一大ブームに沸いた中国ヒップホップはいま。若手ラッパーや関係者たちの声を聞く

2017年にヒップホップブームが巻き起こった中国。MCバトル番組『The Rap of China』が半年で25億回の再生回数を達成するほどの大ヒットとなり、それまでアンダーグラウンドなジャンルだったヒップホップが一気に大衆的な存在となったと言われている。

それから4年、中国のヒップホップはいまどうなっているのだろうか? 88risingによって世界に紹介された成都発のヒップホップグループ「HIGHER BROTHERS」のアメリカでの成功も記憶に新しい。若者だけのMCバトル番組や、女性ラッパーにフォーカスした番組なども生まれ、新たな才能が発掘されているという。アイドルグループにもラップ担当がいるのが当たり前になった。

今回は、HIGHER BROTHERSの马思唯(マー・スーウェイ、MaSiWei)、女性アイドルオーディション『青春有你2』にも出演したラッパーの乃万(ナイワン、NINEONE#)、MCバトル番組で2位を獲得した20歳のラッパー等一下就回家(ドンイーシアジウフイジア)、20年近く中国ヒップホップの動向を見続けてきた音楽ディレクターのRabbi(ラビ)、MCバトル番組から誕生したレーベルの関係者の5名にインタビュー。

以前から中国ヒップヒップの動向を追っているライター・小山ひとみが、立場の異なるシーンのプレイヤーたちの声を通して、「中国ヒップホップのいま」を探る。

(写真提供:A Few Good Kids Records)

中学生向け教材にラッパーの楽曲が掲載。中国で「大衆化」したヒップホップ

ここ1年くらいだろうか、中国のリアリティー番組を見ていてある変化に気がついた。ラッパーの出演が一気に増えたのだ。

リアリティー番組といえば、これまではアイドルや俳優が出演者の大半を占めていたが、出産を控えた夫婦の日常を追った番組や、芸能人が新たにグループデビューを目指すオーディション番組などのレギュラー出演者にラッパーが加わった。

また、中国版『紅白歌合戦』と言われる『中央广播电视总台春节联欢晚会』に、昨年初めて中国人ラッパーが出演。同じく昨年、上海の出版社が発行した中学生向けの教材に、中国では初めてラッパーの楽曲が掲載されたこともニュースになった。これらのことからも、中国でヒップホップはすでに大衆化したと言える。

その大衆化の元となるのは、遡ること4年前の通称「ヒップホップ元年」から始まるブームだ。2017年、ブームの火付け役であるオンラインのMCバトル番組『中国有嘻哈(The Rap of China)』が放送されると、半年で25億回の再生回数を達成したという報道もあるほど、中国全土がヒップホップに沸いた。翌年には、中国語タイトルを「中国の新しいラップ」を意味する『中国新说唱』に変え(英語タイトルは変わらず)、シーズン1以上に「チャイニーズ・ラップ」を積極的に世界に発信していこうとする姿勢を見せた。

2020年には、大衆的番組となった『The Rap of China』の他に2つのMCバトル番組が放送され、今年も3つのMCバトル番組が放送された。『The Rap of China』はこれまでのシーズンとは趣を変え、出演者を18歳〜24歳に限り、若手ラッパーの発掘と育成を目的とした内容となった。タイトルは『少年说唱企划(New Generation Hip-Hop Project)』と中国語、英語ともに一新。また、今年は初めて女性だけのMCバトル番組も放送され、女性ラッパーのさらなる活躍を期待させる動きもあった。

中国ヒップホップについては、2018年にこちらで紹介した。その後も、個人的に中国ヒップホップの動きを追い続けてきた。前回、記事を発表してから3年が経ったが、相変わらず中国ヒップホップは勢いを増し、変化を見せながら新たなラップスターを生んでいる。2017年以降の変化や新たな動きなど、中国ヒップホップの関係者に話を聞きたいと思った。

