戸田真琴×砂連尾理×稲葉俊郎と見つめ直す、身体って一体なに?

自分の「身体」を理解している? 頭と身体のずれを感じる、ワークショップが開催

意識的にも無意識的にも日々、さまざまに動く私たちの身体。今この文章を読んでいるあなたの指は、1分間に何回動いているだろうか? 私たちは普段そんなことを気にとめることもなく、(自分なりに)スムーズに身体を乗りこなしているつもりでいる。

あらゆる多彩な個に触れ、ダイバーシティの浸透を目指す芸術祭『True Colors Festival - 超ダイバーシティ芸術祭』(主催:日本財団)。約1年にわたってパフォーミングアーツプログラムを上演する本イベントの一環として、公開講座『True Colors ACADEMY ~第1回「からだのミカタ」~』が開催された。今回の講座のテーマは「身体の暗黙のルールをずらす」。振付家・ダンサーの砂連尾理、医師の稲葉俊郎、セクシー女優の戸田真琴が登壇し、心と身体の繋がりから得られる豊かさについて考察するほか、ワークショップを通して自分の「内なる声」と他者の「言葉にならない声」を受け取る感受性を高めるヒントを探った。会場には外国の方や障害のある方、年齢も20代から70代とさまざまな参加者が集まった。

稲葉:人間って、頭にかなり振り回されていて、身体と頭の関係がうまくいっていないことが多いんです。頭はいくらでも嘘をつけるけど、身体には嘘という概念がない。

生きていると常に身体を持っているわけですが、身体とコミュニケーションを取れていないことが、いろんな不具合や生きづらさに繋がるんです。今回は身体と頭の関係がどうなっているのか、自分の身体とコミュニケーションを取るとはどういうことかを考えていくのですが、それが結果的に人と繋がることに発展していく。頭ではなく、身体でわかることを、みなさんと共有しながら進めていけたらと思います。

稲葉がこう語りワークショップがスタート。実際に身体を動かしながら、実はあまり知らない自分の「身体」について考え、そして未知の感覚を思い出すような、不思議な体験を得る旅路が開かれていった。

稲葉俊郎(いなば としろう)
医師、東京大学医学部付属病院循環器内科助教。医学博士。1979年熊本生まれ。心臓カテーテル治療、先天性心疾患が専門。在宅医療や山岳医療にも従事。西洋医学だけではなく伝統医療、補完代替医療、民間医療も広く修める。2011年の東日本大震災をきっかけに、新しい社会の創発のためにあらゆる分野との対話を始める。単著『いのちを呼びさますもの』(アノニマ・スタジオ)、『ころころするからだ』(春秋社)など。

最初のワークは、相手の手のひらに自分の手を乗せて、相手がついてこられないように素早く手を動かす。相手はその手を追って、自分の手を動かす、というものだ。聞こえは簡単そうだが、目を開けて相手の動きについていこうとすると、なかなか追いつけない。それは、視覚に頼りすぎているからだ、と稲葉は言う。そこで、目をつぶって同じ動きを行うと、なんと、相手の手にぴたっと自分の手が密着するように簡単に動くことができる。まるで相手の皮膚と自分の皮膚が一体化したような感覚に、参加者からも驚きの声があがった。

左から:稲葉俊郎、本イベントでディレクターを務めたライラ・カセム、戸田真琴。稲葉の解説を受けながら、戸田もワークに参加していた

また、ペアのひとりが目を瞑り、もうひとりの手だけに触れて、導いてもらいながら会場を歩く、というワークも行われた。「意外と進んでいない」「目をあけたら思いもよらないところにいた」「相手に身体を委ねることが気持ちよかった」……さまざまな感想が飛び交うなか、共通して浮き彫りになったのは、いかに私たちは普段目に見えるものだけに囚われているのか、ということだ。私たちは日々、あまりにひとりで立とうとしている。ときにすべてを預け、委ねることで、私たちの秘められた身体の力が発揮されるのかもしれない。

ワークの参加者

昏睡状態の人とどう対話する? 言葉はいらない、身体だけ

続いて行われたワークは、「昏睡状態の人との対話法」。昏睡状態(今回はペアの片方が、昏睡状態を演じた)の相手の身体に触れ、呼吸を観察し、自分の呼吸を合わせていく。そして、相手の動きを観察し「左の瞼が少し動きましたよ」など、その動きを声に出して伝える。このワークでも、普段は感じ得ない感覚が身体を巡っていった。

