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破天荒な美術家、市川孝典。線香画の発明に至った驚きの半生

市川孝典個展『grace note』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:豊島望 編集:宮原朋之


約3年ぶりの個展『grace note』を終えたばかりのアーティスト、市川孝典。多様な線香を使い分け、紙を焦がしながら描くという独特な作風で、ファッション関係者やミュージシャン、俳優など、さまざまな領域の人々に愛されている市川だが、その表現者としての「核」は、「線香」という手法ではなく、それによって描き出される「イメージ」そのものにある。

ふとした瞬間、自らの頭の中に去来する、さまざまな風景。いつどこで見たのかわからないけれど、妙に記憶にこびりついて離れないその風景――いつか忘れてしまうかもしれない、その風景を「形」として記憶の中から取り出すことに市川は執着する。なぜ市川は、それほどまでに、自らの記憶の…