ギョーカイ列伝 ―並べて、伝えて、つなげる。つながる。―(CINRA)

unBORDE・鈴木竜馬を取材。ゲス乙女を巡る報道に対して提言も

日本のエンターテイメント業界の最前線で戦い続ける人物に話を聞く新連載『ギョーカイ列伝』。その記念すべき幕開けに、きゃりーぱみゅぱみゅ、ゲスの極み乙女。、tofubeatsなどを輩出してきたワーナーミュージック・ジャパン内レーベル「unBORDE」主宰の鈴木竜馬をお迎えした。スペイン語で「エッジ」を表すレーベル名通り、個性豊かなアーティストを擁し、CDセールスが100万枚に届きにくくなった音楽業界に新たな風を吹き込んだ人物だ。

レーベル設立から5年を経て、2016年には、コカ・コーラとのコラボによって幕張メッセにて招待制の無料フェスを開催。今回の取材では、音楽と企業のタイアップの新たな可能性についてから、看板アーティストの1組であるゲスの極み乙女。を巡る騒動で感じた日本のメディアに対する提言までを、熱く語ってくれた。

ここから先をどうするかがすごく難しいんです。今が過渡期だなと思っています。

―まずは竜馬さんのこれまでの職歴と、unBORDE設立までの経緯を話していただけますか?

竜馬:僕の社会人デビューは1993年で、ソニーミュージックのグループに入社して、マーチャンダイジングの仕事をしていました。4年ほど働いてからソニーをドロップアウトして、旅して遊んだりしたあと、ワーナーミュージックのグループにジョインしたのが1999年。宇多田ヒカルさんの800万枚ヒットが生まれたりした年です。

当時の自分の大きな仕事としては、2001年にRIP SLYMEのデビューに携わらせてもらったこと。職責としては販促だったんですけど、国民認知度2割とかだったアーティストの2ndアルバム(『TOKYO CLASSIC』)が、いきなりオリコン初登場1位で、100万枚を売ったんですよね。

―それが竜馬さんにとって、今のご自身にまで影響を与えるような大きな体験となっている。

竜馬:「100万枚ヒット」って、本当に体感しないとわからないことなんですよ。発売日の次の日に「6桁バック」という、今では死語になりかかってますけど、10万枚単位のバックオーダー(CDショップがメーカーに追加発注をかけること)がきて、工場の生産が追い付かなかった。それは本当に震えるような体験で、だからこそ、若いやつには常に「目標を上げろ」と言ってるんです。

鈴木竜馬
鈴木竜馬

―そのあとにA&R(Artists and Repertoireの略。アーティストの制作担当)の仕事に移ったそうですね。

竜馬:2004年からRIP SLYMEの制作に直接かかわるようになったり、BONNIE PINKの復活劇にかかわらせてもらったりして、ヒット作りを経験してきました。そのあと一度宣伝部長をやって、2010年にA&Rに戻ったんですけど、その頃にはそう簡単に100万枚売れない状況になっていた。

なので、数字の作り方として、100万単位でCDを売ることを狙うのではなく、10万枚や20万枚といった、比較的ターゲットを見据えてやれるような濃いアーティストを数組並べて、トータルで100万枚売るということをやれないかと思ったんです。

そのときに僕の上司だったのが、今はもう亡くなってしまった吉田敬という、あとにも先にもあれほどCDを売った人は出てこないであろう、平井堅、the brilliant green、CHEMISTRY、コブクロなど、ミリオンヒットを連発した人で。その人に「自分のやり方をそのまま真似しなくていい。お前の方程式でいいから、なにかやってみろ」と言ってもらって。会社のオーダーと、自分のアイデアが、いい意味で合致したタイミングでした。

―そこでunBORDEを立ち上げたわけですね。

竜馬:そうです。スタッフに関しても、これまでとは概念を変えた方がいいと思ったので、ちょっとでこぼこなやつというか、「ネジが外れてる」というより、「最初からネジついてなかったんじゃないの?」みたいなやつばっかりを集めて(笑)。当時は、野郎ばっかり7~8人で始めました。

僕はこの業界って、女性の活躍の場がすごくあると思ってるから、基本的には女性登用主義者で。今はunBORDEにも女性のA&Rが何人かいて、彼女たちがヒットを作ってくれてるんですけど、当時はでたらめなやつを集めたら男ばっかりになっちゃって(笑)。

