1998年刊行の『日本・現代・美術』(新潮社)において、戦後の日本を「悪い場所」と形容し、現代を「閉ざされた円環」と銘打った美術批評家 椹木野衣さん。それから時は流れ、執筆中に、あの揺れが襲ったという『後美術論』で、音楽や美術の結婚を試みました。そして、このたび、椹木さんが東日本大震災後にはじめて着手した評論、『震美術論』が刊行されました。
本書は「悪い場所」の再考からはじまります。日本の歴史を振り返ってみると、地震、津波、噴火、台風、土砂災害、集中豪雨など、幾度となく自然災害による破壊とそこからの復興を繰り返し経験しながらも、それらへの忘却を反復してきたといえるでしょう。そのような土地で、果たして、西欧で言う意味での「美術」は可能なのでしょうか。今回は、現代美術家として震災後も作品を発表しつづける宇川直宏さんをゲストにお迎えし、制御不可能な自然の動きと切り離すことができない日本列島の美術について考えていきます。
『日本・現代・美術』から「日本・列島・美術」へ。美術評論を更新し続ける椹木さんの紡ぎだした新たな美術史を目撃してください。(銀座 蔦屋書店ウェブサイトより)
『震美術論』刊行記念
『椹木野衣×宇川直宏―震える大地・日本列島において美術史は成り立つのか』
2017年10月1日(土)
会場:東京都 銀座 蔦屋書店
出演:
椹木野衣
宇川直宏
料金:2,000円