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覆面集団THE BREAKAWAYSって何者?東京で暴れるアニメを発表

THE BREAKAWAYS『N.T.A.』
テキスト
天野史彬
編集:矢島由佳子
2016/11/08
覆面集団THE BREAKAWAYSって何者?東京で暴れるアニメを発表

その正体は、まだ誰も掴んでいない

今年の夏、1組のロックバンドがデビューした。THE BREAKAWAYS。9月にリリースされた8曲入りのアルバム『N.T.A.』のリードトラックとなった“GIRL ELECTRIC”のミュージックビデオは、YouTubeにアップされるや、1日で1万回再生を突破。

しかしながら、彼らの実態はまだ誰も知らない。なぜなら、彼らはメンバーのプロフィールや素性を明らかにしていない、いわば「覆面バンド」。この“GIRL ELECTRIC”のミュージックビデオのなか、アニメーションで描かれる三人の少年こそがTHE BREAKAWAYSであり、彼らが飛び回る街の風景こそ、THE BREAKAWAYSが活動の舞台に掲げる4年後の東京=「ネオ東京」だ。

「これから2020年に向けて創っていく新たな世界」=「ネオ東京」を舞台に、「NEO TOKYO Alternative」をコンセプトに掲げた3ピースバンド――それが現状、THE BREAKAWAYSに関して明示されている数少ないプロフィール情報である。既にいくつかのイベントでは生演奏も行っており、彼らのTwitterアカウントを見れば覆面を被った三人の人間の姿を写真で見ることもできる。バンドとしての実態があるのは確かだ。

Gorillazの系譜を継ぐアート集団とも言える

“GIRL ELECTRIC”のビデオのディレクターには映像作家の木村太一、アニメーションディレクターには、アニメーターのらっパルが起用されている。ビジュアルイメージにアニメーションを使用したバーチャルバンドといえば、2000年代にBlurのデーモン・アルバーンが仕掛け、成功を収めたGorillazが記憶に新しいが、THE BREAKAWAYSもその系譜を継ぐ、もはや「バンド」というよりは「アート集団」と言ったほうがいいのかもしれない。

ここでもうひとつ情報を書き加えておくと、THE BREAKAWAYSの楽曲の作詞作曲、アレンジを手掛けているのは、イギリスのグランジバンド・Dinosaur Pile-Upの中心人物、マット・ビッグランド。彼の存在もTHE BREAKAWAYSというアート集団の一角と捉えるならば、このバンドサウンドもまた、THE BREAKAWAYSが提示する「NEO TOKYO Alternative」なのだ。

少年たちがバンドを始めるストーリーの裏には、THE BREAKAWAYSからのメッセージが?

“GIRL ELECTRIC”のビデオで描かれる4年後の東京は、『オリンピック』で盛り上がる理想郷としての東京でも、荒廃したディストピアとしての東京でもなく、いわば「東京」としての東京。煌びやかなネオンに満ちた夜の繁華街、人混み、男と女、酔っ払い、ゴミを漁る猫、薄汚れたボロアパートの1室……カットアップされながら映し出される一瞬一瞬。この2016年においても珍しい光景ではない。だが、こうやってそれぞれを端的に映し出されると、東京で暮らす身としては考えさせられるものがある。このアニメーションに投影された4年後の東京の「平凡」や「欲望」が、アニメとはいえ、あまりに生々しいのだ。

このネオ東京のなかで、THE BREAKAWAYSの三人は楽器を手にし、バンドを始める。このビデオは、彼らがバンドを組み、ステージに立つまでを追ったドキュメンタリーになっているのだが、彼らはなぜ、このネオ東京で「バンド」を選んだのだろうか?

ロックバンドの素晴らしさは、それが無邪気な子どものためにあるということだ。あらゆる外圧を跳ね除ける強固なサンクチュアリ、それがバンドだ。“GIRL ELECTRIC”のビデオのなかで、THE BREAKAWAYSの三人は、誰よりも自由であるように見える。この「自由」こそ、THE BREAKAWAYSが提示しようとする価値観なのではないだろうか。希望でも絶望でもなく、自由。放っておけば、誰も彼もが狂気的な権力やSNSで流される情報の奴隷になりかねないこの時代に、このビデオで描かれるTHE BREAKAWAYSの三人は、バンド以外のどこにも属さない野良犬であるがゆえに、誰よりも自由だ。過剰な承認欲求を持て余す現代において、彼らの自由はとても尊いものに映る。

THE BREAKAWAYS
THE BREAKAWAYS

アルバムには、FPMが手掛けたリミックスも収録

アルバム『N.T.A.』は、6曲のギターサウンドが主体となったオリジナル曲と、2曲のダビーなリミックス音源で構成されている。バンドサウンドのエモーショナルな衝動性と、クラブミュージックのエレクトロニックな享楽性。その両面を提示するこの作品からは、THE BREAKAWAYSが、現状は覆面バンドという姿勢を貫きながら、しかし、何よりも聴き手とのダイレクトなコミュニケーションを重視している姿勢がうかがえる。

THE BREAKAWAYSは、まだまだ全貌の見えない存在だ。だが、明日、世界がどうなっているかもわからない――そんな激動の「今」を生きる私たちが、それでもフラフラとした足取りで辿り着くであろう4年後の東京から、彼らは「結局、お前はここで生きているんだろう?」と問いかけてくる。「だったら楽しめよ」と、楽器を手にしたばかりの悪ガキの眼差しで。

リリース情報

THE BREAKAWAYS『N.T.A.』
THE BREAKAWAYS
『N.T.A.』(CD)

2016年9月28日(水)発売
価格:2,160円(税込)
AZNT-31

1. GIRL ELECTRIC
2. WHERE I BELONG
3. TEENAGE ICON
4. A GOOD TIME
5. MY MONEY
6. CRUSH ON YOU
7. GIRL ELECTRIC(FPM NEO TOKYO Remix)(ボーナストラック)
8. A GOOD TIME(TOKYO BLACK STAR Dub)(ボーナストラック)

イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! vol.91』

2016年11月24日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
THE BREAKAWAYS
ELEKIBASS
Papooz
WONK
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

THE BREAKAWAYS
THE BREAKAWAYS(ざ ぶれいかうぇいず)

未だにメンバープロフィールも素顔も明らかになっていないが、そのサウンドはオルタナ、グランジをベースにした、ロックサウンドで、新人バンドとは一線を画すものとなっている。全曲の作詞、作曲、アレンジをDinosaur Pile-Up のマット・ビッグランド(Vo,Gt)が務めている。YouTubeにアップされたアルバム収録楽曲“GIRL ELECTRIC”のMUSIC VIDEOは公開から1日にして、無名の新人にもかかわらず1万回再生を突破。

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