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ポストロックは生き方の転換点でもあった。京都発・sowの歩み

ポストロックは生き方の転換点でもあった。京都発・sowの歩み

sow『Route of migratory』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:山元翔一
2016/10/14

そもそも「音楽を続ける」ってことが憧れだった気がします。(吉村)

―アルバムには初めてボーカリストをフィーチャーした“I see what the city saw feat. Ryu(from Ryu Matsuyama)”も収録されていますね。

吉村:彼が関西ツアーで京都・大阪の2デイズ公演があったときに、偶然僕らも2日間同じイベントに出たんです。僕は普段、共演者に惹かれることはあんまりないんですけど、Ryuくんに関してはライブを観て、才能に嫉妬したんですね。そうしたら、彼らも僕らに対してリスペクトを持って接してくれて、ライブ後にRyuくんから「何か一緒にやりたい」って言ってくれたんです。

―偶然の出会いがきっかけだったんですね。

吉村:「歌を入れよう」とか「トラック的に提供してみよう」みたいな話って、これまでもあったんですけど、そこは慎重になるところで。途中でも言ったように、自分たちが表現しているものを言葉にすると嘘っぽくなることを心配していたんですけど、彼だったらリスペクトし合えているので「ぜひ」っていう。

―sowがベーシックを作って、そこに歌を乗せてもらう形だったわけですか?

吉村:そうですね。歌が入ることは想定しつつ、でも一度インスト曲として完成させたものを投げたんです。何の指示もなく、「お前ならこれをどう料理する? 乗せてみろ」って感じで。

山下:歌もので9拍って、結構な無茶振りだけどね(笑)。

山下貴弘

吉村:逆にこれくらいの方が、俺たちの攻めの姿勢が出ると思って。でも、Ryuくんも「こんなに歌うんか」ってくらいかなり攻めてくれましたね。だから、この曲はsowとRyu Matsuyamaのコラボレーションなんです。

さらにこの曲を僕が所属している映像チームのディレクターに投げて、ミュージックビデオでもコラボレーションをしてるんです。周りにいる違った表現をしている人たちとのコラボレーションっていうのはずっと意識していて。だから、今回の曲もその一環というか、お互い新たな可能性が見えたんじゃないかと思います。

―おそらくは、このアルバムを持ってまた全国を回ることで、新たな出会いから新たなコラボレーションが生まれていくんでしょうね。

吉村:何が楽しくて音楽やっているかって、やっぱりライブやと思うんです。曲を生み出すのも楽しいけど、なぜ生み出すのかっていう原動力はやっぱりライブで、人前に立って演奏して、そこで新しい人とのつながりができるっていうのが楽しいから、今まで続けられたんだと思います。なので、また新しい音源を持っていろんなところに行きたいですね。そして近い将来には海外でライブしたいなと思ってます。

山下:今回のアルバムって、今までやってきた音楽のスタイルとしてはひとつの区切りの作品だと思っているんです。ここからまた独自の要素を入れたり、新しい音楽性を見つけるのが楽しみであり、課題でもあるのかなって。ポストロックとかインストとか、そういうひとつのスタイルからもう一歩出ないといけないっていう、焦りも少しあるんです。

―Ryuくんとコラボした9曲目で新たな可能性を見出しつつ、10曲目の“mirror”でここまでのタームに区切りをつけた、そんなアルバムになっていると言えそうですね。

吉村:sowのシーズン3が完結くらいやな。

山下:さっきから何でいちいち海外ドラマやねん(笑)。

sow

―(笑)。デジタルハードコアだったシーズン1からここまで続けてこれたのは、さっきおっしゃった「ライブの楽しさ」に加えて、憧れだけでやっていた初期から今の編成に変わって、自然体になれたことが大きかったと言えますか?

吉村:そもそも「音楽を続ける」ってことが憧れだった気がします。最初は型に捉われていたというか、音を楽しむって感覚があんまりなくて、でもやっぱり楽しく音を出せないと続けられないですよね。

あと僕は仕事でも音楽を作っているから、仕事でやっているのと同じ方法で曲を作っても、全然面白くないんです。でも、そうじゃないからsowを続ける意味がある。このメンバーで音を出して、みんなで「今のいいじゃん」っていう、そうやって作っていくやり方が、自分にとってはバンドを続けるために必要な方法だったんやろうなって思いますね。

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リリース情報

sow『Route of migratory』
sow
『Route of migratory』(CD)

2016年10月19日(水)発売
価格:2,000円(税込)
FBAC-006

1. migration
2. circle ratio
3. fata morgana
4. clockwork
5. 10th sentiment
6. carved pixels
7. beach
8. Run for
9. I see what the city saw feat. Ryu (from Ryu Matsuyama)
10. mirror

イベント情報

『earth garden"秋" 2016』
2016年10月22日(土)、10月23日(日)
会場:東京都 渋谷 代々木公園 イベント広場・ケヤキ並木
※sowは23日に出演

『タワーレコード京都インストアライブ』
2016年11月13日(日)
会場:京都府 タワーレコード京都店内 イベントスペース
※アコースティックセット

『sow 1st Album「Route of migratory」Release Party』
2016年12月25日(日)
会場:京都府 木屋町 UrBANGUILD
出演:
sow × VJ Yohsuke Chiai & Takuma Nakata
Ryu Matsuyama
吉岡哲志(LLama)
and more

プロフィール

sow
sow(そう)

2008年結成。メンバーチェンジを経て2011年現編成での活動を開始。国内外のポストロックバンドと数多く共演。アートイベントへの出演などジャンルレスに活動。叙情的なフレーズと緻密な構成の楽曲は、鋭角的、攻撃的なハードコアサウンドから繊細且つ雄大なサウンドスケープまで多彩な表情を見せる。

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一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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