自分が触れている相手と、呼吸、流れている時間、動作の歩幅が合うことで、自分と相手の身体の輪郭がふわっと溶けていくようだ。自分という身体がいちばん身近でありながら、いちばん見えていない。触れる手と優しい声、そんな他者の存在と動きを接点にしながら、自分の身体を自分に引き寄せていくようだった。

左から:砂連尾理、戸田真琴、稲葉俊郎

この発展系として行われたのは、相手に触れながらも言葉はかけず、ひたすら呼吸を合わせるというもの。そして、その次は6人のグループになり、円になって隣の人の肩に手を触れ、呼吸を合わせていく。参加者から発せられた「1本の木みたいだった」という感想が印象的だった。その場に受け入れられたような安心感、ひとつの大きな呼吸の波に飲み込まれていく心地よい無力感。身体が引き伸びて、その波のなかにいる人々がひとつの大きなうねりになったようだった。

手の感覚を通じて他者に触れ合ったこれまでのワーク。次はコミュニケーションの対象をモノに拡大していく。

椅子、壁、床……触れることで、世界と身体の関係を結び直す

砂連尾:自分とモノって、言葉では区切れますよね。言葉は世界を分節化していくので、それによって世界を認識しやすいんですけど、他者に触れて自分の身体を緩めていったように、手の触覚から、まわりのものや壁、床、服などを捉え直し、分節化された世界を溶かすように曖昧にして、改めてまわりの世界との関係を結び直していきましょう。

砂連尾理(じゃれお おさむ)
1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。近年はソロ活動を中心に京都・舞鶴の高齢者との「とつとつダンス」、宮城・閖上(ゆりあげ)の避難所生活者の取材が契機となった『猿とモルターレ』を発表、また映画『不気味なものの肌に触れる』(濱口竜介監督)の出演、振付など。著書に『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような―』(晶文社)。立教大学現代心理学部・映像身体学科特任教授。

来場者は、今まで自分が座っていた椅子、壁などにじっくり触れていく。約5分間の静寂。人々が身のまわりを文字通り手探りで捉えようとする音が聞こえる。筆者も実際に椅子をずっと触っていた。座席の面、脚、背もたれ……ざらっとしている、軽い素材、ひんやりとした温度、硬い……そんなことを考えているうちに、だんだん自分がなにを触っているのかわからなくなってくる。なんだか今まで認識していた世界がぐにゃっと曲げられているような気がした。

そんな感覚のなか、最初に行ったワークをもう一度やり直す。暗闇のなか人々がダンスするように、手の動きを合わせていく。委ね合うということが、最初よりもすっとそれぞれの身体に入ってきている。暗闇のなかに、それぞれの身体の輪郭が立ち上っていたようだった。

暗闇のなかでそれぞれモノとの「対話」を試みる様子は、まるで舞踏会のようだった

「視覚というものに囚われがちななかで、身体の感覚をどう取り戻して生きていくかを考えていきたい」(砂連尾)

講座の後半は砂連尾、稲葉、戸田によるトークセッション。ワークショップを経て、改めて「身体」そのものについて、身体を消費することについて、身体と世界について、盛りだくさんに話した。

戸田:私はいま、AV女優という職業に就いていますが、はじめは自分の身体を売りに出している女性がいることや、それを見るためにお金を払うということに対して「これってなんなんだろう?」って強く思っていたんです。それが商業として、娯楽として成立していることが、まったく理解できなかった。だから、この世界に飛び込んだんです。

身体の売り方にもいろいろあって、私は視覚的に売っているんですよね。逆に言うと、収録したもの以外は金銭と交換していないから、売り出していない。普通に働いている人たちも、身体と時間を売って暮らしているわけですよね。生きているということは、ある意味自分の身体を売り出して、代わりに得るもので身体を持続させ、また身体を売り出していく。その繰り返しなのは、セックスワーカーもそれ以外の人も変わらないことなのかなと思っています。

戸田真琴(とだ まこと)
2016年にSODクリエイトからデビュー。その後、趣味の映画鑑賞をベースにコラム等を執筆、現在はTV Bros.で『肯定のフィロソフィー』を連載中。ミスiD2018、スカパーアダルト放送大賞2019女優賞を受賞。愛称はまこりん。初のエッセイ『あなたの孤独は美しい』を2019年12月に発売。

稲葉:戸田さんは視覚的なものとして売っているとおっしゃっていましたが、人間って目玉の奥に視神経があり、それが脳に直接繋がっているんです。だから、見たものって脳と直結しているんですよ。そのことを理解していないと、僕らは見た目にすごく騙されて、それによって動かされてしまう。それはいい場合と悪い場合どちらもあるんだけど視覚と脳とが大きな錯覚をして体との繋がりを失い、誤作動を起こしてしまう。そういう人を、医者という立場では診察することも多いのです。

