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  • 2017年6月7日(水)〜2017年7月29日(土)

山田正亮『形態の臨界』

この度、Sakurado Fine Artsでは、山田正亮の1960年代から1990年代にかけ制作された『Work』シリーズに焦点を当て、山田が制作を通して行った試みをストライプやクロスを中心とした作品の内部から読み解く展覧会を開催致します。

「作品を見ている 注意をして見つめていると 彩度をおさえた二色のくりかえしは 生成しつつある色相のなかに消失しつつある 筆触によるストライプの感覚は狭くなると 組織化を続け 形体は失はれ 抑制された混合体の色彩が表出する」
―山田正亮(制作ノート48 1968より抜粋)

戦争体験からバラバラになった世界の中で、画壇に属さず「来るときのために」生涯をかけ5,000点以上を反復的に描き続けた山田正亮の作品が、今日、再評価され始めた。1940年代後半より制作された静物画から1950年代中頃に抽象的表現へ移行するに至った山田の象徴的なシリーズとしてストライプとクロスがあげられるが、両シリーズに共通する注目すべき事柄として、山田がストライプやクロスを支持体であるキャンバスそのものの輪郭線を模して描き始めた点があげられる。引かれた線が隣同士に比較される事によりそれらが反復的な線であると認識されるストライプの性質に、支持体を線のモチーフにする発想を加える事で、山田は色とりどりの線からストライプ、支持体、作品、シリーズといういくつもの単位の「固と全体」を同時に表出させた。この事は、クロスシリーズにおいてより抽象度の高いレベルで垣間見ることが出来る。キャンバスの短形を模した十字の線と塗られた色は、互いに歪められ、反発し、溶け込み、一個体としてではなく隣り合う物との相対関係によって動的に認識される。

山田の作品において、物が<もの>であるために、形態はその認知の臨界点で拮抗する。彼の描く個々の線や色といった諸要素は支持体の形態から派生し、支持体に倣いながら一要素として反復され、個であり全体であるという両義性によって成り立つ。それは山田本人が「どの場所でも未完であるということが本質的に理解する」(制作ノート28 1960)と記しているように、物そのものを見る事は常に他者との共有に難く不完全であるという寄る辺ない本質を意味し、だからこそ山田は絵画に向き合い続けたのではないか。落ち着いた色合いで描かれる『Work』シリーズにひかれた一本一本の線には、力強い筆跡が見られる。戦後日本美術界で多くの運動が立ち上がった中、どこにも属さず絵画に向き合い続けた山田の強い思いは作品に熱烈に残存し続けるだろう。

再評価の波が高まる中、山田正亮の代表的シリーズの集う本展覧会を是非ご高覧下さい。(Sakurado Fine Artsウェブサイトより)

山田正亮
『形態の臨界』

2017年6月7日(水)~7月29日(土)
会場:東京都 表参道 Sakurado Fine Arts
時間:11:30~19:00
休廊日:日、月曜
料金:無料

  • 山田正亮作品 ©Masaaki Yamada, Work C.p 17, 1960, courtesy of Sakurado Fine Arts
    山田正亮作品 ©Masaaki Yamada, Work C.p 17, 1960, courtesy of Sakurado Fine Arts
  • 山田正亮作品 ©Masaaki Yamada, Work E.372, 1989, courtesy of Sakurado Fine Arts
    山田正亮作品 ©Masaaki Yamada, Work E.372, 1989, courtesy of Sakurado Fine Arts
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