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Ken Yokoyamaインタビュー バンドの弱点と熱量を問うた1年を語る

Ken Yokoyamaインタビュー バンドの弱点と熱量を問うた1年を語る

Ken Yokoyama / NAMBA69 『Ken Yokoyama VS NAMBA69』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子

ダメだしされまくったんですけど、結果的には、自分なりにひとつ掴めたものがあった。(Matchan)

-スプリット盤『Ken Yokoyama VS NAMBA69』に収録されている3曲に目を向けると、曲調はどれもバラバラですよね。昨年はまだぼんやりしていたという『Sentimental Trash』以降のモードが、この3曲に反映されているといえますか?

Ken:今回は意外と朗らかに作ったというか、やりたいことをやりました。ただ、3曲目“Come On,Let's Do The Pogo”に関しては、僕が方向性に煮詰まっていたときにMinamiが曲を持ってきてくれて、それを聴いたら「いいじゃない!」って、今度は僕のアレンジ心に火が点いて、ガーッと4人でセッションして作ることができたんです。

-“Come On,Let's Do The Pogo”はスカナンバーですけど、Minamiさんからすると、Ken Band加入当初は以前に所属していたKEMURIとの区分けがあったというか、それ以外の要素を見せるようなイメージもあったように思うんです。でも、今は素直にやりたいことをやれている状態なのかなって。

Minami:そうですね。前回のアルバムで、カバーですけど、1曲スカ(“Pressure Drop”。原曲はToots and the Maytals)をやって、そこで吹っ切れましたね。よくKenさんとも話すんですけど、そこらへんのスカバンドより全然かっこいいと思うんですよ(笑)。「スカごっこ」で終わってないと思うので、やってよかったなと思いますね。

-まだ明確に「次はこの方向性」というのは決まってないのかもしれないけど、逆に『Sentimental Trash』まで一通りやってきたことを踏まえて、「ここから先はなんでもできるね」という状態にあるともいえる?

Minami:そうかもしれないですね。いろんな曲があるけど、不思議と「この人たちなにがやりたいんだろう?」って感じではないと思うんです。なので、安心していろんな曲が作れるなっていうのは、今回でひとつ見えましたね。

-MatchanさんとJunさんは、今回の3曲をどんなふうに捉えていますか?

Matchan:僕はみんなより音楽の幅が広くないので、結構苦労はしたんですけど、お客さんがどういうふうにこの曲を聴いて、どう感じるのかというのを自分なりにすごく考えました。ダメだしされまくったんですけど、結果的には、自分なりにひとつ掴めたものがあって。この先にもっといいものが作れそうだという手ごたえも感じてます。

Jun:「結果的にこの3曲になった」って感じかな。俺はKenに「いわゆるKen Band的な曲作れよ」って発破かけてたところもあったけど、Kenは良くも悪くも思いつきで今やりたい曲を持ってきて、Minamiも曲を持ってきて、Hanoi Rocksのカバー(“Malibu Beach Nightmare”)はちょっと前からこういうのやりたいって言ってて。とにかくやりたいことを優先順位の上位からやっていったら、結果的に、うちらのお得意とされる2ビートのメロディックパンクではない3曲になったっていう。

-Kenさんは、音楽的な意味でのハイスタとの振り分けは意識しましたか?

Ken:あんまりないですね。ハイスタの3人でやればハイスタの曲になるし、Ken Bandの4人でやればKen Bandの曲になるので。たとえば、同じ時期に2バンドの作曲期間があったとして、僕が同じネタを2つのバンドに持っていったら、違う曲になると思うんですよ。やっぱり、それがバンドじゃないですか?

