「生誕150年 黒田清輝展」開催記念企画トークレクチャーシリーズ、黒田清輝のABCの第2回目は、山田五郎さんと本展キュレーターの松嶋雅人さんとともに、黒田を語る際に必ずと言っていいほど使われる「洋画の父」という既存のイメージを改めて考え、黒田の素顔に接近します。
生涯、作品と教育、議員活動を通じ、西洋絵画の技術やテーマ、そして西洋の美術思想の普及と定着を声を大に推し進め、日本の美術を世界レベルに押し上げようと尽力した黒田清輝。山田五郎さんは、そんな黒田を洋画の父と称される反面、ヒールな一面があると言います。確かに黒田は西洋絵画の技術や思想を取り入れることで、日本の美術の表現に幅を持たせたと言えるでしょう。しかし、黒田の考えややり方に葛藤を強いられた者、疑問を呈する者、拒絶する者、または陰で涙を飲んだ者もいたようです。
では、黒田清輝は一体何を変えようとしたのか。そして、黒田の登場によって何が変わったのでしょうか。
今回は、山田さん、松嶋さんとともに、黒田清輝の画業の原動力と本質に迫ることで、彼が洋画の父と呼ばれる所以を探るとともに、黒田の仕事が日本の文化に与えた影響の良い面/悪い面を考えていきます。はたして、黒田はヒールなのか!?
また、急速にグローバル化が進む中でも、今もなお続く、日本と西洋という二項対立的考え方の要因を、近代化を目の当たりにしてきた黒田の眼差しから考える機会にもなればと思います。近代を生き抜いた黒田の人生は、グローバル時代を生きるわたしたちにもヒントになるかもしれません。(青山ブックセンターウェブサイトより)