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グレタ・ガーウィグら、女性監督たちの物語が共感を呼ぶ理由

グレタ・ガーウィグら、女性監督たちの物語が共感を呼ぶ理由

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018』
テキスト
羽佐田瑶子
編集:久野剛士

コンペ10作品中4作が女性監督作! 『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』

2018年7月におこなわれる『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』でも、「国際コンペティション」にノミネートした10作品中4作品が女性監督作品と、彼女らの躍進を感じる結果となった。この映画祭は『第67回カンヌ国際映画祭』のパルムドールを受賞した『雪の轍』(2014年)のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督を選出するなど、若手クリエイターを多く排出。今回は過去最多の世界98カ国656本の応募があった。

ノミネート作品に共通するのは、少女から大人まで年齢の幅はあるが、主人公が女性であること。そして、心理描写に重きを置いている点だ。デンマークの新鋭ビアギッテ・スターモス監督の『ダーリンの憂い』は、世界的なバレリーナである主人公が怪我をきっかけに落ちぶれていく様と、彼女の葛藤を描く。本映画祭のプログラミング・ディレクターは「何度も描かれてきたバレエという題材を、パフォーマンスではなく主人公の生き様にフォーカスしている点が現代的なテーマを持っている」と評価する。

ビアギッテ・スターモス監督『ダーリンの憂い』場面写真 / ©Zentropa
ビアギッテ・スターモス監督『ダーリンの憂い』場面写真 / ©Zentropa

クリスティーナ・チョウ監督の『ナンシー』も、嘘をつくことでしかコミュニケーションのとれない不器用な主人公の心情を丁寧に描き出し、『サンダンス映画祭』で「脚本賞」を受賞。対してアウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル監督の『ザ・スワン』は、言葉ではなくアイスランドの広大な情景の美しさを心情とシンクロさせることで内面を表現した。

クリスティーナ・チョウ監督『ナンシー』場面写真
クリスティーナ・チョウ監督『ナンシー』場面写真

アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル監督『ザ・スワン』場面写真
アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル監督『ザ・スワン』場面写真

さらに同コンペには、日本人である中川奈月監督の『彼女はひとり』もノミネート。自殺未遂を経験した主人公が幼馴染の同級生の秘密を握り脅迫を続ける作品で、たった60分に濃密な感情の起伏が込められている。黒沢清監督や深田晃司監督などとタッグを組む、日本の女性カメラマン第一人者である芦澤明子を起用した点も物語を力強くしている一因だろう。

中川奈月監督『彼女はひとり』場面写真 / ©彼女はひとり
中川奈月監督『彼女はひとり』場面写真 / ©彼女はひとり

正解と不正解、答えを出せないものが人生には多く存在する。家族、恋愛、友情、仕事……迷いながらも光の射すほうへ向かおうとする、女性監督たちの想いが込められた「自分が生きる映画」はこれからさらに評価されるだろう。いまは時代の転換期をわかりやすく表現するために「女性監督」と言うが、そうした性別の冠も消え去り、こうした作品が多く生み出される未来が来ることをこれから楽しみにしたい。

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』メインビジュアル
『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』メインビジュアル(サイトを見る

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イベント情報

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018』
『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018』

2018年7月13日(金)~7月22日(日)
会場:埼玉県 川口 SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール、MOVIX川口
上映作品:
『君がまた走り出すとき』(監督:中泉裕矢)
『ダーリンの憂い』(監督:ビアギッテ・スターモス)
『ブリス、マイ・スウィート・ホーム』(監督:ナウルズ・パギドポン)
『最後の息子』(監督:シン・ドンソク)
『ザ・ラスト・スーツ(仮題)』(監督:パブロ・ソラルス)
『スポットライト』(監督:キリル・プレトニョフ)
『ナンシー』(監督:クリスティーナ・チョウ)
『彼女はひとり』(監督:中川奈月)
『ザ・スワン』(監督:アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル)
『あの木が邪魔で』(監督:ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン)
『招かれざる者』(監督:エドン・リズヴァノリ)
『あの群青の向こうへ』(監督:廣賢一郎)
『キュクロプス』(監督:大庭功睦)
『情操家族』(監督:竹林宏之)
『岬の兄妹』(監督:片山慎三)
『Birth―おどるいのち―』(監督:若見ありさ、池田爆発郎、大橋弘典)
『ヴィニルと鳥』(監督:横田光亮)
『予定は未定』(監督:磯部鉄平)
『口と拳』(監督:溝口道勇)
『凪』(監督:川野邉修一)
『あいつは、いつも寝てる。』(監督:樽井隆広)
『はりこみ』(監督:板垣雄亮)
『東京彗星』(監督:洞内広樹)
『ふっかつのじゅもん』(監督:白井太郎)
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(監督:石井祐也)
『22年目の告白―私が殺人犯です―』(監督:入江悠)
『横道世之介』(監督:沖田修一)
『犬猿』(監督:吉田恵輔)
『A.K.ドキュメント黒澤明』(監督:クリス・マルケル)
『映画が時代を写す時―侯孝賢とエドワード・ヤン』(監督:是枝裕和)
『ドキュメンタリー:映画監督ミヒャエル・ハネケ』(監督:イブ・モンマユール)
『怪盗グルーの月泥棒』(監督:ピエール・コフィン、クリス・ルノー)
『怪盗グルーのミニオン危機一発』(監督:ピエール・コフィン、クリス・ルノー)
『怪盗グルーのミニオン大脱走』(監督:カイル・バルダ、ピエール・コフィン)
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