頭は右を向いているんだけど、身体は左を向いている状態で、どちらに行けばいいかわからないと感じている人たちがいる。僕はそういうときは、身体が向かうほうに頭を合わせていったほうがいいとすすめています。そういう感覚を今日みなさんにも体感してもらえていたらいいなと。

砂連尾:「消費される身体」って非常に象徴的だけど、それって一般にも意外に生きていますよね。視覚というものに囚われがちななかで、身体の感覚をどう取り戻して生きていくかを考えていきたい。

僕、ドイツに暮らしていたときに、合気道の稽古にたくさん行っていたんですよ。ドイツ人と初めて組み手をしたとき、初対面の人なのに懐かしいなと思って。それって、きっと身体の情報としてのDNAは記憶していて、ものすごく昔に、すこし胡散臭い言い方をさせてもらうと前世で会った人、さらに言うと「人間」として出会う前に、出会った「物質」なのかもしれないなと思ったんです。そうやってイメージを膨らませて自分を眺め、アイデンティティという概念で縛られた身体を解放し、他者と関わっていくためのメディアとしての身体を認知すると、身体が、世界に向かっていくための味方になると思います。

それは身体が動かない人もそうですし、今回のワークがあまりわからなかったという人もそうですが、身体を通して「わからない」という感覚に新しく出会い直すことができますし、「わかる / わからない」という基準以外で世界と繋がれるようになると思います。

「当たり前」を追求することが、新しい発見につながっていく

わからないことに身体を放り込むこと、そしてわからないことを受け入れること。それはとても怖いことで、難しいように思える。しかし、戸田も頷きながら、「知らないままでなにかを判断するのってものすごく安全だけど、ものすごく不自由」と続ける。

戸田:知ってから始まることしかないんですよね。たとえば愛することができる可能性があるものがどこかにあるのならば、そこに行くしかない。最終的に自分が自分自身のままでいられる場所を求めていくしかないけど、そこだけを求めていたら、たどり着けないのかなと思っています。

砂連尾:わかっていることだけに止まってしまうと、世界はなにも応えてくれないんですよね。「わからない」ことと関わるのはたしかに怖いんだけど、わからないことと仲よくなっていくと、それが教えてくれることがたくさんあります。怖いものにアクセスする入り口としての身体に、もっと意識的になっていくのがいいんじゃないかな。身体を通して「わからない」と関わったときに、自分のなかに眠っていたものがムクムクと起き出して、感覚が変わっていくと思います。

稲葉:そうですね。「わからない」って言っているのは結局、頭なんですよ。身体はわかっている。身体がわかっていることを頭はわからないと言っていると知ることが大事なんです。身体が動くことも、人とコミュニケーションを取ることも、当たり前としているけれど、じつはそこにはすごく謎があります。だって、昏睡状態の人とどう対話するの? って思ったでしょう。そこには「当たり前」とは別のコミュニケーションがあるんです。

人間が生まれて死んでいくことを当たり前だと思わずに探求していったら、それが仏教になった。物が落ちるという当たり前を追求していったら引力が発見された。人と交流したり繋がったり離れたりすることが、常に謎だと探求していくと、あらゆる発見に繋がっていくわけです。みなさんの未知の扉も開け放していてほしいなと思います。

「いつか外側の情報から自由になって、言葉の意味や思い、撮りたい景色、それだけになることをずっと望んでいます」(戸田)

未知の部分に触れるためには、普段使っている感覚を意識的に閉じるのも有効だ。そうすると、別の感覚を使おうと身体が動き、別の扉が開かれる。私たちは日々、目で見たり頭で理解した情報こそが大事だと思いがちだが、それすらも内包する身体の感覚、身体が得る情報に耳を傾けてみてほしい。視覚情報として身体を見せている戸田がこう話す。

戸田:個人の話になってしまうんですけど、AV女優をしていると、体格や顔立ちなど、視覚情報がすべてになってしまう。自分の身体に自分の中身が入っていることを私自身はすごく普通だと思えているけど、他者には、見た目と中身が一致しないと言われることがすごく多くて、それに疑問を持ち続けているんです。私はコラムを書いたり映画を撮ったりしているんですけど、いつか外側の情報から自由になって、言葉の意味や思い、撮りたい景色、それだけになることをずっと望んでいます。そう考えていたことを、今日改めて思い出しました。

