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伊藤郁女が父を想う。言葉がなくても見つめるだけで距離は縮まる

伊藤郁女が父を想う。言葉がなくても見つめるだけで距離は縮まる

伊藤郁女『私は言葉を信じないので踊る』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
編集:川浦慧

この制作が始まってあらためて「自分は父に愛されてるな」と思うんですよ。

—海外公演を拝見して印象的だったのが、やっぱり博史さんのダンスです。すごく積極的に踊ってらっしゃいますよね。

伊藤:すごいです。作品の準備を始めたのが2013年12月なんですけど、それまでは家でインターネットばっかりしてるような生活だった父が、その日から頑張って毎日ジムに通うようになったんです。いよいよ練習の段階になって何度かヨーロッパに来てもらったんですけど、しっかり踊れるうえに、人を笑わせる才能に恵まれていて驚きました。外国人のスタッフにも大ウケで。

伊藤博史 © Gregory Batardon
伊藤博史 © Gregory Batardon

—『私は言葉を信じないので踊る』は、すでに40都市を巡って、計100回近く上演されています。それだけ長い間、父親と時間を共有するというのはかなり特殊な経験ではないでしょうか?

伊藤:いちばん面白いのは、私自身が父親を見続けることの不思議さです。舞台上に、父娘が2人きりでずっと居続けるわけですから。

公演を重ねた今になってみれば、一人のプロフェッショナルとして父を信頼していますが、最初のうちはとにかく心配でした。私たちが手をつなぐシーンがあって、そのときに手のひらから父の心臓の鼓動がダイレクトに伝わってくるんですよ。そのリズムがすごく速くなるので、「このまま死んでしまうんじゃないか?」なんて気持ちがふっと頭をよぎったり。

左から:伊藤博史、伊藤郁女 © Gregory Batardon
左から:伊藤博史、伊藤郁女 © Gregory Batardon

—父親と身体を合わせること自体、なかなかないことですよね。

伊藤:そうですね。この制作が始まってあらためて「自分は父に愛されてるな」と思うんです。びっくりするくらい協力的で、公演の前の晩は体力をつけるために一生懸命食べているし、夜型なのに劇場にも朝早く来てくれる。なおのこと疲れは溜まるだろうし、舞台美術の彫刻を作るための材料が現地で準備できていなかったりすると、日本みたいに簡単には調達できないからストレスもあると思うんです。だから心配にもなるし、愛情も感じるんです。

—クリエーションによって距離が縮まったんですね。

伊藤:私からすると父をさらに強く芸術家として尊敬するようになった。あと、私たちの芸術的なセンスが似ていることもわかりましたね。

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イベント情報

『私は言葉を信じないので踊る』

テキスト・演出・振付:伊藤郁女
出演:
伊藤郁女
伊藤博史
舞台美術:伊藤博史

さいたま公演
2018年7月21日(土)、7月22日(日)全2公演
会場:埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
料金:一般4,000円 U-25券2,000円 メンバーズ一般:3,600円

豊橋公演
2018年7月27日(金)、7月28日(土)全2公演
会場:愛知県 豊橋 穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
料金:一般3,000円、U24 1,500円、高校生以下1,000円

金沢公演
2018年8月4日(土)、8月5日(日)全2公演
会場:石川県 金沢21 世紀美術館 シアター21
料金:一般3,000円、大学生以下1,500円、一般ペア5,500円
※友の会会員・障がい者割引は、一般2,700円、大学生以下1,300円

プロフィール

伊藤郁女
伊藤郁女(いとう かおり)

東京生まれ。5歳よりクラシックバレエを始め、20歳でニューヨーク州立大学パーチェスカレッジへ留学後、立教大学で社会学と教育学を専攻。その後、日本政府より奨学金を得て再びニューヨークに渡米。アルビン・エイリー・ダンスシアターにて研鑽を積む。2003~05年文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。フィリップ・ドゥクフレ『Iris』のダンサーに抜擢される。プレルジョカージュ・バレエ団に入団し、アンジュラン・プレルジョカージュ『les 4 saisons』に参加。2006年、ジェイムズ・ティエレ『Au revoir Parapluie』で踊り、2008年シディ・ラルビ・シェルカウイ『Le bruit des gens autour』の作品にアシスタントとして参加。シェルカウイとは、ソリストで参加したギィ・カシアスのオペラ『House of the sleeping beauties』で再び創作を共にする。同年、自身初となる作品『Noctiluque ノクティリュック』をヴィディ・ローザンヌ・シア ターで創作。2009年マルセイユのメラン・ナショナルシアターで『SOLOS』を発表。アラン・プラテルと共演した『Out of Context』はダンストリエンナーレトーキョー2012でも上演された。2013年、カンパニーles ballets C de la Bプロデュースによる、4作目となる『Asobi』を創作。2014年オリヴィエ・マルタン・サルヴァンと『La religieuse à la fraise』を創作、アヴィニヨン演劇祭とthe Paris Quartier d’été Festivalに参加。2015年SACDより新人優秀振付賞を、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受賞。2018年、新作『ROBOT, L'AMOUR ÉTERNEL』を発表、ヨーロッパ各地で好評を博す。

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