特集 PR

三浦崇宏×古賀崇洋 広告クリエイターはアートをどう変化させる?

三浦崇宏×古賀崇洋 広告クリエイターはアートをどう変化させる?

『呑むアート展』
インタビュー・テキスト
杉原環樹
撮影:八田政玄 編集:川浦慧、宮原朋之

デジタルとSNSの普及によって、ありとあらゆる体験が先取りされて、感動が確認作業になってしまった。(三浦)

—今回の会場となったカフェでは、展示された器を購入することもできますし、それでお酒を楽しむこともできます。陶芸作品の展示では、「見る」だけで完結することが常ですが、今回、実際に呑むという体験にこだわられた理由は何ですか?

古賀:さきほどルールのお話がありましたが、この『頬鎧盃』という顔に装着できる器のシリーズは、焼き物を立たせる「高台」という部分をしっかり持つことで、器としての第一ルールを守っているものなんです。でも、そうしたことも含めた器の価値は、実際に触れて飲んでもらわないと、見るだけではなかなか伝わらないと思っていて。

『頬鎧盃』
『頬鎧盃』

『頬鎧盃』
『頬鎧盃』

『頬鎧盃』
『頬鎧盃』

三浦:今回、体験にこだわったのには理由があるんです。いま、あらゆる感動が確認作業になっていると思うんですよ。アートについて、検索すれば作品に関する詳しい情報はすぐに手に入ります。でも、かつては「『モナリザ』という名画があるらしい」と漠然と思われていた、多くの人が想像するしかない時代もあったわけですよね。

あるいは、「ウユニ塩湖という世界一美しく反射する湖があるらしい」と想像され、噂されていた。そうした人たちがある日、実際の作品や景色を見る。その瞬間、とてつもない感動があると思うんです。でもいま、写真を見ないで現地に行く人はほとんどいないですよね。感動すべき体験がネットで見た画像の確認作業になって、本当の感動がなくなっている気がするんです。

—たしかに飲食店を探すときも、レビューサイトに頼ってしまいがちですね。それでは、「レビューどおりだった」くらいの感想しか起きない。

三浦:デジタルとSNSの普及によって、ありとあらゆる体験が先取りされて、感動が確認作業になってしまった。アートもその文脈に乗っちゃっていると思うんです。

でも、身体を通した体験は本当の場所にしかない。「持つと痛いんだ」でも「意外と飲みやすい」でもいい。具体的な体験を通じて、もう一度リアルガチで、本当に感動してほしいんですよね。

三浦崇宏

古賀:実際、作品に触れた方には驚きがあったようで。僕は「持ちにくい器」というコンセプトで制作していますが、「意外と手にハマる」とか「飲みやすい」と言われたのは、自分にとっても新鮮な反応でした。

三浦:来てくださる方にはクリエイターも多くて、そういう方が刺激を受けたと言ってくれたのは嬉しかったです。さきほど22歳の女性起業家の方が購入してくださったのですが、「この器を持っている自分でいたい」とおっしゃってくれて。まだ若くて、決して安い買い物ではなかったと思いますが、「こういう器を持っている自分なら自分をもっと好きになれる」と話されていたのが印象的でした。

—たしかに古賀さんの作品は、そうしたシンボリックな力を持った器ですよね。最後にそれぞれ、今後とくに力を入れていきたいことを聞かせてください。

古賀:僕はさまざま作品を、どんどん作っていくこと。焼き物は工程上、作業的になってしまうこともよくあるんです。それこそ数万年前から存在する領域なので、99%以上は先人による仕事のレールの上にある。ただ、『頬鎧盃』を作ったとき、飲んで装着する器ということで、クリエイティブな仕事だと感じたんです。それを今回、三浦さんがこういう企画にしてくれた。

僕はオブジェや彫刻的な仕事もしますし、そうした別のタイプの作品でも、社会に問いを投げかけられるものを作り続けられたら本望です。

古賀崇洋

三浦:僕は最近、会社の仕事で、クライアントという呼び方をやめようと思っていて。これまでお仕事をさせていただいた企業も、古賀さんのような作家も、パートナーと呼びたい。パートナーと一緒に新しい事業を作ることを、どんどんやっていきたいです。

