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コンビで映画初主演・インパルス『樹海のふたり』インタビュー

コンビで映画初主演・インパルス『樹海のふたり』インタビュー

インタビュー・テキスト
森直人
撮影:西田香織
2013/06/18

「意外!」と言っては失礼であろうか。人気お笑いコンビ「インパルス」の二人、板倉俊之と堤下敦がシリアスな演技で観客の心をぐいっと引き込む。彼らの主演映画『樹海のふたり』(7月6日公開)は、実話をもとにしたヒューマンドラマの傑作だ。

主人公はテレビドキュメンタリー番組に携わるフリーディレクターの竹内(板倉)と阿部(堤下)。なかなか会社の要求する成果を出せない二人は、起死回生の仕事として、富士の樹海に入ろうとする自殺志願者の取材を試みる。だが樹海での出会いや体験は、思わぬ影響を彼らの人生にもたらしていった……。

本業のほかにもそれぞれ俳優として活躍し、板倉は小説家としても高い評価を受けている。多才なインパルスの二人だが、コンビでの主演は今回が初めて。さらなる新境地に歩みを進めた彼らに話を伺った。真面目な話の流れの中で突然ボケとツッコミが炸裂する、異色にして爆笑のインタビューをお楽しみあれ!

すごく真面目な映画だから、「ホントに俺らが主演でいいのかなあ」っていう不安はありましたね。(板倉)

―今回の『樹海のふたり』、すごい良かったです。真摯で誠実な映画ですね。お二人がご一緒に映画出演されるのはこれが初めてですが。

板倉:そうですね。基本的にコンビで出演するのはNGなんですよ。堤下っていう人がインパルス的にNGなんで……。

堤下:なんでだよ! 15年一緒にやってんだろうが!

板倉:まあ今回は唯一、例外的にいいかなと思って。

堤下:そりゃ唯一だよ。単に今までオファーが来なかっただけだろうが。

板倉:マネージャーから「コンビで映画主演の話が来てる」と聞いたときは、ええええ! って普通にびっくりしましたけどね。で、仮台本みたいなのを渡されたんです。

―「樹海」といえば、板倉さんの小説『蟻地獄』でも舞台になっているじゃないですか。裏カジノでヘマをした主人公が、カネを作るために富士の樹海に足を踏み入れるという内容で……。

板倉:そうなんですよ! だからすごいタイミングだなと思って。映画を撮ったのが去年の5月からで、僕が自分の小説で樹海のシーンを書いていたのが撮影から1年くらい前でした。しかも小説を書く前にも樹海に取材に行ったんです。あとから映画の撮影で行くって分かってたら、行かなくても良かったのになあって。

堤下:締め切りに間に合わねえだろ!

―(笑)。小説が発売されたのは去年の4月でしたよね。そのあと、すぐに映画の撮影だったと。

板倉:そうです。だから最初、監督にお会いしたときに「僕の小説を読んでキャスティングされたんですか?」って訊いたんですけど、よく考えたら読んでるはずないんですよね。

―運命的な偶然ですね。映画の脚本を読んだ最初の印象はいかがでしたか?

板倉:硬派だなと。すごく真面目な映画だから、「ホントに俺らが主演でいいのかなあ」って思いました。ちゃんとしたプロの俳優さんでやった方がいいんじゃないかなあ、っていう不安は最初ありましたね。

堤下:やっぱりコンビで出演ってなると、普段のインパルスのイメージで見ちゃうお客さんもいるでしょうし。でも、いざ実際やってみたら「あっ、これで良かったのかな」って。

板倉:いつも映画やドラマのお芝居って、自分と違うものを自分の中に入れていかなきゃいけないんですけど、この映画に関しては「素でしゃべってください」っていう演出だったんですよね。

―なるほど、お二人の「素材感」がキャスティングの決め手だったんでしょうね。

板倉:そうだと思います。ちょっと小耳に挟んだんですけど、ほぼ髪型で決まったらしいです。僕が演じた竹内って男に対し、(相棒役の)阿部を演じる人はベリーショートがいいって……。

堤下:俺はただの男の短髪だろ! 女子で言えば、お前だってベリーショートじゃねえか(笑)。

板倉:あ、ごめん。阿部はハイパーベリーショートで、むくんだ顔にほうれい線が入った人で……。

堤下:くたびれてんだよ、こっちは! 順風満帆じゃねえんだから。

左から:堤下敦(インパルス)、板倉俊之(インパルス)
左から:堤下敦(インパルス)、板倉俊之(インパルス)

―(笑)。竹内と阿部はバラエティーで見るインパルスとは違うけど、お二人のリアルな一面がそのまま投影されている気がします。

堤下:自分らで完成した映画を観ても「人間味があふれてる」って思いましたね。インパルスを知ってる人も知らない人も、男同士のやりとりの中で生っぽい人間臭さみたいなものを感じてくれるんじゃないですかね。

板倉:ちょうど僕ら自身のコントの作品性も「ボケ・ツッコミ」型じゃないものが増えてきた頃だったんで。「芝居力」がないとウケないコントをやるようになってきたインパルスの流れと、映画出演の時期が重なってるんですよね。

―今回はプロデューサーがインパルスのコントを見てオファーされたんですよね。

板倉:それもまた偶然で、昔、インターネットを介して知り合った人たちの集団自殺が流行して社会問題になったときに、それを題材にした「インターネット自殺」っていうコントを作ったんですよ。たまたまその動画を観てくれたらしくて。(今回の映画と)感覚が合うんじゃないかって。

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イベント情報

『樹海のふたり』

2013年7月6日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:山口秀矢
音楽:関口知宏
エンディングテーマ:カズン“IBUKI”
出演:
板倉俊之(インパルス)
堤下敦(インパルス)
きたろう
遠藤久美子
中村敦夫
関口知宏
長谷川初範
新井康弘
藤田弓子
烏丸せつこ
配給:アーク・フィルムズ

プロフィール

板倉俊之(いたくら としゆき)

1978年埼玉県出身。吉本興業が主催する東京NSC4期生としてお笑いを学び、98年12月に同じNSCの同期である堤下敦と「インパルス」を結成。コンビとして数々の舞台やテレビバラエティーで活躍。04年『ほんとうにあった怖い話 怨霊』で俳優デビュー。05年には劇場版アニメ『テニスの王子様 二人のサムライ The First Game』で声優デビューを飾る。07年連続テレビドラマ「エリートヤンキー三郎」では単独レギュラー出演を果たした。09年には本格ハードボイルド小説「トリガー」を出版し、12年には2冊目の「蟻地獄」を出版した。他の映画出演作品に『シュガー&スパイス 風味絶佳』(07)『激情版 エリートヤンキー三郎』(09)『ニセ札』(09)がある。

堤下敦(つつみした あつし)

1977年神奈川県出身。吉本興業が主催する東京NSC4期生としてお笑いを学び、98年12月に同じNSCの同期である板倉俊之と「インパルス」を結成。コンビとして数々の舞台やテレビバラエティーで活躍する。04年『ほんとうにあった怖い話 怨霊』で俳優デビューを飾り、また同年連続テレビドラマ「ナースマンが行く」で単独レギュラー出演を果たした。05年に劇場版アニメ『テニスの王子様 二人のサムライ The First Game』で声優デビューを飾る。コンビ以外の単独でのテレビバラエティー出演での活躍や、映画出演には『アフロ田中』(12)がある。

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