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川崎鷹也が語る、世間に見つかるまでの葛藤と、根底にある「愛」

川崎鷹也が語る、世間に見つかるまでの葛藤と、根底にある「愛」

川崎鷹也『Magic』
インタビュー・テキスト・編集
矢島由佳子
撮影:永峰拓也
2020/10/16

奥さんは「目に映るすべての人を幸せにしたい」って真っ直ぐ言うんです。尊敬しかしてない、学ぶことばっかり。

“魔法の絨毯”を含め、川崎鷹也の楽曲の多くは「たったひとりの人」に向けて歌われているように聴こえてくる。その多くは彼の愛する人であり、ときには親だったり友達だったり。“魔法の絨毯”も<お金もないし、力もないし 地位も名誉もないけど 君のこと離したくないんだ>という、川崎自身の境遇と心情を素直に表現していることが、歌とメロディに妙に強い説得力と聴いた人の心に突き刺さる力をもたらしているのだと思う。インタビューの中でも、彼は奥さんへの素直な想いを包み隠さず表してくれた。

―川崎さんが歌を書くモチベーションって、どんなものだと言えますか?

川崎:僕は、もちろんいろんな人に聴いてほしいし届いてほしいんですけど、一番根っこにあるのは、僕の一番大事な人に届くかどうかを重要視していて。なぜなら、そこに届かなかったら誰にも届かないんですよ。それは絶対に。極端な話、誰にもいいって言ってもらえなくても、この人にだけいいって思ってもらえたらそれでいいや、っていう自分のエゴある。だから、みんながみんなに共感してもらえるようには書いてなくて。

―『アカデミー賞』のスピーチで、ポン・ジュノ監督(映画『パラサイト』)がマーティン・スコセッシ監督の言葉を引用して言った「最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ」という言葉を思い出します。

川崎:共感! 本当にそう思います。結局はシンガーソングライターがやってることって、自己満足なんですよ。いかにそれをいろんな人にわかってもらえるかとかは別に考えてなくて。自分が書きたいことや言いたいことをただ発信して、それが誰かの心が揺さぶったり背中を押したり「もうちょっとだけ頑張ろう」ってひとりでも思ってくれたら、それでいいなって。そう思いながら僕は曲を作ってます。

―“魔法の絨毯”も、川崎さんのノンフィクションなのだろうと思っていたんですけど、これはどういう境遇のときに書かれた曲ですか?

川崎:これは3年くらい前に書いたんですけど、当時お付き合いしてた方に向けて書いた曲で。そのとき僕はパチンコ屋で働いていて、時給も低いしもちろんお金も持ってないしなにか成功してるわけでもないし、そんな僕がこんな素敵な人を守れるんだろうかという不安と劣等感を感じていて。でも、それを言ってても始まらないし、お金も地位も名誉もないけど、それでもこの人だけは離してはいけないっていう思いがあったんですよね、当時。……まあ、後の奥さんなんですけど(笑)。

―素敵!

川崎:ありがとうございます(笑)。

川崎鷹也

―「アラジン」というモチーフはどうやって浮かんだんですか?

川崎:奥さんがめちゃくちゃディズニーが好きで。年パス勢で、付き合った当初は毎月ディズニーに行ってたくらい。それであるとき奥さんが、劇団四季の『アラジン』の最前列のチケットを取ってくれたんです。奥さんの名言に「一流の人は一流のものに触れないといけない」っていうのがあって、「鷹也は一流なんだから、一流のものを観に行こう」って。

―めちゃくちゃいい話じゃないですか……奥さん、素敵な方ですね。

川崎:尊敬しかしてなくて。学ぶことばっかり。奥さんは「目に映るすべての人を幸せにしたい」って真っ直ぐ言うんです。それは僕と付き合う前から言っていて、でも正直、昔の僕にはその感覚がなくて。今は理解できるし、それを実現させようとしている彼女は本当にすごいなって。うさぎカフェの経営者なんですけど、人だけではなく動物も含めて全部が幸せになれたらいいなって本気で思ってて、それを純粋にやる人なんです。

―川崎さんの歌の中には好きな人に届かないような描写も多々見られますが、もともとは片思いから始まったんですか?

川崎:片思いが長かったんです。2つ上の高校の先輩で、高校の頃から好きでした。やっと、っていう感じでしたね。

“君の為のキミノウタ”は、付き合って初めての彼女の誕生日に書いた曲で。ずっと想像してたんですよ、付き合って一緒にいる未来のことを。いざ叶ったときに……付き合ってから2年間、ずっと信じられなかったんです。朝起きて隣にいることとか、彼女が作ってくれたご飯を食べることとかが、ずっと信じられなくて。地球規模で考えたときに、137億年の中でひとりの人間の寿命とか人生って一瞬だけど、その一瞬を大切にあなたのために捧げたいなと思って書いた曲でした。

川崎鷹也“君の為のキミノウタ”を聴く(Apple Musicはこちら

―川崎さんの曲は、自分が相手より一歩下がったところにいる視線からの描写が多いのが特徴的だと感じていたんですけど、納得しました(笑)。

川崎:そういう女性への接し方は、奥さんと一緒にいるようになってからより強くなった気がします。というのも、僕じゃなくて奥さんがそうなんですよ。お互いに尊重し合って認め合う関係性ができているからこそ、ああいう曲しか書けないのかもしれない。

川崎鷹也

―“魔法の絨毯”についてもうひとつだけ聞くと、これはいくつかのJ-POPのヒットソングがそうであるように曲の全部のパートがサビになり得るくらいの強度があるし、そもそも構成が「Aメロ→サビ→Bメロ→サビ・サビ・サビ」という変わったものになっていますよね。それが多くの人に何度も聴きたいと思わせる要因のひとつになっていると思うのですが、そのあたりはどれくらいを意識して作られたんですか?

川崎:いや、僕の曲の書き方って、歌詞とメロディとコードが全部一緒に出てくるんですよ。口の動きとかが気持ちいいところを歌ってみて作っていく。言っちゃうと、即興なんです。なんとなく弾いて、なんとなく口から出た言葉が気持ちよければ、それが自分にとって一番歌ってて最高なものだって信じてるから。なので、作るときはAとかBとかCとかは考えてなくて、“魔法の絨毯”も2時間くらいで書き上がったものなんです。

―逆に言うと、書けるモードに入るまでは時間かかったりします?

川崎:めちゃめちゃかかる……。書き始めたらめちゃめちゃ早いんですけど、それまではすごく遅くて……よく怒られます(笑)。

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リリース情報

川崎鷹也『Magic』
川崎鷹也
『Magic』

2020年10月1日(木)配信

1. Let me know
2. エンドロール
3. 光さす
4. ほろ酔いラブソング

イベント情報

『川崎鷹也ワンマンライブ “Magic~魔法の絨毯にのって~”』

2020年11月6日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
定員:300名
料金:3,000円(ドリンク別)

プロフィール

川崎鷹也
川崎鷹也(かわさき たかや)

1995年、栃木県生まれ。2018年、アルバム『I believe in you』をリリース。一度聴いたら忘れられないハスキーな歌声と美しいビブラート、癖になるメロディーラインが魅力。2020年8月、TikTokで“魔法の絨毯”が人気となり同曲を使った動画が27,000本以上アップされ、トータルの再生回数は約1億3千万回となる(2020年9月現在)。また、Spotify「バイラルTop50」で1位を獲得。LINE MUSIC「アルバムトップ100」で2位にランクイン。2020年10月1日に、EP『Magic』をニューリリース。11月6日にはワンマンライブ(有観客&無料配信)『Magic~魔法の絨毯にのって~』を開催する。

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