HIGHER BROTHERSメンバーが語る、「いまの中国ヒップホップは発展途上」

日本をはじめ、海外で最も知名度のある中国のラッパーといえば、成都で誕生した4人組ヒップホップグループの「HIGHER BROTHERS」だろう。2017年にリリースされ大ヒットした“Made In China”では、四川省の方言と訛りのある英語のラップで、全世界に「チャイニーズ・ラップ」という新たなジャンルを提示した。HIGHER BROTHERSのメンバーの一人でスポークスマン的ポジションにいるのが、马思唯(マー・スーウェイ、MaSiWei)だ。

マーは、2014年にミックステープの形式で作品を発表してデビュー。2016年にHIGHER BROTHERSを結成。2017年にアルバム『Black Cab』でHIGHER BROTHERSとしてデビューを果たし、同年“Made In China”の大ヒットを機に、2018年にはアメリカツアーを成功させている。そして、2020年には1stソロアルバムをリリース。順調に中国ヒップホップ界で不動の座を手に入れたマーは、いまの中国ヒップホップの状況を「発展途上」と語った。

「2017年から2年くらいは番組の影響もあり、ヒップホップが一気に盛り上がった。そして、ここ2年くらいは、ヒップホップが流行っているからとラップを始める人が増えたこともあって、飽和状態になっていると感じている。ただ、今後はプロフェッショナルとして強力な作品を生み出すラッパーだけが残っていくんじゃないかな。この流れは健全だとは思うよ」

2017年に発表された、HIGHER BROTHERSとシカゴのラッパーFamous Dexのコラボ曲“Made In China”。MVは88risingのアカウントで公開されている

もう一人、20年近く中国ヒップホップの動向を見続けてきた人物で、2015年に設立したレーベル「dopeness」の経営者としてラッパーやDJのマネージメントなどを行なうラビからはこのようなコメントもあった。

「ヒップホップに対する認知度はちょっとずつ上がっているけど、まだシーンの成熟度としては20〜30%程度じゃないかな。ラッパー、消費者、マーケット、このすべてがまだ足りない。もっと多くの人が関与するようになって、競争状態になればさらに発展すると思う」

2017年から数えてもまだ4年。番組が増え、ラッパーの露出が増えているように見えるが、中国の巨大な音楽マーケットから見てもまだ足りないということなのだろう。

ラッパーとして残り続けるために必要なこととして、マーは次のように続ける。

「重要なのは『行動力』だと思う。とにかく自分の作品のアウトプットを続けること。いまは個人が発信主体となる『セルフメディア』が盛んな時代だから、さまざまなプラットフォームやSNSなどで発信できる。人と違う作品を発信すれば、覚えてもらえるしね。例えば、リッチ・ブライアンはいい例だよね」

リッチ・ブライアンは88risingに所属するインドネシア出身のラッパーだ。彼は16歳のとき、YouTubeに自作自演のMVを上げると、一躍時の人となり、いまではアジアを代表するラップスターとして人気を博している。

MCバトル番組でのメンター役も務める。台頭する若手ラッパーへの想い

ただ、アウトプットを続けるだけでは特に人口の多い中国では注目してもらえないし、さらに海外を目指すのであれば「実力、チャンス、運も必要」とマーは口にする。実際、HIGHER BROTHERSもその3つの要素が重なり、海外で成功するに至った。

昨年、マーはMCバトル番組『说唱新世代(Rap for Youth)』に初めてメンター役として登場した。これまでバラエティー番組へのレギュラー出演経験がなかった彼の出演は放送前から話題を呼んでいた。

「長年、ラッパーとして活動してきたけど、経験していない分野にもチャレンジしたいと思ったんだ。若手ラッパーとも知り合いたかったし、自分が経験してきたことをその若手たちにシェアしたいとも思ってた」

実際、番組では、厳しいコメントと共にアドバイスを加え、経験の少ない若手ラッパーに寄り添うマーの親身な指導が印象的だった。

「番組の収録が始まった頃は、自分とはまったく違うテイストのラップを聴いて、正直、これからの収録でみんなとやっていけるのかって心配していたんだ。でも、その後、それぞれの出演者のその人らしいリリックやスタイルを見て、逆に勉強になったんだよね」

