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タムくんとタイの作家に訊く、タイのキャラクター文化急成長の訳

タムくんとタイの作家に訊く、タイのキャラクター文化急成長の訳

『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧

マムアンちゃんも他のキャラクターも、みんな「人生」を見ているんだよね。そこがポイント。(タムくん)

—マムアンちゃんって誕生して何年でしょう?

タムくん:もう15年くらいかな?

タムくん
タムくん

マムアンちゃん
マムアンちゃん(Instagramで見る

—それを考えると、他のキャラの大先輩という感じのキャリアですね。

タムくん:まあね(笑)。

—マムアンちゃんとの15年はどんな時間でしたか? お互いに成長してきた?

タムくん:マムアンちゃんは、漫画じゃなくて気軽に描いてみた絵から生まれたからね。だから、そんなに重くない感じは最初から今まで変わらないかな。描いてみたらかわいくて、いろんな誌面に紹介されたり、イラストの依頼を受けたり。

そもそもマムアンちゃんには背景のストーリーがないから、すごくシンプルに伝わるんだよね。こんなにシンプルなことが15年間続いたっていうのは、自分でも驚き。今ではアニメまでできちゃってるからね。

—タムくんは神戸と京都に留学されていて、そのときにはじめてマムアンちゃんを描いたんですよね? その誕生のきっかけは?

タムくん:僕は1998年から自分のことを題材に漫画を描きはじめたんだけど、5年間描いたところでけっこう満足しちゃった。だから次は自分じゃないこと、自分以外のことを描きたいなって思ったの。そのときにたくさんのキャラクターを描いてみたんですよ。こういう人もいるね、こんな動物もいるね、って。そのなかの1人がマムアンちゃんだった。

マムアンちゃんは「何も考えてない子」(笑)。人生の重さとか、どんな風に生きるべきとか、難しいことは考える必要のないキャラクター。あのマンゴーみたいなかたち、シンプルな線で、無邪気な子どもとしてマムアンちゃんを描いたの。

タムくん

—最初に描いたキャラクターは、マムアンちゃん以外だとどんなキャラがいましたか?

タムくん:日本の漫画雑誌で連載してたブランコちゃんとかもいたよ。マムアンちゃんと違って、ブランコちゃんの人生はミステリーだけど。マムアンちゃんと比べるとかわいくない人生を送ってる人。他にもたくさんいるよ。犬のマナオとか。

『ブランコ』は、小学館の月刊漫画雑誌『IKKI』で連載されていた作品
『ブランコ』は、小学館の月刊漫画雑誌『IKKI』で連載されていた作品

—マムアンちゃんが生まれるまでは、タムくんが感じている悩みを反映させたような漫画、キャラクターが多かった?

タムくん:シリアスなキャラクターが多かったよね。自分の人生を反映しているから、すっごく切なかったり。話も激しくなっちゃうんだよね。マムアンちゃんはそれとはまるで逆。でもマムアンちゃんも他のキャラクターも、みんな「人生」を見ているんだよね。そこがポイント。

—マムアンちゃんが生まれたことで、タムくんのまわりの反応に変化はありましたか?

タムくん:「かわいい」って言う人は増えたよね。でも、マムアンちゃんは「かわいい」って言う以外には、特に何もないキャラとも言える。それに、自分の実感としては「大人気!」って感じはない。ストーリーもないし、人気のピークもなくて、ずっと一定って気がするし。だからマムアンちゃんに接する側の読者も、一定に好きなんじゃないかな。

マムアンちゃん
マムアンちゃん(Instagramで見る

きれいに描きたいと思いはじめたんだ。昔は「美しさなんていらない」って思ってたから不思議な変化だよね。(タムくん)

—特に日本では、ミュージシャンやクリエイターが強く反応していた気がします。

タムくん:たしかに、最初のうちは音楽とかアートの人が反応してくれることが多かった。それが次第に商業的な媒体や広告から依頼が来るようになって、それは変化と言えるかもしれないね。マムアンちゃんが好きな人は、ちょっとヘンな人が多いね(笑)。

—タイでの受け入られ方はどんな感じでしょう?

タムくん:日本と比べると、タイでよく知られるようになったのはこの数年かもしれない。タイにはアートやデザインを紹介するマイナーで尖ったメディアは少ないからね。雑誌の連載もほとんどないし。でも日本は、そういうニッチな表現を受け入れる器がすごくあるじゃない?