稲葉:AV(アダルトビデオ)の世界は本当に視覚の世界じゃないですか。でも、僕が思う男女のまぐわいって闇の世界で、触覚や嗅覚の世界なんですよね。あえてそれを視覚的に拡大しているわけだけど、戸田さんはその狭間に立っているんだなと思いました。そこに自分を奪われないように食いとどまりながら、言葉や映像で思いを伝えようとしているっていう、その真意が伝わってきました。

砂連尾:戸田さんはある意味、未知なものへ身体を冒険させたわけですよね。言葉や映像を通して、世界にアクセスしていくためにまず身体を投げ出している。そうやって身体を未知なるものに委ねていく、あるいは飛び込むという体験をしたときに、みなさんそれぞれになにかがクリエイトされる瞬間と出会えるんじゃないかなと思います。

戸田:私も昔は常に硬直して外を歩いていたんですよ。自分に自信がなかったし、世の中に対して自分を開くことがまったくできなかった。なぜなら開くと「おかしいね」と言われることが多かったから。世の中にまったくアクセスできないし、アクセスすることを怖がる自分を変えるきっかけとしてもAV女優の活動を始めたんです。

それで何年か経って気づいたら、いつの間にか世の中にある程度溶け込むことができていたんですよね。世の中に自分を少し委ねることが年々できるようになっているのかなと感じたし、怖いものが少しずつ減ってきたような感覚があって。それはこれからももっとよくなっていくといいなって思っています。

感覚をある程度閉じていたほうが、社会生活がうまくいく場合もあるだろう。しかし、それ以前に、私たちは「人間」という動物だ。忙しく生きる日々のなかで、時間や社会に飲み込まれてしまって自分の姿が霞んでしまっていないだろうか。無意識に自分や世界の境界線を決めつけてはいないだろうか。そんな人こそ、自分の存在を感じるために、世界や相手に自分を委ねてみてほしい。身体に入っている力、頭が教えてくることを一度横に置いて、自分の野性的な身体を世界に開いてみることで、より豊かに、鮮やかに、世界や他者、そして自分を捉え直すことができるはずだ。

イベント情報
『True Colors ACADEMY ~第1回「からだのミカタ」~』

2019年11月12日(火)
会場:渋谷スクランブルスクエア15F SHIBUYA QWS
ゲスト:
砂連尾理
稲葉俊郎
戸田真琴

企画:
『True Colors ACADEMY』ディレクター

True Colors ACADEMYでは様々な人生背景を持つ人や物語と出会うことを通じて、日常の中で置き去りにされがちな社会課題や違和感に接近していきます。

刺激的な学びの場である公開講座型の「LECTURE(レクチャー)」シリーズと、対話と実践を繰り返し、より深く社会課題に接近していくメンバーシップ制の「STUDIO(スタジオ)」プログラムを通して、多様な個性が共存する社会の実現を目指していきます。

『True Colors Festival』

「超ダイバーシティ芸術祭」。障害・性・世代・言語・国籍などのあらゆる多様性があふれ、皆が支え合う社会を目指し、ともに力を合わせてつくる芸術祭。1年間を通して多彩なパフォーミングアーツの演目を展開します。アートを通して色々な個性が出会う場に、参加することでより多くの気づきが生まれます。「True Colors Festival」はダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けて、新しい価値観が生まれる機会を創出します。

プロフィール
砂連尾理 (じゃれお おさむ)

1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。近年はソロ活動を中心に京都・舞鶴の高齢者との「とつとつダンス」、宮城・閖上(ゆりあげ)の避難所生活者の取材が契機となった『猿とモルターレ』を発表、また映画『不気味なものの肌に触れる』(濱口竜介監督)の出演、振付など。著書に『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような―』(晶文社)。立教大学現代心理学部・映像身体学科特任教授。

稲葉俊郎 (いなば としろう)

医師、東京大学医学部付属病院循環器内科助教。医学博士。1979年熊本生まれ。心臓カテーテル治療、先天性心疾患が専門。在宅医療や山岳医療にも従事。西洋医学だけではなく伝統医療、補完代替医療、民間医療も広く修める。2011年の東日本大震災をきっかけに、新しい社会の創発のためにあらゆる分野との対話を始める。単著『いのちを呼びさますもの』(アノニマ・スタジオ)、『ころころするからだ』(春秋社)など。

戸田真琴 (とだ まこと)

2016年にSODクリエイトからデビュー。その後、趣味の映画鑑賞をベースにコラム等を執筆、現在はTV Bros.で『肯定のフィロソフィー』を連載中。ミスiD2018、スカパーアダルト放送大賞2019女優賞を受賞。愛称はまこりん。初のエッセイ『あなたの孤独は美しい』を2019年12月に発売。



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