—パートナーの大きさは関係ないと。

三浦:ええ。10億円のプロジェクトも、予算100万円でいろんなところに頭を下げながらやる展示会も(笑)。とにかく変化のきっかけになる仕事は何でもやりたい。

—実際、お二方の話を聞いて、企業とアーティストとは思えないような熱いパートナーシップを感じます。

三浦:もちろんGOとしては、今後も古賀さんの活動を応援していきます。ちなみに、うちの会社の総務をやっている社員は彫刻家でもあるんですね。

今年の4月には、その社員を含めて、別のコンセプトの展示もしたいと考えていて。ニューヨークでの展示企画も検討しています。広告から新規事業、あるいはアート展まで……、いろいろと仕掛けて、どんどん世の中を変える現象を起こしていきたいです。

左から古賀崇洋、三浦崇宏

Page 3
前へ

サービス情報

The Breakthrough Company GO

株式会社GOは、全く新しい思想・システムのPR/広告/マーケティングの会社です。企業・自治体・個人のチャレンジを、事業開発からプロモーションまで全般的にサポート、成功まで導きます。

サイト情報

古賀崇洋 公式ECサイト

イベント情報

『呑むアート展』
『呑むアート展』

2018年1月13日(土)、14日(日)
会場:六本木ヒルズ 森タワー Cafe THE SUN
ドリンクプロデュース:
お酒のプレミアムセレクトショップ「未来酒店」

プロフィール

三浦崇宏(みうら たかひろ)

1983年生まれ。PR /クリエイティブディレクター。2007年博報堂入社。同社およびTBWA\HAKUHODOにて、ストラテジックプラニング、PR、クリエイティブを歴任。カンヌライオンズ、『日本PR大賞』、『グッドデザイン賞』ほか受賞多数。2017年、福本龍馬さんと共同代表としてThe Breakthrough Company GO設立。

古賀崇洋(こが たかひろ)

陶磁器作家。1987年生まれ。福岡県出身。陶芸作家。ストリートから伝統文化を革新し続ける。2013〜2016年、Contemporary Japanese Design & Arts | Fuori Salone (MILANO SALONE / Italy)。2014年、H.P.FRANCE gallery 初個展『陶磁器 古賀崇洋』(南青山 / 東京)。2015年、NEW DESIGN of TEA(GOOD DESIGN STORE Gallery / 香港)。2017年、Ceramic Dedication(OTOGI / 福岡)。2018年、MAISON & OBJET(メゾン・エ・オブジェ)(PARIS / France)。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編

映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編。高畑勲の実験精神に敬意を表する監督が「暗号描画」なる手法を使い、全ての作画をたったひとりで手がけたという。透けてしまいそうなキスシーンや、迫り来る波の一瞬一瞬に確かに手をひかれているようで、全貌が気になって仕方ない。オフィシャルサイトには片渕須直、今日マチ子らのコメントも。(井戸沼)

  1. 岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真 1

    岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真

  2. 『ギャングース』公開日決定&新場面写真にMIYAVI、篠田麻里子、山本舞香ら 2

    『ギャングース』公開日決定&新場面写真にMIYAVI、篠田麻里子、山本舞香ら

  3. 木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開 3

    木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開

  4. ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダムNT』特報、声優陣に榎木淳弥ら 4

    ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダムNT』特報、声優陣に榎木淳弥ら

  5. のんが武満徹『系図』の語り手を担当 谷川俊太郎の詩を朗読 5

    のんが武満徹『系図』の語り手を担当 谷川俊太郎の詩を朗読

  6. 森川葵×城田優のドラマ『文学処女』に中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸ら 6

    森川葵×城田優のドラマ『文学処女』に中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸ら

  7. 次号『CUT』は『銀魂』特集 実写からアニメ、原作漫画まで網羅の36ページ 7

    次号『CUT』は『銀魂』特集 実写からアニメ、原作漫画まで網羅の36ページ

  8. 満島真之介が『映画 おかあさんといっしょ』に出演 「人生の一番の夢」 8

    満島真之介が『映画 おかあさんといっしょ』に出演 「人生の一番の夢」

  9. アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉 9

    アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

  10. 金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化 10

    金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化