ただ、この3曲を作るにあたっての精神性とか、バラバラな音楽性の3曲がこの時期にできたということは、後々効いてくるのかもしれない。作ったときはなにも考えてなくても、後々ついてくる意味ってありますしね。

左から:Matchan、Jun Gray、Hidenori Minami、Ken Yokoyama
左から:Matchan、Jun Gray、Hidenori Minami、Ken Yokoyama

人をサポートしないやつが、サポートを受けられるわけがない。サポートをしてほしかったら、周りをサポートしなきゃいけないんです。(Ken)

-1曲目“Support Your Local”のメッセージは、これまでもKenさんでありKen Bandが主にライブハウスを通じて体現してきた精神性だといえると思いますが、このタイミングで改めてこの歌詞を書いたのは、どんな背景があったのでしょうか?

Ken:「Support Your Local」という言葉自体は、アメリカでは「節水」みたいな標語と同じで、ごく普通に使われているんですよ。特にスケートボード業界が「地元のスケートショップをサポートしよう」というのを掲げていて、僕には20代の頃からそれがすごく眩しく見えていたんです。

一方で、『Four』(2010年)のツアーの頃から、スマホが普及し始めて、CDも売れなくなって、情報が全部ネットに持っていかれ始めたなかで、僕は体験することの大事さをよく話すようになったんですよね。大型ショッピングモールに押されて小売店がつぶれて、名物商店街やTOWER RECORDSもどんどんなくなって、街の風景が変わっていった。それが悲しくないなら別にいいけど、僕は悲しいから、そういうことを言っていたんです。もちろん、僕もインターネットで買い物をするから、それ自体を否定できる立場じゃないですけど、ただ、それで食ってる側が「俺をサポートしてくれ」と言わないでどうするんだって思う。言わないからつぶれんじゃねえかって思いますもん。

震災があって、みんな郷土愛に気づいたと思うんですよ。でも、震災を受けてない街だって、「最近うちの街元気ないよね」って指咥えてるだけだったら、つぶれるに決まってる。必死に町おこしをやっても人口は増えないかもしれない。それでも、意志を持って声高に叫んでる連中が、精神的な部分での対価を得られると思うんですよね。

-愚痴をこぼす前に、まずは意思を声に出すことが重要だと。

Ken:それは出版業界とかもそうだと思うし、僕もレコード会社を経営してるなかで「みんなCD買ってくれ」って思いますもん。YouTubeで見るのも結構、ストリーミングも結構、でも買ってくれないとお金にならないから、いいバンドが減るに決まってる。それは自然の、世の中の摂理としてそう。だから「俺たちをサポートしてくれ」って言うし、それは言うべきなんですよ。

-どんな業界であっても、足の引っ張り合いをしてる場合じゃない。もっといえば、それぞれを認め合う時代だというメッセージを感じます。“Come On,Let's Do The Pogo”にしても、「君の好きなように踊ればいいんだ」という曲だと思うし、作品全体が、多様性を重んじる現代の生き方に対するメッセージにもなってると。

Ken:本当にそうなんですよ。だって、人をサポートしないやつが、サポートを受けられるわけがないですよね。ということは、サポートをしてほしかったら、周りをサポートしなきゃいけないんです。

「Support Your Local」って言って終わりじゃなくて、そこからみんながお互いをサポートし合うことの大事さに目を向けられればなって。まあ、僕は聖人君子じゃないから、嫌いなやつは死ねって思ってますけど(笑)。

負けないライブをしなきゃと思っていますね。自分たちにしかできない説得力のあるライブをしたい。(Minami)

-では最後に、Ken YokoyamaとNAMBA69のスプリットツアーに向けて、一言ずついただけますか?

Jun:ナンちゃんとは前にもちょこっとだけ一緒に回ったことがあるけど、前よりもっと仲良くなれるかな(笑)。別に仲悪かったわけじゃないけど、10年前とかだったら今回みたいなスプリットってありえなかったと思うから。ひさしぶりに一緒に回るというのが、より一層楽しみっていうかね。

Matchan:僕はもともとNAMBA69のことはライバルともただの対バン相手とも思ってなくて。「ハイスタのメンバーと一緒にバンドをやってる」というシンパシーがあるから、彼らのことを仲間だと思ってるし、特別なバンドだとも思ってるんです。なので、そういう2バンドでとことん楽しめたらなって。

-Minamiさんはいかがですか?

