
シリーズ「美術館とコレクション」の第6回目は、青森県立美術館10周年を記念して、同館開館準備より携わられている学芸員の工藤健志さんを講師にお迎えします。
青森県立美術館は2006年の開館以来、年間の動員者数は東北で首位を走り続け、大変な人気を博しています。それは、地元の方々に愛されながら、青森まで足をのばしたくなる工夫やアイディアが盛りだくさんな美術館だからではないでしょうか。
青木淳さんが「三内丸山縄文遺跡」の発掘現場から着想を得たという、建物。菊地敦己さんによるシンボルマークやロゴタイプなどのヴィジュアルイメージ。来館者をあたたかく迎えてくれるのはミナ ペルホネンのユニフォームを着たスタッフのみなさん。コレクションは、棟方志功、工藤哲巳、寺山修司、成田亨、奈良美智など郷土とゆかりのある作家を中心に、青森県以外、海外の作家も多く所蔵しています。そして、地面から起き上がろうとしているのか、眠りにつこうとしているのか、奈良美智さんの巨大な「あおもり犬」にはやっぱり一度は会い行きたくなりますよね。
時に「迷路」と呼ばれる館内で、定まった導線に従うだけでなく、迷子になりながら楽しむことができるコレクション展、企画展では、ともに地域に根差したテーマや作品選定、建物を活かした展示方法によって、「縄文と現代」「ロボットと美術」「美少女の美術史」「成田亨 美術/特撮/怪獣」など、青森だからこそ、青森県立美術館だからこそできる展覧会を数多く開催してきました。
では、青森県立美術館はどのような使命を持って10年を歩んできたのでしょうか。そして、10年の中で見えてきた、地方美術館のあり方とは、いかなる姿なのでしょうか。
今回は、青森県立美術館の開館からの歴史を、その裏に隠された葛藤をふまえ、建築、そしてコレクションと展覧会のつくり方の視点から辿ることで、愛される地方美術館のつくり方を学びます。さらに、同館の「これから目指すところ」をお話いただくことで、地方の、ひいては日本の美術館の「理想」の姿を考えていきます。
ぜひ、工藤さんのお話を聞いてから、10年目の青森県立美術館へ!(青山ブックセンターウェブサイトより)
青森県立美術館10周年記念
『青森県美のこれまでとこれから:地方と美術館、その個性の顕在化のために』
2016年6月4日(土)18:00~20:00
会場:東京都 表参道 青山ブックセンター 本店 小教室
出演:工藤健志
料金:2,700円