『Rap for Youth』の出演者には、ラップを始めて数か月という大学生や会社員を辞めて音楽の道を選んだ人、2人の子供がいるお父さんラッパーなどもいて、『The Rap of China』とは違うバラエティーに富んだラインナップだった。

リリックには、社会問題をテーマにしたもの、亡き母親への想いなど、視聴者の共感を得る身近な内容が多く登場し、いまの若者の「リアル」を見せたことで高視聴率を得た。それは、マーが語る「その人らしいリリックやスタイル」でもあった。

彼は今年、女性のMCバトル番組『黑怕女孩(GIRLS LIKE US)』にもメンターとして出演した。一人のラッパーとしてデビューした後、グループを組んで海外でも認められる存在になったいま、次世代のサポートにも積極的なマー・スーウェイ。来年は3枚目となるソロアルバムのリリースと、コロナの影響がなければ、中国ツアーも予定しているという。

「海外ツアーもできていないから、早く日本にも行きたいね」

マー(MaSiWei)は2021年2月に2作目のスタジオアルバム『Dark Horse』をリリースした

▼マー・スーウェイ(MaSiWei)が日本のリスナーにレコメンドする中国の若手ラッパー

・YOUNG13DBABY“Shanghai”(MVを見る
・thomeboydontkill“Julie”(音源を聴く

『青春有你2』にも出演した乃万(NINEONE#)。「アイドルラッパーだろうがなんだろうが、作品で実力を見せるのみ」

『黑怕女孩(GIRLS LIKE US)』が放送されたことからも、女性ラッパーの活躍に注目が集まっていることがわかる。女性ラッパーのなかでも、1996年生まれの乃万(ナイワン、NINEONE#)の人気は圧倒的と言えるだろう。中国版Twitter「微博(Weibo)」のフォロワー数は約400万。彼女が写真をシェアしたり一言呟くたび、毎回10万以上の「いいね」がつく。

ナイワンといえば、昨年放送されたアイドルオーディション番組『青春有你2(Youth With You 2)』に出演し、決勝戦ではデビュー組にあと一歩及ばず10位で脱落した。2019年には『The Rap of China』にも出演したが、途中脱落という経験を持つ。

彼女がヒップホップに魅了されたのは2016年。ラップをやっていた友人の影響で自らリリックを書き始め、次第にその世界にのめり込んでいった。

「小学生の頃から歌うことと文章を書くことは好きだったんです。自分の内面の想いを文字で表現することに魅了されて、趣味だった物書きが作詞というかたちになりました。私はもともと現実逃避しがちだったんですが、ヒップホップが自分に向き合う勇気をくれたと言えます」

2018年、抖音(TikTok)でオリジナルの楽曲“I don’t wanna see u anymore”がバズリ、ナイワンの名前が一気に知られるようになる。

アンタがいない生活もつまらなくない 本当に
血迷って連絡したり復縁なんてありえない
アンタは私の人生唯一の汚点
私の人生はどんどん輝いていくの
アンタがいなくなってから
なかなか拭えない思い出はgets old
- (NINEONE# “I don’t wanna see u anymore”)

乃万(NINEONE#)“I don’t wanna see u anymore”を聴く(Apple Musicはこちら

女性の共感を呼ぶリリックと、ナイワンのどこか安心感を感じさせる安定した声。「最悪な自分の体験に終止符をつけたくて」このリリックを書いたと語る。また、今年、大学受験を控えた受験生に向け、激励の楽曲を発表したことも記憶に新しい。

終わらない宿題を抱えて家に帰る

say bye bye 夕暮れの運動場
say bye bye 制服に書いた落書き
say bye bye 参考書の山
say bye bye バス停の人混み
we can do it 全身全霊で挑めば より大きな未来に繋がる
- (NINEONE#“We Can Do It”)

乃万(NINEONE#)“We Can Do It”を聴く(Apple Musicはこちら

ナイワン自身、数年前に上海の芸術系の大学を受験し、卒業した経験を持つ。

「リリックを書くときに重視しているのは、『リアルさ』と『ストーリー性』です。自分のリアルとかけ離れた内容を憶測で書くのではなく、自分のストーリー、自分の内面の声を表現しています。聞いてくれた人が共感してくれたとしたら、私は一人じゃないんだって思えるかな」

