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藍坊主が15年を語る。イラつきや葛藤を抱えた時期を乗り越えて

藍坊主が15年を語る。イラつきや葛藤を抱えた時期を乗り越えて

Eggs
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:伊藤惇 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/01/07

10年前にあった、自分と現実との壁がなくなった。(渡辺)

—始まった当初の藍坊主は「青春パンク」や「日本語ギターロック」という言葉で括られる部分もあったと思うんですけど、そうした場所から出発して、音楽性や世界観がどんどんと拡張していった。藍坊主は、ロックフェスが台頭してきた時代においても、頑なに「作品性」を突き詰めていった稀有なバンドだと思うんです。『フォレストーン』は、そうした藍坊主の進化を象徴するような作品だと思うんですけど、なぜ藍坊主は大きな変化を重ねることが可能だったのだと思いますか?

渡辺:それは、「飽きやすい」っていうメンバーの性格によるものも大きい気がしますね(笑)。きっと藍坊主というバンドは、言いたいこと、伝えたいこと、やりたいことは、昔からずっと変わっていないんですよ。でも、「どうやったら、それが伝わるだろう?」って、その手法を極端に変え続けている。それが、アルバム毎の変化に通じていると思うんです。

僕自身のことを振り返ると、『フォレストーン』の頃って、自分の「中」と「外」の距離感がすごく遠い感覚があって。目の前に現実がありながらも、この辺(と言いいながら頭の少し前を指さす)に違う景色が見えている……そういう精神状態だったんですよね。自分の中にある「正解」と、外の世界にある「正解」、それらを繋ぐものってなんだろう? ということばかり考えていると、周りが見えなくなってくるんですよ(苦笑)。

あと、これは4人全員に言えることだと思うんですけど、『フォレストーン』って、「自分のもの」感がすごく強い作品だったと思うんです。

左から:hozzy、渡辺拓郎
左から:hozzy、渡辺拓郎

田中:そうだね。「ライブ映え」とか「フェス映え」なんて一切考えてなかったし、観に来てくれる人やファンの人たちのリアクションを眺める余裕もなかった。とにかく音源に自分たちのやりたいことをパッケージするために集中力を使っていたし、ライブでも自分たちのやりたいことをやるために精一杯だったよね。でも去年、10年経って『フォレストーン』の曲を演奏してみて、あのアルバムの曲が普通に口ずさんでもらえる「みんなの歌」になっていたのは嬉しかったな。

左から:田中ユウイチ、hozzy
左から:田中ユウイチ、hozzy

渡辺:そうなんだよね。僕も去年やっと初めてあのアルバムが「自分のもの」じゃなくなった感じがして。10年前にあった、自分と現実との壁がなくなったというか。『フォレストーン』が、聴いてくれた人たちのものになっている感じがしました。

昔の方が、お互いが意識し合っていたよね。(田中)

—この15年間で、hozzyさんと藤森さんの関係性も変わってきていますか?

hozzy:まず単純な話、藤森は他のアーティストへの楽曲提供もやるようになりましたけど、俺は一切やっていないんですよ。そこはタイプの違いとして、かなり明確になったなと思います。

外に出すために曲を書くことに対して、俺はなかなか興味が持てなくて。自分やバンドで発表するものでないと、曲を書くモチベーションが上がらないんですよね。でも、藤森は有名なアーティストさんにも曲を書けるし、実際に評判もいいし……そういう部分は、羨ましいです(笑)。

藤森:初めて藍坊主以外のアーティストに楽曲提供したのは関ジャニ∞だったんですけど(2011年の“宇宙に行ったライオン”)、そのとき、内心はやりたくてしょうがなかったんです。でも、メンバーに後ろめたい気持ちもあったので、あまり前のめりな気持ちは表立って見せないようにしていて(笑)。

hozzy:俺、もし10年前に藤森が楽曲提供始めていたら、「なに日和ってんだよ」って内心感じていたと思う(笑)。

藤森:(笑)。それでも「絶対にいい曲にするぞ」と思っていたし、決まったときは嬉しかったですね。

藤森真一
藤森真一

hozzy:関ジャニが決まったときは、普通に「すげえな」って思った。そうやって藤森の曲が周りに評価されることで、「藍坊主のソングライターって、外に出すとこんなに受けがいいんだ」と思ったし、「やっぱり、いい曲書いているんだな」とも思えたし。きっと、藤森が他の人に書いた曲から藍坊主のことを知ってくれた人もいるよね。

