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ドレイク、サニーデイ、callmeらの「プレイリスト」を使う新表現

ドレイク、サニーデイ、callmeらの「プレイリスト」を使う新表現

callme『Please callme! -20152018-』
テキスト
柴那典
編集:矢島由佳子
2018/07/05

日本でも「プレイリスト」を使った新たな表現が生まれている

日本でも、この意図を汲んだ表現を行っているアーティストが登場している。たとえば小袋成彬はデビューアルバム『分離派の夏』の発表に先駆けて、Apple Musicでプレイリスト『分離派の冬』を公開。テーマは「自身の音楽人生を彩ってきた楽曲」で、RadioheadやThe Flaming Lipsなどに加え、かつての所属ユニットN.O.R.K.の楽曲や宇多田ヒカルとのコラボ“ともだち with 小袋成彬”も収録されていた。アルバム『分離派の夏』も自身の半生をテーマにした一枚なので、両者は同じモチーフをそれぞれ別のやり方で表現したものと位置付けられる。

サニーデイ・サービスのやっていることも刺激的だ。今年3月にアルバム『the CITY』を発表した彼らは、5月からリミックスアルバムの制作過程をリアルタイムで更新しシェアしていくプロジェクトをスタート。それをプレイリスト『the SEA』と名付けた。6月26日に完成した『the SEA』の全18曲はKASHIFやCRZKNYなど多彩な面々がアルバム『the CITY』の収録曲を解体しゼロから再構築したもの。ここにもやはりクローズドな「アルバム」とオープンな「プレイリスト」の対称性がある。

7月4日には、クリエイティブユニット・callmeが「プレイリストアルバム」と銘打った『Please call me! - 20152018- 』を発表する。2015年3月にシングル『To shine』でデビューを果たし、「完全セルフプロデュース」をコンセプトにRUUNA、KOUMI、MIMORIの3人のメンバー自身が作詞、作曲、振り付けなどを行ってきたcallme。同作にはこれまでの3年間に発表してきた『Who is callme?』『This is callme』という2枚のアルバム、そして6枚のシングルからセレクトされた楽曲が収録されている。

callmeが提示する「プレイリストアルバム」とは何か? プレス向けの資料には「限りなくベストに近いプレイリスト・アルバム」とある。正直、これだけでは単なる言葉遊び、ストリーミング配信の時代における「ベスト盤」の言い換えにしかすぎない、と思える。しかし、『Please call me! - 20152018-』のリリースに合わせて公開されたSpotify上のプレイリスト『callme Maybe ~遊びに行こうよ~』と合わせて聴くと、すごく興味深いことが伝わってくる。

callme『Please call me! - 20152018- 』(Apple Musicはこちらから

callme
callme

「プレイリスト」は、自らの「文脈」を正しく発信できる場となる

メンバー自身のキュレーションによるこのプレイリストには、PRETTYMUCH“Would You Mind”、イジー・ビズ“White Tiger”、チート・コーズ“No Promises feat. Demi Lovato”など、2017年から2018年にかけてのグローバルなシーンを賑わせているポップソングが選曲されている。そこにcallmeの楽曲が挟まれる形で並んでいる。

これを聴いていると、callmeのアルバムだけを聴くだけでは気付きにくいサウンドの「文脈」が見えてくる。それはたとえばブルーノ・マーズが象徴するような、ニュージャックスウィングやネオソウルから連なる2010年代後半のR&Bシーン。たとえばThe Chainsmokersが象徴するような、EDM以降トロピカルハウスを経てU2やColdplay的なエモーションに接続しつつあるエレクトロポップのシーン。そのあたりの動きがcallmeのトラックメイキングの参照軸にあることが伝わってくる。

そしてプレイリストのなかで最も多くフィーチャーされているのがケラーニ。昨年にリリースしたデビューアルバム『SweetSexySavage』をヒットさせた新世代R&Bシンガーだ。もともとグループPoplyfeのシンガーとして人気番組『America's Got Talent』で見出され、グループを離れた後にソロで頭角を現した彼女も「文脈」を巧みに示すことで評価を集めてきたアーティストである。エイコンのヒット曲“Don't Matter”を引用しボブ・マーリーをサンプリングした代表曲“Undercover”が象徴的だ。

そして、そういうところから、この「プレイリストアルバム」の裏側にある意図が伝わってくる。そもそもcallmeは、仙台発のガールズユニットDorothy Little Happyの派生ユニットとしてスタートしたグループだ。つまり今回の企画自体にも、彼女たちの出自が示す「2010年代の女性アイドルシーン」という文脈を切り離し、海外のポップミュージックとの同時代性という文脈を新たに付与する狙いが読みとけるわけである。

従来の音楽シーンにおいては、そういうことをするのはプロデューサーやトラックメイカー、DJの仕事だった。しかしストリーミングサービスが普及しプレイリスト文化が勃興していることで、メンバー自身も選曲で「文脈を示す」ということが可能になっている。「プレイリスト」という枠から新しい表現や発信の可能性が生まれている。とても興味深い。

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リリース情報

『Please callme! -20152018-』
callme
『Please callme! -20152018-』

2018年7月4日(水)配信
※イベント会場限定盤は2018年7月18日(水)より発売
1. Confession
2. In my dream
3. I’m alone
4. Way I am
5. Hello No Buddy
6. Precious
7. Sing along
8. My affection
9. All I need
10. It’s own way
11. Hello No Buddy(Aiobahn remix)
12. I’m alone(有機酸 remix)
13. In my dream(Chocoholic remix)

  • AppleMusicで聴く
  • プロフィール

    callme
    callme(こーるみー)

    RUUNA、MIMORI、KOUMIの3人組ガールズポップユニット。作詞作曲、ダンス振付、英語など、それぞれの得意分野を活かし楽曲やパフォーマンスをセルフプロデュースするクリエイティブユニットとして活躍。リーダーのRUUNA、ダンスを得意とするKOUMI、作曲を得意とするMIMORIの3人が一体となったクオリティーの高いダンスと、鬼才トラックメーカーRumb(残響レコードからアルバムをリリース)とコラボレーションする楽曲の創造性溢れるパフォーマンスが魅力。海外からの注目も高く、2018年7月8日にはフランスで行われる『Japan Expo』への出演が決定している。

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