ナイワンの内面が表現されたリリックに共感する女性ファンは多く、2019年にリリースした1stアルバムは、中国の音楽配信サイト「网易云音乐」の「会員が選ぶベストアルバム」で3位を獲得している。

ヒップホップに触れてから今年で5年目を迎えたナイワン。この5年の間、一番影響があった出来事は、前述したアイドルオーディション番組『Youth With You 2』に参加したことだという。

「半年余りの収録は自分を変えてくれて、私もたくさんのチャレンジをしました。番組はより多くの人に私のことを知ってもらうチャンスになりましたが、私自身はさらに可能性を見出せましたし、自分の足りない部分も知ることができました。本当に忘れられない経験です」

女性のMCバトル番組『黑怕女孩(GIRLS LIKE US)』にゲスト出演したときのパフォーマンス

彼女は2019年にMCバトル番組に出演し、その翌年、アイドルオーディション番組に出演したため、「ラッパーがなんでアイドルオーディション番組に?」「アイドルラッパーじゃん」など、インターネット上では彼女に対するネガティブなコメントも飛び交った。そのことに対しナイワンはこう語る。

「他人にどう思われようが、まったく気にしませんでした。私が気にしていたのは、番組に残り続けられる力があるかどうかということだけでした。アイドルラッパーだろうが、どんなラッパーだろうが、作品で実力を見せるのみです。他人からどう言われようと、私はやるべきことはやっているので」

来年、ナイワンも3枚目のアルバムリリースを予定している。

「私の強みはリリックだと思っているので、聞いてくれる人が私の感情や考え方に共感してくれることが一番嬉しいですね。リリックを書く作業はとても好きなんです」

新作にもまた、彼女の嘘のないリアルな声が詰まっているのだろう。

若手MCバトル番組で頭角を表した20歳のラッパー。「生活感」と「中国文化」を重んじる

今年放送されたMCバトル番組『New Generation Hip-Hop Project』は、前述のとおり『The Rap of China』のタイトルを変えた新シーズンとして、若手ラッパーの発掘と育成を目的とした内容だった。出演者は18歳〜24歳。出演者のラップ歴はさまざまで、実力差もばらばらだった。

この番組で最終的に2位を獲得したのは、ラップ歴3年の20歳のラッパー等一下就回家(ドンイーシアジウフイジア、以下「ドンイーシア」)だ。

古典楽器などを取り入れた中国の民謡のようなメロディーと抑揚を持つ彼のラップを聞いたとき、それまでの中国の人気ラッパーや他の若手出演者にはない新しさを感じた。いわゆるオールドスクールではなく、歌うように語られるラップスタイルだ。メンター役で出演していたラッパーや歌手たちからも高評価を得ていた。

ラップを始めてからはまだ3年というドンイーシアだが、中学生の頃からエレクトロニックなどさまざまなジャンルで音楽制作を行っていた。実際、中国の音楽配信サイトに上がっている彼の楽曲には、ヒップホップ以外のジャンルもある。そして、そのほとんどの作詞作曲を本人が手がけている。

リリックだけでなく作曲も自ら手がけることについてはこう語る。

「ぼく自身、全てを自分で手がけたいという思いが強いんだと思います。音楽が大好きで、自分のオリジナリティーを見せたい、自分のクリエイティブな力を発揮したい、そういう気持ちが強いんでしょうね」

ドンイーシアのリリックに注目してみると、彼が目にしたのであろう光景や感情が反映されているものが多いことに気づく。例えば、“即使是如此渺小的我们(こんなにもちっぽけな僕らだとしても)”はこんな感じだ。

君みたいにもがいている人が大勢いる
静けさを求めたのに無理やり渦に引き込まれた
ヘッドホンをつけてこの場のごちゃごちゃから離れたい
ちっぽけな僕だけが心の中で縮こまっている
……
ルールが嫌いで戸惑いを抱えていた
疲れていないか気にかけてくれるのは家族だけ
- (等一下就回家“即使是如此渺小的我们”)