鈴木竜馬

―スタッフも個性豊かな布陣で、第1弾アーティストの神聖かまってちゃんが象徴するように、個性の強いアーティストを、そのアーティストの色にあった方法論で世に届けて、レーベルとしてトータルで「100万枚」を作ろうとしたわけですね。

竜馬:ただ、やっぱり「10万枚×10組=100万枚」というのを実現するのは簡単なことではなく、5万枚売れるアーティストもいれば、15万枚のアーティストもいて、帳尻を合わせながらここまで来たというのが正直なところです。

2年目でいきなりきゃりー(ぱみゅぱみゅ)との出会いに恵まれたり、ゲスの極み乙女。もそうで、彼らのように大きなヒットとなったアーティストもいる一方、RIP SLYMEや高橋優のように常に安定したアベレージを持った人もいる。全体のなかで伸び縮みがありつつ、ここまで来ました。なので、数字の理論が100%成功したわけではない。ただ、セグメント化したことによって、もう一度レーベルというものにアイデンティティーを持たせることができたので、ブランディングとしては成功したのかなと思っています。

神聖かまってちゃんメジャーデビューアルバムより(2010年3月)
高橋優メジャーデビュー曲(2010年7月)

―まさに、今では「unBORDE」というレーベル自体に強い記名性がありますよね。

竜馬:ただ、ここから先をどうするかがすごく難しいんです。今が過渡期だなと思っています。俺はそもそもunBORDEを変に大きくしようとは思ってないから、どれだけ人気のあるアーティストの話をもらっても、闇雲に契約を結んだりはしないんですけど、とはいえ会社人としての職責がある。

なので、会社には他の部署で貢献しつつ、「その分unBORDEは自由にやらせてください」という形で10年続けるのか、もしくは一回かっこよく潰しちゃうのもアリかもしれない!? とか、選択肢としていろいろ考えているところです。

ここ数年の日本の昼のワイドショーみたいなものは、才能を後押しするというよりも、足を引っ張ったり、潰したり、いじめ気質みたいなものが強くて、それは本当にクソだと思う。

―2016年はunBORDE設立5周年のアニバーサリーイヤーとなりましたが、この5年のなかで、一番苦労したことはどういったことでしょう?

竜馬:それはマーケットの問題ですね。今の音楽業界の趨勢として、第何次かのバンドブームになってるとは思っていて、それはいいことなんですけど、フェスにお客さんが集まる一方で、マーケットとして作品までなかなかお金が回ってこない。

悲しいかな、蓋が見えているというか、「10万枚×10組」という話をしましたけど、実際は3~5万でせめぎ合ってる感じなんです。「3万枚×30組」を作っていくのは大変なんですよね。1~2万枚売れるアーティストをたくさん抱えているインディーズのレーベルもあるから、そういう道も選択肢としてはあるけど、それはメジャーがやるべきことではないと思う。なので、蓋が見えてるなか、それでもやりたい音楽をやるという、そのバランスが難しいです。

―そこを超えていけるアーティストをいかに見出すかが課題とも言えそうですね。

竜馬:その意味で言うと、ゲスの極み乙女。はバンドシーンにいながら、蓋がない存在だと思ったんです。音楽的にも、画的にもそうで、きゃりーのときと同じように、出会った瞬間に「これはやらなきゃ絶対ダメだ」と思いました。彼らの3回目のライブのときはもう、うちのスタッフが行ってましたからね。

―「画的」というのは?

竜馬:ゲスの極み乙女。は、最初から音楽的にかなり可能性を感じさせられたけど、見た目の作り込みが十分ではなかった。だけど、そこはRIP SLYMEやきゃりーで培った経験を活かして、彼らをよりよく見せられるスタイリストやヘアメイクを提案できると思ったんです。そうすることで、バンドとしての蓋を見ずに、また違う夢が見れるなと。

―そんな彼らが活動自粛になってしまったことは、当然unBORDEにとって大きな出来事で、そのことに関する苦労もあったかと思います。

竜馬:もちろん苦労はあったけど、なにが大変かって、メディアとのやり取りなんですよ。ここに関しては、誰になにを言われても声を大にして言いたいんですけど、エンターテイメント業界においては、その人の才能を世の中に届ける手助けをすることが、メディアとして本来正しいというか、大義であるべきだと思うんです。

