
世界的なパーカッショニスト、加藤訓子(かとう・くにこ)を迎え、ミニマルミュージックの二大巨匠、スティーブ・ライヒ(米国・1936年-)、アルヴォ・ペルト(エストニア・1935年-)の豊かな音楽の世界を紹介します。
加藤訓子は日欧のアンサンブルやオーケストラでの活躍を経て、現在は主にソロ活動に力を入れています。近年では演劇の総合プロデュース、コンテンポラリーダンスとの協働、インスタレーションライブの企画演奏等、多方面で才能を発揮し打楽器の可能性のあくなき探求を続けています。その演奏は米国パーカッシヴ・アート・ソサエティより世界35人のマリンビストに選出(2000年)される等、高い評価を得ています。
このたびはライヒとペルトが80歳を迎える記念に二人への祝いの気持ちをこめ、その対照的な音楽の魅力をお届けします。最小限の音型の反復変化に躍動感を宿す「動」のライヒ、抑制された旋律と荘厳な響きが内面へと深く誘う「静」のペルト。加藤は、本来他の楽器のために書かれた彼らの代表作を、世界初打楽器編曲するという難題に取り組み、新たな息吹をもたらすことに成功します。奏法、録音法、空気感にまでこだわり抜いたアルバム『Cantus』(2013年)は、各方面から絶賛されています。
このコンサートは加藤訓子によるマリンバを中心とする迫力の生演奏と、丹念に収録した自身の演奏とが、高度な音響技術に支えられて競演する“一人による多重奏”となります。めくるめく音の渦が万華鏡のように空間を満たす加藤訓子の魅惑の演奏を、ぜひ新緑の原美術館でお楽しみください。(原美術館ウェブサイトより)