『New Generation Hip-Hop Project』での“即使是如此渺小的我们”のパフォーマンス

誰もが孤独でちっぽけだけれど、誰もが大事な存在である、ということを語りかけるリリック。ドンイーシアは自身のリリックの特徴について次のように語る。

「自分が実際に経験したこととはかけ離れた内容をリリックにしているラッパーが多いように感じるのですが、僕の場合は『生活感』と言えばいいでしょうか。日常で見聞きしたことを書いています」

また、彼のリリックには「雲」「風」「海水」「星」などの自然の単語も多く見られる。もともと旅行好きのドンイーシア。特に自然の多い場所を訪れるのが好きで、旅先で目にした風景と感情を重ねてリリックにすることもあるという。

そして、「中国の古典楽器などを取り入れた、中国の民謡のようなメロディーと抑揚」については「最近は、若い人のあいだでも、中国文化の要素が入ったものにはまる人が増えていますよね。僕自身、海外のトレンドを追うということだけでなく、自国の文化にも注目すべきと感じているので、作品を通して『中国文化の卓越性』も見せられたらと思っているんです」

『New Generation Hip-Hop Project』でのパフォーマンス

最後に、どうしても気になっていたことがあったので聞いてみた。「等一下就回家」というアーティスト名のことだ。日本語に翻訳すると「もうちょっとで帰る」となる。なぜ、このネーミングにしたのだろう。

「3年前から外にスタジオを借り始めたんです。そのころから、スタジオにこもりっきりで、なかなか家に帰らなかった。母から『いつ帰るの?』とメッセージがあると『もうちょっとで帰る』と答えていたんです。そこから取っています」。

アーティスト名にも彼らしい「生活感」が含まれていた。

一過性のブームでなく文化として持続させるために。番組発レーベルの試み

ナイワンもドンイーシアもそうだが、MCバトル番組に登場する若手ラッパーのリリックには、同世代の聞き手が「共感」するようなリアルで身近な内容が多いように感じていた。それは、若い世代にとって、輸入品だったヒップホップが、すでに当たり前の生活の一部であることの表れなのかもしれない。よりパーソナルなありのままの自分を、自分の言葉で表現する。「デジタル・ネイティブ」ならぬ、「ヒップホップ・ネイティブ」の世代ということなのだろう。

若手ラッパーにフォーカスした『New Generation Hip-Hop Project』や『Rap for Youth』は番組終了後、出演者が所属するレーベルを運営し、活動を長く続けられるようサポートをしている。番組出演者が番組終了後に所属するレーベルが生まれたのは、ここ1年の新たな動きだ。

『New Generation Hip-Hop Project』からは、上位3名をはじめ、出演者8名が番組発のレーベル「BKSTORE」への所属が決まった。「マネージメントと楽曲のライセンスを軸に、作品の制作やリリースなどアーティストたちの今後の活動をサポートしていきます」とレーベル関係者は語る。

レーベルでは、来年以降、ツアーやフェス出演、バラエティー番組のレギュラーなど、ファンたちにより届きやすい方法でアーティストの露出を増やしていくという。そして、新たなファンの獲得にも積極的に動く。ドンイーシアのようにこれまで一人で地道に音楽制作をしてきた若者にとって、より多くの人に作品を届けるためには、このようなサポートは必須だろう。ヒップホップを一過性の流行で終わらせるのでなく、カルチャーとしてより根付かせるための新たな動きがあることを感じる。

2017年に『The Rap Of China』がスタートする前は、マー・スーウェイをはじめ、アメリカのヒップホップに魅了された人たちが集まり、中国各地で小さなレーベルを立ち上げて活動していた。アンダーグラウンドで活動していた人々の存在が知られるようになったのは、紛れもなくMCバトル番組によってだ。

この4年でラッパーたちはさらに知名度を上げ、バラエティーにも出演するようになった。「チャイニーズ・ヒップホップ」をより海外に知らしめるような、第二のHIGHER BROTHERSは今後出てくるのか? 若手ラッパーを育て、良い環境を作ろうとする動きが出ていることに希望を持ち、今後もシーンを追っていきたい。



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