃないのか。人付き合いなど自然と分かりにくくなる、そして、そっから面白くなる、という事に気付けていないのである。 |