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イラストレーターのつくる音楽 中村佑介インタビュー

イラストレーターのつくる音楽 中村佑介インタビュー

インタビュー・テキスト
久保正樹
2011/06/08

早い話いくら絵が上手くなろうと、好きなあの子は振り向いてくれないんです。

―突き抜けたポップス~歌謡曲感に、フォーク、ソフトロック、レゲエ、ジャズ、アコースティックスウィングなど様々な要素が見え隠れしますが、具体的にどのような音楽に影響を受けたのですか?

中村:子供の頃は父親のステレオから流れる、ビートルズやカーペンターズ、ギルバート・オサリバンなどの60'sポップス、かぐや姫などの4畳半フォーク、荒井由実やムーンライダースなどの日本のシティポップスを自然と聴いていました。思春期になって、たまとフリッパーズ・ギターにハマり、自分からもっと色々な音楽を聴くようになり、現在に至るまでジャンルにはこだわりなく聴いておりますが、共通して歌詞を大切にしている音楽が好きですね。

―“絵筆は役に立たず”のイラストレーターとしての自分を置き去りにするタイトルが印象的ですが、この歌詞はどういう心情から生まれたのですか?

中村:絵というのは作者が見えず肉体的ではないため、早い話いくら絵が上手くなろうと、有名になろうと、1人の人間としての僕はモテないというか、好きなあの子は振り向いてくれないんです。まぁそれが例えば「お金は役に立たず」でも「二重瞼は役に立たず」でも何でも置き換えられるのですが、その点でやはり音楽というのはもっと直接的で、動物の求愛行動に近いものだと考えているので、「キーッ悔しい!僕もCD出したいっ!!」という気持ちで作りました(笑)。そしてこの度念願が叶ったのに、次は「音楽は役に立たず」という新曲が出来なければいいですが。

―歌詞はすべて中村さんの気持ちを歌っているのですか?

中村:はい。すべて僕の気持ちを歌っているのですが、他の曲も同様、特にお洒落な曲調やコード感の音楽には決して使われることのなかった言葉でも正直に乗せていきたいと思っております。例えば“おしりのふとん”という曲は、おしりといえば弾むということで、スィングのメジャーな曲調にしました。

イラストレーターのつくる音楽 中村佑介インタビュー
セイルズ イメージ画像

そのままでは恥ずかしくて言いにくいことを、女性という隠れミノを使って正直に言っているという感じかもしれません。

―ちなみに、AVが大好きだということですが、その辺りのインスピレーションも楽曲に反映されているのですか? いやらしさ、というよりも女の子に対する永遠の憧れのようなものを感じますが。

中村:今回入らなかった曲に11分を超える大作“愛里ひなちゃんのバラード”や、葉月しおりさんのことを歌った“しおりさん”、また他にもAV女優のことについて歌った曲はそれだけで1枚のアルバムが出来るほどあります。音楽も絵も、何でも表現行為というのは結局「愛されたい」と赤ちゃんが泣くようなものだと思っていて、その中で一番身体を張っていて、サービス精神があるのがAV女優という職業だと思っているので、イヤらしい気持ちではなく素直にリスペクトを込めてですね。

―1曲目の“わたしの穴”など完全に女の子視点からの世界が描かれていますね。これはイラストにも当てはまるのですが、中村さんの描く世界は「理想の女の子像」を描いているのですか? もしくは「中村さんご自身」を作品に投影させているのですか?

中村:元ピチカート・ファイヴの小西康陽さんがインタビューで「そのヒトになりきって女性アイドルの曲を作るのが楽しい」とおっしゃっていて、僕もどちらかというと「理想」というより「女装」に近く、そのままでは恥ずかしくて言いにくいことを、女性という隠れミノを使って正直に言っているという感じかもしれません。だからやはり絵も音楽も僕自身ですね。

―それでは最後に、ワイキキレコードからインディーズ・デビュー、そして今後セイルズは音楽シーンの中でどういうところを目指そうとしているのですか?

中村:ミニアルバムリリース後には現在休止中のSODA FOUNTAINSの小泉ひとし君がギターで加入し、レコ発ライブを予定しておりますので、僕という媒体を通して素晴らしい音楽家3人の表現やキャラクターをもっとたくさんの人に楽しんで頂けたらと思っています。僕個人の最終的な目標は紅白歌合戦で“おしりのふとん”を歌って、子供たちに真似されることなので、30代中盤を目前に、この1枚で本当の意味で「尻に火がつく」ことを願っています。

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リリース情報

セイルズ『Pink』
セイルズ
『Pink』

2011年5月25日発売
価格:1,500円(税込)
Waikiki Record / WAKRD-035

1. わたしの穴
2. ビューティフル
3. おしりのふとん
4. 絵筆は役に立たず
5. ほんとはね

プロフィール

セイルズ

数々のCDジャケットや書籍カバーを手掛けるイラストレーター中村佑介が2005年に結成したポップスバンド。歌謡曲、フォーク、アコースティックスィング、ボサノバを基調としたブルーなメロディの上にまたがるピンクな歌詞を特徴とする。編成は中村佑介(ボーカル・ギター)、長谷川梓沙 (アコーディオン、コーラス)、飼原正之(ベース、編曲)のドラムレストリオ。2011年6月、エレキベースや徳永憲の所属するワイキキレコードよりデビュー。

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