
2015年に上演された村川拓也の二作目となるダンスを扱った舞台作品『終わり』。今回の作品は同作品を新たに作り直した、フルバージョンの新作。
これはダンス作品なのかどうか分からない。ただ私が一緒に作品を作りたいと思った二人がたまたまダンサーだった。だからダンス作品を作るというのは後付けであって、本当に大事な事は「~作品」の前にある。いつもそこからしか作品なんて生まれない。(村川拓也)
二人のダンサー、倉田翠と松尾恵美。彼女達は学生時代から現在に至るまで、共にダンス作品を作ってきた。今回、演出の村川は彼女達がかつて踊った振り付けに着目し、膨大な過去の振り付けの中からいくつかの振り付けを選び取り、現在の彼女達に踊らせる。昔話を語りだす時のようにかつての振り付けを踊る時、彼女達自身の記憶も同時に蘇ることになるだろう。また、時の流れは物質的な変化を与え、体力や運動能力の劣化を意識せざるを得ない。過去の振り付けに踊らされる現在の彼女達は、葛藤や矛盾、苛立の渦に巻き込まれながらも、その感情が起爆剤となり自らの踊る意思を獲得するだろう。同時に、かつての自分達の踊りにさよならを言い続ける行為となるのかもしれない。それは、今が今まさに終わっていく終着の起点としての現在時を想起させる試みに繋がるのかもしれない。(STスポットウェブサイトより)