海外にだってパパラッチはあるし、そういうメディアが日本にもあるのは当然だけど、ここ数年の日本の昼のワイドショーみたいなものは、もちろんすべての番組がそうではないと思いますが、才能を後押しするというよりも、足を引っ張ったり、潰したり、いじめ気質みたいなものが強くて、それは本当にクソだと思う。たとえば彼は、人として反省すべき部分もありますけど、それで音楽のことも否定されるのはちゃんちゃらおかしいと思いますね。

鈴木竜馬

―現状としては、バンドは活動自粛期間に入り、ニューアルバム『達磨林檎』の発売が一時中止となっているわけですが、今後に関してはどうお考えですか?

竜馬:それこそ、アルバムは川谷一人で作ったものではなく、バンドメンバー四人で作ったものですから、作品自体に罪はないと思うので、届けるべきタイミングを待って出したいと思っていますよ。

ひとつ絶対にやるべきかなと思っているのは、ワイドショーとかの知ったかぶりのコメンテーターだったり、番組プロデューサーだったりに対しては、「あなたは彼らの作品を聴いたことがありますか?」「実際に彼らのライブを観たことがありますか?」と突き付けて、「作品や公演に触れた、その上でモノを言ってください」と。レコード会社の制作チームとしては、しかるべきときに、それを真摯に伝えていくということです。

―ゲスの極み乙女。の活動休止前のラストライブは、個人的にも本当に素晴らしかったと思います。

竜馬:確かに本当に素晴らしかったので、生配信すればよかったなって思ったし、知ったかぶりのコメンテーターのスマホに強制的に映像を送りつけたかったですよ(笑)。まあ、今はとにかく、しかるべきタイミングでリスタートして、作品を届けられたらと思っています。

とはいえ、この1年大変だったといえば大変だったけど、どうってことないといえばどうってことなくて。そもそも、スキャンダルなんかあってもなくても、作品を1枚1枚リリースしていくのって、本当に大変なことなんですよ。ただ、どんなに大変だったとしても、それがヒットしたら、その喜びとは本当に替え難いもので、疲れなんて吹っ飛ぶんですよね。そこはA&Rという仕事の醍醐味だと思います。

そもそも個人的に広告が大好きで、可能性をすごく感じているし、そこに対するモチベーションは強く持っている。

―レーベル5周年には、所属アーティスト全員が参加する「unBORDE all stars」を結成し、オリジナル曲“Feel”を発表。さらには、コカ・コーラとのコラボで、4月に幕張メッセにて主催フェスを「完全招待制」、つまりは無料開催という企画もありました。これはどのような経緯で実現したのでしょうか?

竜馬:そもそも個人的に広告が大好きで、可能性をすごく感じているし、そこに対するモチベーションは強く持っているんです。それに、若いときからコカ・コーラとはいつか仕事をしたいとずっと思っていて。

コカ・コーラに関しては、RIP SLYMEのときになにがなんでもコカ・コーラの広告をやりたくて、電通他、いろいろなところに出向いて、自主プレゼンをしたりした結果、“熱帯夜”をCMに使ってもらうことができました。そのおかげで、曲自体が大ヒットとなった。そこで一回「コカ・コーラと仕事をしたい」という夢は叶っているんですけど、コカ・コーラみたいなかっこいいナショナルブランドとは何度でもご一緒したいので(笑)。

―ゲスの極み乙女。の“私以外私じゃないの”もコカ・コーラのCMソングでしたもんね。

竜馬:完全招待制のイベント開催に関しては、まずunBORDEが5周年ということでなにかをやりたくて、幕張メッセを先走って押さえちゃったんです。なおかつ、最近はいろんなレコード会社がフェスをやったりしてますけど、僕たちは興業として儲けたいというよりも、ファン感謝デーにしたかった。そのためには、「無料招待」がインパクトもあっていいよね、と。

僕が中高生の頃に、HOUND DOGの“ff(フォルティシモ)”がカップヌードルのCMで大ヒットして、そのあと日本武道館でライブを10日間やって、11日目はタダという企画をやっていたんですけど、それが子どもながらに鮮烈な記憶として残ってたんですよね。

