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Eveの快進撃を考察 ボカロ文化発の才能が日本のロックを更新する

『Eveワンマンライブツアー[メリエンダ]』
テキスト
ふくりゅう
編集:山元翔一
2018/10/18
Eveの快進撃を考察 ボカロ文化発の才能が日本のロックを更新する

米津玄師の登場以降、日本のロックカルチャーはかつてのボカロPの手によって独自の進化を遂げつつある

Eveの勢いのすごさには、ボカロP・ハチとしてボーカロイド文化を牽引し、2012年にアルバム『diorama』のリリースに伴い、本格的に歌唱をはじめた米津玄師を思い起こさせるものがある。いまEveを筆頭に、ボカロシーン出身アーティストによって音楽シーンに活況がもたらされていると言って過言でない状況が生まれつつあるのだ。

多くのリスナーは、もしかしたら初音ミク全盛期であった、supercellやlivetuneの時代、wowaka、ハチ、じん(自然の敵P)、HoneyWorksの時代で、ボカロシーンの認識が止まっているかもしれない。しかし、ブームの根は尽きることなく、ボカロシーンの広がりはYouTubeにも拡散され、様々なクリエイターが誕生するコミュニティーとして「インキュベーション」機能を持つ重要な役割を担っている(参考記事:ボカロシーン、焼け野原からの再出発 DECO*27×Neru対談)。

ここで着目したいのは、いまシーンを支えているリスナーの大半は10代、20代前半であること。初音ミクの誕生から10年以上経過し、確実にファンは入れ替わりながらも、ボカロシーンは若いリスナーの熱い支持を保持し続けているのだ。

撮影:小見山峻
撮影:小見山峻

振り返ると、米津玄師の登場はボカロ文化発祥のネットシーンとロックシーンを繋ぐミッシングリンクとなったのかもしれない。そして、誤解を恐れずに言えば、米津玄師も大きな影響を受けたBUMP OF CHICKENの登場から連なる「日本独自のオリジナリティーを持ったロック文化」の最新系が、Eveを筆頭に、須田景凪や有機酸などボカロ文化を出自に持つアーティストによってさらにアップデートされようとしているのではないか? この日のライブにおけるオーディエンスの高揚感が、これらの事実を裏づけているように筆者には思えたのだ。

ボカロ文化は、現代のカウンターカルチャーと位置づけできるのかもしれない

この日、Eveがボカロ文化に対して語っていたことが印象的だった。

ボーカロイドや「歌ってみた」という、世間的にはアンダーグラウンドなカルチャーを出自にもつこと、それゆえに観客の家族や友人の大半はきっとその文化すらも知らないであろうということ――それにもかかわらず、自身の存在を気にかけ、会場まで足を運んで歌を聴きに来てくれたことが嬉しいとEveは語った。そして、この日のライブを通して、「みんなと未来を共有したいなって思いが強くなった」と続けた。

撮影:小見山峻
撮影:小見山峻

ダンサブルなポップチューン“お気に召すまま”で、超満員で熱気にあふれたTSUTAYA O-EAST公演は大団円へ。終演後、モニターに映された映像で、11月4日には新木場STUDIO COASTでの追加公演が発表された(本公演も即日完売が発表された)。Eveの人気の勢いはとどまることを知らない。

ジャパニーズロックシーンをアップデートする未来予想図――ボカロ文化はカウンターカルチャーでありオルタナティブであっても、決してアンダーグラウンドではないはずだ。米津玄師、そしてEveの活躍など、派生する現在進行形の歴史がそれを裏づけている。Eveには、さらにシーンをひっくり返すような、時代の分岐点となるダイナミックな活動を期待したい。そう思わされた、スペシャルな一夜だった。

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イベント情報

『Eveワンマンツアー[メリエンダ]東京公演』

2018年8月16日(木)
会場:東京都 TSUTAYA O-EAST

『Eveワンマンツアー[メリエンダ]追加公演』

2018年11月4日(日)
会場:東京都 新木場STUDIO COAST

プロフィール

Eve(いゔ)

2枚の自主制作アルバムを経て、2016年に初の全国流通盤「OFFICIAL NUMBER」をリリース。本作から自身による作詞・作曲中心の作品構成となる。2017年12月13日に発売したインディーズアルバム「文化」は初の全自作曲のみで制作。収録曲「ナンセンス文学」「ドラマツルギー」「お気に召すまま」「あの娘シークレット」がYouTubeで軒並み1000万再生を超えるなどしたほか、オリコンインディーズチャート1位、iTunes2位を記録し話題に。2018年には「文化」を携えた東名阪ワンマンツアーを行い、11月4日に控える自身最大規模となるSTUDIO COAST公演も即完させている。

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