
南方熊楠が2017年に生誕150年を迎えます。熊楠の好奇心や研究領域は、変形菌、きのこ、密教、超常現象、妖怪、神社合祀反対運動、セクソロジー・・・と広大で、彼を前にすると立往生してしまいそうになりますが、それは、熊楠に接近をする入口やきっかけがたくさんあるということではないでしょうか。そこで、青山ブックスクールでは、さまざまなテーマやゲストから、熊楠の魅力に迫るトークやレクチャーを開催します。
経済的な理由で、英国留学から帰国を得ざるを得なかった熊楠は、和歌山県・那智山にこもり、植物採集に没頭する傍ら、深層心理に関する書物を夜な夜な読みふけっていたようです。この那智山滞在中に、熊楠は、自らの身を以て「霊との遭遇」「幽体離脱」「千里眼/夢のお告げ」など、数々の怪奇な体験をし、きのこや変形菌に対する関心と変わらぬ熱量で、日記をつけ、記録をのこし、この不思議な体験の正体を考えました。
コラムニストの辛酸なめ子さんも、熊楠のように霊的体験や超常現象を目撃するなど、怪奇な体験を数々されています。日々の瞑想では、舟から手を振る人々、穴から出入りする少女、沼に現れたネッシー、椅子に腰掛けた僧侶、歩くパワーストーンなど、不思議なモチーフや風景がまぶたの裏側に突然現れ、それらをスケッチに描きとめています。
なぜ、熊楠は、怪奇な体験の探求に没頭したのでしょう。そして、普段なかなか目に見えないものたちは、熊楠と辛酸さんに何を語りかけてくるのでしょうか。
今回は、辛酸なめ子さんをゲストにお迎えし、南方熊楠顕彰会の田村義也さんとともに、熊楠の生涯を辿りながら、熊楠が「霊や妖怪」「変形菌」など、熊楠が研究、体験をしてきた目に見えないもの、見向きもされないもの、はたまた無視されてしまいそうな存在たちに迫ることで、熊楠が好奇心をいだいた数々の事象の共通点を探るとともに、彼の探究心の深層を考えていきます。
辛酸さんと田村さんとともに熊楠が見た、体験した、探究した「不思議な世界」に踏み込みましょう!(青山ブックセンターウェブサイトより)