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  • 2017年11月25日(土)〜2017年12月24日(日)

『ロシア宇宙主義:三部作』

アントン・ヴィドクル『全人類に不死と復活を!』(2017年)
アントン・ヴィドクル『全人類に不死と復活を!』(2017年)

アサクサは、ニューヨークとベルリン在住のアーティストでe-flux創始者として知られるアントン・ヴィドクルの個展『ロシア宇宙主義:三部作』を開催いたします。ヴィドクルはこれまで、自身の映像作品をはじめリアム・ギリックやフー・ファンとのコラボレーション作品で知られるほか、アート界の教育・経済インフラに介入する複合的なプロジェクトを展開してきました。ベルリンのスーパー裏地にボリス・グロイスやマーサ・ロスラーらを迎えて行われた仮設アートカレッジ《ユナイテッドネイションズプラザ》(2006-7年)、アート関係者の時間とスキルを交換し、貨幣を代替するシステムの構築《タイムバンク》(2010年~、e-flux)や、哲学者、人類学者、理論家を巻き込んだ学際的プラットフォーム《efluxジャーナル》(2008年~、e-flux)を開始するなど、アート・コミュニティの自律性(オートノミー)を支持し、これを積極的に形成する多数のプロジェクトを実現してきました。

本年発表した新作を含む本展は、哲学者ニコライ・フョードロフが中心となり、政治、文化から宇宙開発者まで、ロシア知識人に多大な影響を与えたロシア宇宙主義をもとにしています。イタリア未来派が台頭した20世紀はじめ、フョードロフは死は「誤り」であるといい、科学技術の進化と自然の制御によって人間の死の克服と肉体の復活を、あらゆる学問の「共同事業」とするように唱えました。宇宙線やエネルギー粒子による影響や、人類を宇宙に紐付いた存在として捉え直すフョードロフの思想は、啓蒙主義、ロシア正教会、東洋哲学における宇宙観、そしてマルクス主義の唯物史観と結びつき、ロシアの知識エリートの大きな支持を得ます。

本展にて上映する三部作では、ロシア宇宙主義の影響のもとに書かれた哲学的断章、科学論文、文学詩など、広範な資料から構成され、テクストの朗読によりシーンが展開します。個人的な父祖の追憶から人類の使命を導き、ロシア宇宙主義の思想を伝える第1部《これが宇宙である》(2014年)、政治運動や革命の起こりを太陽の活動期との関係から調査した第2部《共産主義革命は太陽が原因だった》(2015年)、コスミズムの中心的考えである「復活」の場として、博物館を取り上げた第3部《全人類に不死と復活を!》(2017年)からなり、20世紀のロシア宇宙主義の影響と今日への関連性を示唆しています。

ボルシェビキ党内の多くの議員は、フョードロフに強い影響を受けていたと言われています。第一回ソヴィエト議会では、「宇宙不滅(コスモス・イモータリスト)の党」が議席を獲得し、惑星間旅行の自由と不死の権利についての議決にさえ成功しました。ロケット開発の父ツィオルコフスキーも同様にコズミストであり、ロシアにおける宇宙開発を技術的にも観念的にも支えました。ロシア構成主義者、ロトチェンコ、トルストイやドストエフスキー、詩人ブリューソフ、映画監督タルコスフキーなど、芸術界における影響は計り知れず、新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させる不死思想は、ポストヒューマニズムの礎ともなっています。本展は、政治変革、テクノロジー開発、スピリチュアリズムを束ねた合一点となったロシア宇宙主義を取り上げ、テクノロジーと思想、そして人間の不死を目指し未来の倫理を問いかる肉体のプロジェクトとして考察します。

本展に合わせて、12月17日にアーティストの来日座談会を行うほか、アントン・ヴィドクルとアーティストヒト・シュタイヤルとの対談をまとめた小冊子を会場にて販売いたします。

『アントン・ヴィドクル:ロシア宇宙主義三部作』は、公益財団法人東京都歴史文化財団(アーツカウンシル東京)の助成を受け、都内で行ったリサーチをもとに実現しました。

『ロシア宇宙主義:三部作』

2017年11月25日(土)~12月24日(日)
会場:東京都 浅草公会堂
時間:木、土曜16:00~22:00 日曜12:00~19:00
※木、土、日曜のみ開廊

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