イベントを探す?

  • 2017年6月17日(土)〜2017年9月10日(日)

『加納光於―揺らめく色の穂先に』

加納光於(1933–)は、1950年代に制作を開始してから現在まで、つねにイメージの探究者として独創的な作品の数々を作り出してきました。彼の創作の領域は版画、絵画、立体から装幀や舞台芸術にいたるまで多岐におよびますが、なかでも版画は、彼が美術家として最初に手がけた表現形式であることからもわかる通り、加納光於のイメージ探求における重要な手段の一つであり、彼の代表作とされる作品が版画によって数多く生み出されてきました。

加納光於の版画制作は、十代の終わりに版画の技法書を偶然手にし、独学で銅版画に取り組んだことに始まります。幻想的なイメージをモノクロームで描いたエッチング作品は、詩人・美術評論家の瀧口修造(1903–1979)から称賛を受け、1956年には初の個展を開催しました。その後、彼の版画制作は従来のエッチングの枠を越え、腐蝕作用による版の変容そのものに注目したものとなり、防蝕膜にさまざまな操作を施して描画するインタリオ(凹版画)へと展開していきます。原生生物や鉱物のようなイメージが物質や生命の生成を想起させるこれらの作品は、リュブリアナ国際版画ビエンナーレや東京国際版画ビエンナーレでの受賞をはじめ高い評価を受け、加納光於の名を広く知らしめました。

版の変容に対する意識の高まりは1960年代になると、バーナーで溶解させた亜鉛合金を版としてその形を紙に写し取るメタルプリントの制作へと結実します。そして、このとき初めて有彩色を使用したことをきっかけに、作家の視点は色彩の生成や揺らぎといったものへと向かうようになりました。カラーリトグラフ<稲妻捕り>(1977)<Illumination>(1986)、カラーインタリオ<波動説>(1984–85)<青ライオンあるいは≪月・指≫>(1991–92)、モノタイプ<平家物語>(1996)などをはじめ、レリーフプリントやシルクスクリーンも加えたさまざまな技法を駆使して生み出された鮮烈な色彩の版画作品の数々はいずれも、無限の階調を持つ波長域の中からある色彩が私たちの眼前に立ち現れ、それがそのままイメージを形づくる瞬間を画面の中に定着させる試みだったと言えます。

色彩と、それによって知覚される物象の絶え間ない変容と流動における一瞬の姿を、大気の震えの中で揺らめく穂先の一点のごとく捉えた加納光於の版画作品は、つねに清新な視覚世界を私たちに示してきました。本展では加納光於の初期から現在にいたるまで、その創作活動におけるさまざまな局面で大きな役割を果たしてきた版画作品を中心に約120点を展示し、この類まれな作家の作品哲学に迫ります。(CCGA現代グラフィックアートセンターウェブサイトより)

『加納光於―揺らめく色の穂先に』

2017年6月17日(土)~9月10日(日)
会場:福島県 CCGA現代グラフィックアートセンター
時間:10:00~17:00(入館は16:45まで)
休館日:月曜(7月17日は開館)、7月18日
料金:一般300円 学生200円
※小学生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料

続きを見る
  • 『稲妻捕り』PF-No. 3 1977年 カラーリトグラフ 62×50 cm
    『稲妻捕り』PF-No. 3 1977年 カラーリトグラフ 62×50 cm
  • 『SOLDERED BLUE』1965年 メタルプリント 72×54.5 cm
    『SOLDERED BLUE』1965年 メタルプリント 72×54.5 cm
  • 『加納光於―揺らめく色の穂先に』ポスタービジュアル
    『加納光於―揺らめく色の穂先に』ポスタービジュアル
画像を拡大する(3枚)

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. 荘子itが執筆 『スパイの妻』の「軽さ」が持つ倫理的な意味とは 1

    荘子itが執筆 『スパイの妻』の「軽さ」が持つ倫理的な意味とは

  2. あがた森魚が引退を発表、渋谷CLUB QUATTROで100人限定ワンマンライブ開催 2

    あがた森魚が引退を発表、渋谷CLUB QUATTROで100人限定ワンマンライブ開催

  3. 曽我部恵一と語る、個に還れない時代のリアル 人はなぜ踊るのか? 3

    曽我部恵一と語る、個に還れない時代のリアル 人はなぜ踊るのか?

  4. 山崎賢人&土屋太鳳W主演 Netflix『今際の国のアリス』場面写真公開 4

    山崎賢人&土屋太鳳W主演 Netflix『今際の国のアリス』場面写真公開

  5. 『ハリー・ポッターと賢者の石』初の3D上映が全国の4D劇場82館で実施 5

    『ハリー・ポッターと賢者の石』初の3D上映が全国の4D劇場82館で実施

  6. 星野源、長谷川博己、新田真剣佑、橋本環奈、浜辺美波が先生役 ドコモ新CM 6

    星野源、長谷川博己、新田真剣佑、橋本環奈、浜辺美波が先生役 ドコモ新CM

  7. のん×橋本愛が7年ぶり共演『私をくいとめて』予告編&ビジュアル公開 7

    のん×橋本愛が7年ぶり共演『私をくいとめて』予告編&ビジュアル公開

  8. 表層的なのは嫌。市川渚が重んじる本質と、こだわり抜かれた生活 8

    表層的なのは嫌。市川渚が重んじる本質と、こだわり抜かれた生活

  9. シム・ウンギョンが日本映画に挑戦したわけ。韓国人気女優の素顔 9

    シム・ウンギョンが日本映画に挑戦したわけ。韓国人気女優の素顔

  10. 『アングスト/不安』の怖さ。殺人が論理的答えとして導き出される 10

    『アングスト/不安』の怖さ。殺人が論理的答えとして導き出される