このプロジェクト「Your silence will not protect you」は、グラフィック・デザイナー大澤悠大と、イラストレーター、コミック作家として活動するカナイフユキによるものである。
今回の展示では、以下の3つの標語を落とし込んだ作品を展開する。
「I am all of us.」(わたしは、独りではない。)
「Come out, come out, whoever you are.」(あなたは、あなたのままでいい。)
「Your silence will not protect you.」(黙ってたら、得だと思うなよ。)
これらの標語は、主に70~80年代のフェミニズム運動や、セクシュアル・マイノリティの権利獲得運動の中で使われてきたものであるが、今なお普遍性を失っていない。差別発言を繰り返して注目された末にアメリカ大統領に就任したドナルド・トランプだけでなく、日本を含む世界各国で差別的・排他的、あるいは反民主主義的な勢力が政界で力を強めている。そんな今こそ広く・多くの人に向けて叫ばれなければならないメッセージでもある。
セクシュアル・マイノリティの当事者としての経験をベースに創作を続けるカナイと、反戦・反差別の運動にグラフィック・デザイナーとしてコミットしてきた大澤は、これらのメッセージをアート作品に落とし込む目的で意気投合し、このプロジェクトを開始した。
新自由主義の台頭する現代、私たちは簡単に世界の周縁に追いやられ、疎外される当事者になり得る。そして、疎外された当事者たちは連帯する必要がある。鑑賞者がそれらを遠い他国の出来事ではなく、また他人事でもない、自分自身に起きている出来事として捉えるためのスイッチを用意したつもりである。(展示ステートメント・プレスリリースより)