
古市コータローと『孤独のグルメ』久住、こだわる面白さを語る
古市コータロー『ピラニア通りのブルース』- インタビュー・テキスト
- 麦倉正樹
- 撮影:鈴木渉 編集:川浦慧、矢島由佳子
僕は、「時短」とかいう言葉も大嫌いで。(久住)
—だから『孤独のグルメ』は、これほどまでに愛され続けているんでしょうね。
久住:だから、さっきも言いましたけど、僕は昔の話をするのが好きじゃないんです。たとえば、The Beatlesの話を一生懸命、難しく解説するおやじとかいるじゃないですか。それよりも、「いま面白いものって何だろう?」って考えたほうが、ずっと建設的だと僕は思うんですよね。
古市:もちろん、僕もこのコンピ盤を「僕の思い出の曲を聴いてください」って作っているわけじゃないんです。それを、「こういう感じで聴いてみたら、面白いんじゃない?」って伝えたいものであって。
だから、今回はアートワークとかも、すごくこだわらせてもらったんです。やっぱり、いまCD屋に置かれて、ちゃんとかっこいいと思えるものにしたかったので。
久住:このジャケット写真はなに?
『ピラニア通りのブルース』(Amazonで見る)
古市:昔、カミナリ族(日本の昭和30~40年代を中心に、オートバイで高速走行することを嗜好していた人達)っていたじゃないですか? この写真は、カミナリ族のチームが海に行ったときの写真なんですよね。
久住:これ、すごくいい写真だよね。当時の感じとか雰囲気が、すごくよく出てる。
古市:結構うまくいったなって、自分でも思ってます(笑)。やっぱり、適当なものは、絶対に作りたくなかったんですよね。こういうコンピ盤って、結構適当なものが多いじゃないですか。
久住:うんうん、わかる。適当に時代で区切っただけのものとかね。
古市:そう。だからこそ、曲順から何から徹底的にこだわりたかったんです。普通の編集盤みたいな感じで捉えられたくなかったんですよね。
久住:そこでやっぱり、いろいろ工夫したり考えたりするわけじゃないですか。そこがいいんですよね。やっぱりさ、面白いものを作るには、それなりに手間暇が掛かるんだよ。
古市:そうですよね。
久住:僕は、「時短」とかいう言葉も大嫌いで。面白いものを作るには、時間が掛かるんですよ。それは、谷口(ジロー)さん(漫画『孤独のグルメ』の作画を担当)が教えてくれたことでもあって……谷口さんの漫画って、たった8ページの『孤独のグルメ』の連載を、アシスタント3人ぐらい使って、1週間掛けて描くんですよ。
そういうふうに時間をかけて丁寧に作ってきたからこそ、いまでも読んでもらえてるんですよね。『孤独のグルメ』の漫画は、いま10か国ぐらいで翻訳されているんだけど、だからこそ、そうやっていろんな人に届いていると思う。
—ドラマも、すごく手間をかけて作られていることがわかりました。
久住:ドラマのスタッフたちは、原作本をものすごく読んでいるから、ちゃんと時間を掛けて丁寧に作ろうっていうところも、きっと無意識のうちに伝わっているんだと思うんです。大事なのは、やっぱりそこなんだと思うんですよね。
リリース情報

- 『ピラニア通りのブルース』
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2017年12月20日(水)発売
価格:3,240円
COCP-402091.悪魔のベイビー / 寺内 タケシ&バニーズ
2.風とオトコのコ / 弘田三枝子
3.サイケな街 / 万里れい子
4.人生は気まぐれ / ザ・ゴールデン・カップス
5.サイケデリック・マン / ジャッキー吉川とブル・ーコメッツ
6.KISS ~K・I・ダブルS~ / 万里れい子
7.ブラインド・バード / ザ・モップス
8.ラスト・チャンス / 内田裕也とザ・フラワーズ
9.スネイク・ヒップ / 日野皓正クインテット
10.クールな恋 / ザ・ゴールデン・カップス
11.欲ばりな恋 / ザ・モージョ
12.ロンリーガール / ザ・サマーズ
13.イエス・ノー・イエス / ザ・クラックナッツ
14.クレイジー・ミッドナイト / ザ・モージョ
15.電話でいいから / アウト・キャスト
番組情報
- ドラマ24『孤独のグルメ Season7』
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2018年4月6日(金)から毎週金曜深夜0:12~テレビ東京などで放送
原作:久住昌之原作、谷口ジロー作画『孤独のグルメ』(扶桑社)
出演:
松重豊
ほか
プロフィール

- 古市コータロー(ふるいち こーたろー)
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THE COLLECTORSのギタリストとして1987年『僕はコレクター』でメジャーデビュー。以来THE COLLECTORSとして22枚のオリジナルアルバムをリリース。2017年3月1日に行われた初の日本武道館ワンマンライブも大成功を収める。同6月よりキャリア最長となる全国32ヵ所に渡るツアーを行う等、デビュー30周年も精力的に活動。2018年は1月から12ヶ月間渋谷CLUB QUATTROでのマンスリーライブが決定している。
- 久住昌之(くすみ まさゆき)
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1958年7月15日、東京・三鷹生まれ。法政大学社会学部卒。美學校・絵文字工房で、赤瀬川原平に師事。1981年、泉晴紀と組んで「泉昌之」名でマンガ家としてデビュー。泉昌之名義では、デビュー作にしてロングセラーの単行本「かっこいいスキヤキ」他、「ダンドリくん」「豪快さんだ!」など単行本多数。谷口ジローと組んで描いたマンガ「孤独のグルメ」は、2012年にTVドラマ化され、season7決定。劇中全ての音楽の制作演奏、脚本監修、最後にレポーターとして出演もしている。