
祭りとは、古来、神に感謝を捧げる儀式だった。
じゃあ、神は死んだって言われてはや132年が経った2017年を生きる俺たちは、何に感謝を捧げりゃいいんだ?
時は2017年。テレビと新聞を追いかけていれば世界のすべてを知った気になれた時代はとうに過ぎ去って、コンテンツも、それを取り巻くメディア環境も一変した。
海を隔てた遠くの路傍で生まれた力強いヒップホップも今では小さな島国で独自の進化を遂げ、豊かな音楽性を育んでいる。
インターネットという最強のツールを手に入れたDJは、日本にいながら世界と渡り合っている。
テクノロジーが広げた無限の可能性を武器に、アーティストやクリエイターは広く深く、そのアイデアや思想を形にし続けている。
でも、なんか物足りないのはなんでだ?
それぞれが好き勝手に見たいものだけを見て聞きたいことだけを聞いて、手の届く円の中に大事なものをかき集めて並べていれば、小さな宇宙は円環を閉じてこの先も安定していくことだろう。
祭りとは、その宇宙をつくり変えるビッグバンに他ならない。それまでの宇宙を看取り、これからの宇宙を言祝ぐ祝祭だ。
仕事を忘れ、学業を忘れ、理性を、仁義を礼節を忘れ、明日を忘れて踊り明かすその先に、神ではない何かを見るかもしれない。
その時こそ、感謝すればいい。その瞬間に立ち現れるもの。何の役にも立たないけど、好奇心と発見へ続く未知なる扉を開けてくれるものを、我々は「ポップ」と名指したのだから。
調和には混沌を、安寧には喧騒を、束縛には解放を、ストリートにはオタクを、陰キャにはパリピを、ギャルには童貞を、ナードにはウェイを、クールにはクレイジーを、ポスト・トゥルースにはマジレスを、サブカルにはポップを、WWWにはXを!(『GRATEFUL POP』ウェブサイトより)