想田和弘監督の観察映画新作は「演劇」から現代社会に迫る5時間42分の2部作

想田和弘監督の長編ドキュメンタリー映画『演劇1』『演劇2』が、10月から東京・渋谷シアター・イメージフォーラムで公開される。

同作は、これまでに映画『選挙』『精神』で、ナレーションも音楽も挿入しない「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱すると共に実践している想田監督の新作ドキュメンタリー。日本を代表する劇作家・演出家の平田オリザと、彼が主宰する劇団「青年団」の作品に強い衝撃を受けた想田監督が、平田にコンタクトを取ったことから生まれた作品だ。監督自身による合計300時間におよぶ撮影と、約2年にわたる編集の末、合計5時間42分という2部作に仕上がっている。

『演劇1』では、青年団の創作現場にカメラを向け「平田オリザの世界」と平田が提唱する「現代口語演劇理論」を徹底解剖すると同時に、「演劇とは何か」「演じることとは何か」を本質的に問い直した作品。戯曲の執筆から稽古、照明、舞台美術、ワークショップ、劇団運営の実際など、青年団のあらゆる活動をはじめ、平田演劇の哲学や方法論、組織論を描き出している。

「平田オリザの世界」に焦点を当てた『演劇1』に対して、『演劇2』は「平田オリザと世界」を描いた作品。約60人の俳優と約20人のスタッフが所属する青年団と、その運営に不可欠である助成金について、助成金に頼ることのない劇団経営方法の摸索、音楽や美術と比べて学校教育に取り残されている演劇教育プログラムの開発などを取りあげ、演劇を通じて現代社会を見つめなおしている。

同作について想田監督は「演劇を通して現代社会を見つめ直す作業でもあり、拙作『選挙』や『精神』ともオーバーラップする世界が垣間見えたと思う。そういう意味では、『選挙』『精神』『演劇』は3部作として観ることができるだろう」と記している。

『演劇1』『演劇2』

2012年10月からシアター・イメージフォーラムにて ロードショー、他全国順次公開
監督・製作・撮影・編集:想田和弘
出演:
平田オリザ
青年団・こまばアゴラ劇場の皆さん
配給:東風

(画像上から:『演劇1』©2012 Laboratory X, Inc.、『演劇1』©2012 Laboratory X, Inc.、『演劇1』©2012 Laboratory X, Inc.、『演劇2』©2012 Laboratory X, Inc.、『演劇2』©2012 Laboratory X, Inc.)

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