—「紙媒体が消えている」と言いつつも、いまだにたくさんの雑誌やZINEが流通しているのは日本ならではですね。

タムくん:うん。タイだとその代わりがきっとSNSなんだよね。だから僕がタイでマムアンちゃんを紹介したいなって思ったのは、FacebookとかInstagramが普及しはじめたここ最近。日本とタイは流行の仕方が違うんだよ。

—最近は、コンビニでマムアンちゃんとコラボする商品も見られるようになったとか。

タムくん:でも本当に時々かな。最近はファミリーマートの肉まんとコラボしたり。僕はアートやサブカルもコマーシャルも好きだけど、どっちかと言えばもっとヘンなものをやりたいなとは思っているよ。

—これから新たに挑戦したいこと、表現したいことってありますか?

タムくん:自分のショップとかもっと力を入れたい。あと漫画も描きたい。アイデアはたくさんあるんだ。でも時間が少なくってできてないのが残念。大きな絵も描きたいな。

—じゃあ、展覧会とかも。

タムくん:やりたいね。もっと「絵」のクオリティーを上げたいんだ。昔は、あたまに浮かんだメッセージが伝われば良いと思ってた。だから、むしろテキトーっぽさが味になるように絵を描いて、そこに言葉を加えていた。スピーディーさとコミュニケーションが第一の目的だから、絵が美しいのは二の次だったんだ。

でも僕も大人になってきて、もっとゆっくり時間をかけて、1枚の絵をきれいに描きたいと思いはじめたんだ。昔は「美しさなんていらない!」って思ってたから、すごく不思議な変化だよね。

—それは大きな変化ですね。

タムくん:うん。生活のスタイルも変わったしさ。若い頃は家だってテキトーで良いし、住む場所もどこも良いって思ってた。でも最近は暮らしにも「気持ち良さ」がほしいなって思うようになってきた。そうしたら、壁に絵がかかってたりすると素敵じゃない。自分が心地良い時間を過ごすために、そこに飾ることのできる絵も自分で描きたいと思ったんだよ。

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イベント情報

『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』
『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』

2018年7月14日(土)~7月29日(日)
会場:東京 六本木ヒルズ アート&デザインストア
参加キャラクター:BLOODY BUNNY(ブラッディバニー)、Durian THE MASK(ドリアン・ザ・マスク)、Jay the Rabbit(ジェイ・ザ・ラビット)、MAJORY(マジョリー)、Mamuang(マムアン)、MEAW(ミャオ)、Shewsheep(シューシープ)
主催:タイ国大使館商務参事官事務所

クリエイターワークショップ

人気キャラクターのクリエイターによるワークショップを開催します。
2018年7月14日(土)、7月15日(日)
会場:東京 六本木ヒルズ アート&デザインストア

プロフィール

Poptoday(ぽっぷとぅでい)

2003年にチュラロンコーン大学建築学部インダストリアルデザイン学科卒業後、グラフィック・デザイナーとして活動。2006にLiffolabを創設し、グラフィック、キャラクター、ゲームのデザイナーとして活躍。2012年にShewsheepをスタート。

JJ(じぇいじぇい)

PR・マーケターとして広告代理店に勤務する傍ら、SNSにアップしたうさぎのイラストが友人にシェアされ瞬く間に人気に。うさぎの名前JAYは自らのニックネームJJから。現在は独立し、連載や企業タイアップを中心に活躍中。

ウィスット・ポンニミット

1976年、タイ・バンコク生まれ。愛称はタム。バンコク、シラパコーン大学デコラティブアート学部卒。1998年バンコクでマンガ家としてデビューし、2003年から2006年まで神戸に滞在。2009年『ヒーシーイットアクア』により文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞受賞。現在はバンコクを拠点にアーティスト・マンガ家として作品制作の傍ら、アニメーション制作・音楽活動など多方面で活躍する。主な作品に「マムアン」シリーズ、『ブランコ』(小学館)、『ヒーシーイット』シリーズ(ナナロク社)など。2016年には、新刊『ヒーシーイットレモン』刊行、個展「ほっとすぽっと」開催、くるりの楽曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」PV制作を手掛けたほか、さいたまトリエンナーレ2016にも参加。

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