―そこで今回再びコカ・コーラと組むことを考えたと。

竜馬:「コカ・コーラを飲んで、フェスに行こう」というコピーは、ふと思いつきました。ただ、うちはミスチルとかサザンのような東京ドームクラスのアーティストはいなくて、「エッジ」というとかっこいいですけど、マーケットでいうと、そこまでオーバーグラウンドではないんですよね。なので、コカ・コーラのようなモンスターカンパニーと組んでイベントを開催するのは難しさもあったんですけど、そこはセンスにベットしてもらおうと思って、旧知の副社長に「幕張買ってくれない?」って言って(笑)。

―夢のある話ですね(笑)。とはいえ、コカ・コーラ側も、そこにベットすることにメリットを感じて決断してくれたわけですよね。

竜馬:コカ・コーラとしても、10代が赤いコカ・コーラから離れているという状況があったので、お互いのニーズが合致したんです。それが上手くハマって、実際に今年の夏はコカ・コーラの売り上げがかなり伸びたというレポートを受けました。ちゃんとお互いにとっていい結果となったので、それはすごくよかったです。

『Coca-Cola presents unBORDE 5th Anniversary Fes 2016』にて、unBORDE all starsのステージが実現した

何事もやるなら徹底的にやった方が面白いし、そうじゃないと届かないからね。

―レコードビジネス自体は斜陽といわれていて、実際ニッチな市場になっているのかもしれないですけど、音楽自体の価値は変わらず大きなものがあって、今の話のように、広告に使われることによって、ものが爆発的に売れたりもする。そうやって業界を超越して結びついていくことが、これからより重要になっていくように思います。

竜馬:本当にそうで、それは俺だけでなくて、レコード会社全体の課題でもあると思います。それこそ、『君の名は。』があれだけ大ヒットしたのは、RADWIMPSと映画のケミストリーみたいなものがあったからだと思うし、最近のワーナーの話でいうと、ゲームの『龍が如く』に山下達郎さんが曲を提供して話題になったりもしています。

単純に稼ぐという意味でいっても、tofubeatsはここ半年自分の作品はリリースしてないけど、今鬼のように忙しくて、それはウェブ広告とかの音楽を作ってるからなんですよね。「A2B(Artist to Business)」で生まれる純利益はかなり大きいです。

鈴木竜馬

―企業とのタイアップという意味では、SuchmosとLevi's®のコラボレーションも話題になりましたし、2016年は音楽の可能性を感じさせる事例が多かったように思います。

竜馬:YONCE(Suchmosのボーカル)はBEAMSの動画(『TOKYO CULTURE STORY』)にも参加してましたもんね。Levi's®の広告は、「Adidasを着ててもいいんだ!」って思ったけど(笑)、やっぱりああいうかっこいいことは恥ずかしげもなくやった方がいいですよね。

竜馬: MTVが作った「ブランデッドミュージックビデオ」(ミュージックビデオとCMをシンクロさせた映像)という言葉があって、RIP SLYMEはそれをやり倒したんですけど、単なるサブリミナルじゃなくて、そこに相乗効果が起きないとつまらない。車のCMだったら、「しれっと車に乗るシーンを入れる」ではなくて、車に堂々と乗ってた方が絶対に面白いと思うんですよ。

―“Feel”のミュージックビデオも、後半でみんながコカ・コーラを飲むシーンはとても印象的で、あれ見たらコーラ飲みたくなりますもんね。

竜馬:でしょ? せっかくコカ・コーラと組めるんだから、あそこまでやらないと意味がない。日本はスポンサーの兼ね合いの問題があって、それをやっちゃうとテレビで流しにくいみたいなこともあるけど、今ではYouTubeもあるわけで。何事もやるなら徹底的にやった方が面白いし、そうじゃないと届かないからね。

個人がそれぞれ、メジャーフィールド以外でやれることが増えると、メジャーの会社はメジャーの意義とか意味を考えないといけない。

―この連載記事はCINRA.NETとCAMPFIREの合同企画なのですが、竜馬さんはクラウドファンディングについてどのような印象をお持ちですか?