Minami:僕がKen Bandに入ってから10年で、バンドとしては2004年から動いているわけだから、難波くんの新しいバンドにはまだまだ負けないって、ちょっと胡坐をかいてた部分もあったんですよ。でも、ちょっと前にko-heyくん(Gt,Cho)が入って、今のNAMBA69には勢いがあるなって思うから、負けないライブをしなきゃと思っていますね。難波くん以外のメンバーは若くて、若さでは勝てないので、自分たちにしかできない説得力のあるライブをしたいですね。

Ken:僕もMinamiに近い気持ちで「このまま行ったら負けるぞ」と思ってます。あっちはすごくハングリーな感じだから。別に気迫で楽器を弾くわけじゃないですけど、そういうのって伝わりますからね。

勝ち負けで判断するわけじゃないですけど、当然負けたくはない。で、どうせ勝つんだったら、辛勝じゃなくて、圧勝したい。あとぬるいことはしたくないので、「一緒に“STAY GOLD”やれ」とかは言わないでください(笑)。それぞれ別のバンドでツアーするわけだから、そこまでぬるくないよっていうのは言っておこうかな。

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リリース情報

Ken Yokoyama / NAMBA69『Ken Yokoyama VS NAMBA69』
Ken Yokoyama / NAMBA69
『Ken Yokoyama VS NAMBA69』(CD)

2018年6月6日(水)発売
価格:1,944円(税込)
PZCA-83

1. Support Your Local<Ken Yokoyama>
2. Malibu Beach Nightmare<Ken Yokoyama>
3. Come On, Let's Do The Pogo<Ken Yokoyama>
4. LIVE LIFE<NAMBA69>
5. PROMISES<NAMBA69>
6. SONG 2<NAMBA69>

イベント情報

『Ken Yokoyama VS NAMBA69 Tour』

2018年6月22日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2018年6月24日(日)
会場:新潟県 LOTS

2018年7月4日(水)
会場:東京都 Zepp DiverCity

2018年7月5日(木)
会場:東京都 Zepp DiverCity

2018年7月10日(火)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

2018年7月12日(木)
会場:大阪 なんばHatch

2018年7月13日(金)
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL

プロフィール

Ken Yokoyama
Ken Yokoyama(けん よこやま)

2004年、アルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてバンド活動を開始。その後、ソロバンド通称・Ken Bandを率いてライブを行い、2005年に『Nothin' But Sausage』、2007年に『Third Time's A Charm』をリリース。2008年1月13日に日本武道館でのライブを『DEAD AT BUDOKAN』と称して行った(12000人動員)チケットは即日完売。2010年には『FOUR』をリリース。2011年3月11日の震災を期にKen Bandを率いて東北でフリーライブ等を積極的に敢行。9月18日にロック・フェスHi-STANDARD主催『AIR JAM 2011』を横浜スタジアムで開催する。そこで、11年ぶりにHi-STANDARDの活動を再開させ、12年には横浜での収益を基に念願の東北で『AIRJAM 2012』を開催。11月には5枚目のアルバム『Best Wishes』をリリース。2015年7月、シングルとしては8年4か月ぶりとなる『I Won't Turn Off My Radio』をリリースし、テレビ朝日系『ミュージックステーション』に初出演。大きな話題を呼んだ。9月、2年10か月ぶりとなるニューアルバム『Sentimental Trash』を発表。また、Gretsch Guitar 132年の歴史において、初の日本人ギタリストのシグネチュア・モデル「Kenny Falcon」が発売される。2016年3月には自身2度目となる日本武道館公演を『Dead At Budokan Returns』と称して開催。

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