藤森:うん、そう言ってもらえるのはすごく嬉しい。……けど、なにより今は、自分が作った曲をhozzyに「いい曲だ」と言ってもらえるのが嬉しいんですよね。10年前だと、僕もhozzyの作る曲を「いい曲だ」と面と向かって言えなかったと思うんですよ。

田中:昔の方が、お互いが意識し合っていたよね。バンドが始まった当初は、hozzyとモーリー(藤森)で、お互いの物事を捉える視点は全然違っていたと思うけど、段々とモーリーがhozzyのような視点で曲を書いたり、逆にhozzyがモーリーの視点で曲を書くようにもなっていった感じがあって。それこそ『フォレストーン』くらいの時期は、どっちがどっちの曲か一瞬わからなくなるような感じもあったんです。

そもそもモーリーって、外側から観察するようにして物事の動きを捉える人で、hozzyは物事を内側から見た視点で歌詞を進行させている印象があったんですけど、『フォレストーン』の頃は、お互いの物事の捉え方が影響し合っている感覚があったんですよね。

田中ユウイチ
田中ユウイチ

藤森:本当に、その通りだと思う(笑)。『フォレストーン』周辺は、hozzyが悩んでいる話を聞いたら、それに対する自分なりのアンサーを曲に書いていることが多かった気がします。「僕だったらこう思うけど、hozzy、どう思う?」みたいな。

それから、『ノクティルカ』(2012年リリース、6thアルバム)くらいの時期になると、年齢的にも20代終盤に差し掛かって、僕自身もめちゃくちゃ悩み始めて。hozzyもhozzyで悩んでいたと思うんだけど、その頃は、hozzyの方が大きな視点でキャッチーな曲を作るようになって、僕の方が、個人的な深みの中から湧き出てくるものだけを煮詰めて作っていた気がします。

作詞・作曲:hozzy、『ノクティルカ』収録曲

渡辺:これはhozzyと藤森だけじゃなくて4人全員に言えることだと思うけど、そういう時期を経て、今はそれぞれが、「自分の武器はこれだ」って自信を持って提示できるようになっている気はしますね。

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イベント情報

『aobozu DEBUT 15th ANNIVERSARY TOUR「ルノと月の音楽祭」 ~嘘みたいな15年編~』

2019年1月12日(土)
会場:宮城県 仙台LIVE HOUSE enn2nd

2019年1月13日(日)
会場:北海道 DUCE SAPPORO

2019年1月19日(土)
会場:広島県 Cave- Be

2019年1月20日(日)
会場:福岡県 INSA

2019年1月26日(土)
会場:長野県 松本ALECX

2019年1月27日(日)
会場:新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE

2019年2月2日(土)
会場:香川県 高松 TOONICE

2019年2月3日(日)
会場:大阪府 umeda TRAD

2019年2月9日(土)
会場:愛知県 APOLLO BASE

2019年2月11日(月・祝)
会場:神奈川県 小田原市民会館

アプリ情報

『Eggs』
『Eggs』

アーティストが自身の楽曲やプロフィール、活動情報、ライブ映像などを自由に登録・公開し、また、リスナーも登録された楽曲を聴き、プレビューや「いいね」等を行うことができる、アーティストとリスナーをつなぐ新しい音楽の無料プラットフォーム。登録アーティストの楽曲視聴や情報は、「Eggsアプリ」(無料)をダウンロードすると、いつでもお手もとでお楽しみいただけます。

料金:無料

プロフィール

藍坊主
藍坊主(あおぼうず)

神奈川県小田原市出身の藤森真一(Ba)、hozzy(Vo)、田中ユウイチ(G)、渡辺拓郎(Dr)からなる4人組ロックバンド。2004年5月にアルバム『ヒロシゲブルー』でメジャーデビュー。2011年4月にTVアニメ『TIGER & BUNNY』エンディングテーマ“星のすみか”を発表し、翌月にはバンド自身初となる日本武道館公演を成功させた。2015年、自主レーべルLuno Recordsを設立。藤森真一(Ba)はこれまでに関ジャニ∞“宇宙に行ったライオン”や水樹奈々“エデン”等、楽曲提供も手掛ける。hozzy(Vo)はジャケットデザインの描き下ろしや楽曲のトラックダウンを自身で行う等、アーティストとして様々な魅力を発揮しており、よりパーソナルでコアな表現活動のためのプロジェクト、Normの活動をスタート!

関連チケット情報

2019年10月5日(土)〜11月4日(月)
KOKI
会場:八王子Match Vox(東京都)
2019年12月29日(日)
藍坊主
会場:横浜ベイホール(神奈川県)

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