竜馬:勉強不足ではあるんですけど、たとえばアイドルでいうと、昔はメジャーフィールドのものだったのが、今は「アイドルやってるんです」と言うことがもっと身近なものになって、そういう人たちが自分の作品を出すためにクラウドファンディングを使うのは、めちゃくちゃいいなと思っています。自己主張の場としてネットというインフラがあって、そこで自分のサポーターを集められることは、最高だと思う。

個人がそれぞれ、メジャーフィールド以外でやれることが増えると、メジャーの会社はメジャーの意義とか意味を考えないといけない。そうやってこちらがいろいろと考えさせられるのも、すごくいいことだと思いますね。

鈴木竜馬

―クラウドファンディングは多様化するニーズに対応するという側面があるわけで、その意味では、メジャーとインディーそれぞれにしかできないことに対して活かすことができると。

竜馬:とにかく、アーティストが自己主張する場を作れるというのは素晴らしいと思うんです。しかも、アーティストはコンビニで働く時間があるなら、その時間をもの作りにあてた方が絶対にいいわけで、クラウドファンディングで資金を集められるならバイトを減らせるわけですもんね。

それに対して、「自分でバイトして稼げ」とかいうやつはどの口が言ってんだって話でね。支援する人がいてこそ成り立つわけだから、それに対して第三者がなにかを言う筋合いはないと思います。

自分はあくまで会社人なわけですけど、会社の資本でいろんなことがやれるというのは、最高にいいですよ。

―では最後に、エンターテイメント業界に入りたいと思っている人、また興味はあるんだけど、業界の未来に不安も感じている人に対して、なにかメッセージを伝えていただけますか?

竜馬:自分はメジャーメーカーにいて、あくまで会社人なわけですけど、会社の資本でいろんなことがやれるというのは、最高にいいですよ。失敗したら怒られるかもしれないけど、会社を口説いて、そのお金で自分がやりたいことをやって、それがヒットしたら、すごい快感を得られるわけじゃない? それなのに、今はみんな若干ビビりすぎかなとは思います。

「会社のお金なんだからいいじゃん」って言うのはちょっと乱暴だけど、でもそのくらいの気持ちでやった方がいいですよ。「制作費がこれしかないから、このなかでこじんまりと」ではなくて、「どうしてもやりたいから、制作費や宣伝費を出してくれ」って、会社に対してプレゼンすればいいわけで。

―今の人はかつての100万枚のような成功体験を感じることが難しいので、そこで二の足を踏んでしまう部分があるのかもしれませんね。

竜馬:それはあると思うけど、やっぱり目標は高く持つべきだと思います。

―リスクがあるのは当然だから、まずはトライしてみることが重要で、会社にはそれができる環境があると。

竜馬:それがメジャーという環境であるわけで。それで失敗ばっかりだったら、才能がないってことだし、もちろん運も大事だし。ただ、その職責に置かれたのなら、ベットをしないというのは、職責を放棄するようなことだと思う。ヒットを作るためにやってるんだったら、そのリスクを背負うことも含めて、仕事としてやるべきだと思います。自分の思い描くことが絵空事だったとしても、俺はほら吹きのようにそういうことをいつも言っていたいです(笑)。

だって、そうじゃないと面白くないじゃん? 当たるも八卦、当たらぬも八卦で仕事をするのは嫌だけど、なにかが化けるときはポジティブな意味で当たるも八卦、当たらぬも八卦だから。可能性というのは、いつも見ていたいよね。

そういう意味でも、エンタメ業界に入ったのなら、後日、ある程度の歳になったときに成功談も失敗談もあわせて笑える話がたくさんあった方がいい。俺らも諸先輩方々のそういった話に、常にエネルギーをもらってきたわけだから(笑)。

鈴木竜馬

ウェブサイト情報
CAMPFIRE

群衆(crowd)から資金集め(funding)ができる、日本最大のクラウドファンディング・プラットフォームです。

プロフィール
鈴木竜馬 (すずき りょうま)

株式会社ワーナーミュージック・ジャパン執行役員 / 邦楽第1クリエイティブルーム本部長 / unBORDEレーベルヘッド。1969年、東京生まれ。1993年、株式会社SONY CREATIVE PRODUCTSに入社。1999年、ワーナーミュージック・ジャパン入社。RIP SLYMEのデビューから、山下達郎、竹内まりやなどの販売促進担当として様々なプロジェクトに携わる。2010年、社内に邦楽レーベル「unBORDE(アンボルデ)」を発足。きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースなど、レーベルの陣頭指揮を執りながら現在に至る。



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