<名所江戸百景>120枚揃と<六十余州名所図会>70枚揃は、巨匠・歌川広重晩年の傑作として知られています。本展では、これらの連作全点の「初摺」をごらんいただきます。「後摺」では線がぼやけ、摺色も減らされますが、「初摺」は広重の創意を存分に伝えます。
その上、このたび展示される作品にはほとんど退色もなく、まるで摺りたてのように濃密でビビッドな色彩に、どなたも驚かれるに違いありません。
これらの作品は、日本化薬株式会社会長をつとめた原安三郎氏(1884-1982)が蒐集したもの。財界の重鎮として活躍した原氏が、実は浮世絵蒐集家でもあったことは、あまり知られていませんでした。
数セットしか現存しない<名所江戸百景><六十余州名所図会>初摺揃い物の中でも、見事な保存状態を誇る原安三郎コレクションのセットが全点公開されるのは、今回が初めてです。
葛飾北斎の<冨嶽三十六景><諸国名橋奇覧>など名品22点も出品されます。北斎が日本各地の水辺を描いた連作<千絵の海>全10点が揃うのは、またとない機会です。
歌川国芳が西洋絵画から影響を受けたユニークな名所絵などもあわせ、総計230点を、前・後期総入替で展示します。本当の「江戸の色」を、ぜひお楽しみください。(新潟市美術館ウェブサイトより)