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多様化するEDMの現在。マーティン・ギャリックスらから考察する

マーティン・ギャリックス『The Martin Garrix Experience』
テキスト
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編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
多様化するEDMの現在。マーティン・ギャリックスらから考察する

2010年代型ポップスとEDM以後の世界

こうしたEDM特有の構成は、ポップミュージックにも応用された。たとえば、The ChainsmokersがHalseyをフィーチャーして放った2016年のヒット“Closer”は、EDM的構成をポップソングに見事に落とし込み、新しいスタンダードをつくった。日本でいうサビにあたる一番おいしい歌メロをビルドアップにあて、ドロップではビートを中心におき、声をあたかも楽器のように配置してしまう。ビートと歌を平等に聴かせるポップスのあり方が開拓されたのだ。

マーティンもプロデューサーとしてポップミュージックでの世界で引っ張りだこ。そのことは、最初に紹介した彼のコラボレーション歴を辿ってみるだけでも一目瞭然だ。加えてこうしたコラボレーションは、EDMの様式をポップミュージックに導入していくのみならず、EDMが2010年代後半に迎えたピークを過ぎて以来、さらなる変化や多様化を遂げていることを示すバロメーターにもなっている。

たとえばラッパーのMacklemoreとFall Out Boyのパトリック・スタンプをフィーチャーした“Summer Days”は、ドラムとベースのリズム隊が醸すディスコ寄りのフィーリングに、フレンチエレクトロを思わせる過激なリフが組み合わさった1曲。カリードをボーカルに招いた“Ocean”は、EDM的構成を下敷きにしつつ、高揚感を出しすぎないチルな雰囲気でカリードの歌声を聴かせるバラード。

こうしたいわば「脱EDM」の流れは、カルヴィン・ハリスの2017年作『Funk Wav Bounces: Vol. 1』がひとつの潮目だった。以降、「いよいよEDMの本格的な終わりか?」という声さえしばしば聞かれたが、むしろEDMシーンの多様化が促進されたと言ったほうがよいだろう。ドロップの快楽を追及する者もあれば、ハウシーなグルーヴを再び取り入れる者、あるいは自分のルーツであるレイブやハードコアに回帰する者。仮にバズワードとしてのEDMは終わったとしても、その土壌が育んだ音楽は未だ健在で、進化を続けている。

ロックとの融合、ポップシーンへの影響……というように、EDMによって開拓された新たな音楽のかたちは、今後もしばらく静かな影響を与えていくものと思われる。2010年代も終わりを迎えようとする今、この時代が生んだジャンルを振り返りつつ未来を見据えるきっかけとして、『フジロック』でのマーティンのパフォーマンスはぜひチェックしてみてほしい。

マーティン・ギャリックス『The Martin Garrix Experience』ジャケット
マーティン・ギャリックス『The Martin Garrix Experience』ジャケット(Amazonで見る
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リリース情報

マーティン・ギャリックス『The Martin Garrix Experience』
マーティン・ギャリックス
『The Martin Garrix Experience』(CD)

2019年7月10日(水)発売
価格:2,376円(税込)
SICP-6128

1. Summer Days feat. Macklemore & Patrick Stump of Fall Out Boy
2. No Sleep feat. Bonn
3. High On Life feat. Bonn
4. In The Name Of Love(Martin Garrix & Bebe Rexha)
5. There for You(Martin Garrix & Troye Sivan)
6. Ocean feat. Khalid
7. Scared To Be Lonely
8. Waiting For Tomorrow feat. Mike Shinoda(Martin Garrix & Pierce Fulton)
9. So Far Away feat. Jamie Scott & Romy Dya(Martin Garrix & David Guetta)
10. Together(Martin Garrix & Matisse & Sadko)
11. Forever(Martin Garrix & Matisse & Sadko)
12. Mistaken feat. Alex Aris(Martin Garrix & Matisse & Sadko)
13. Byte(Martin Garrix & Brooks)
14. Burn Out feat. Dewain Whitmore(Martin Garrix & Justin Mylo)
15. Pizza
16. Breach(Walk Alone)(Martin Garrix & Blinders)
17. Latency(Martin Garrix & Dyro)
18. Game Over(Martin Garrix & Loopers9
19. Yottabyte
20. Glitch(Martin Garrix & Julian Jordan)
21. Dreamer feat. Mike Yung *CD限定ボーナス・トラック

プロフィール

マーティン・ギャリックス
マーティン・ギャリックス

オランダ出身のDJ / トラックメーカー / プロデューサー。1996年5月生まれ、現在23歳。8歳の頃からギターを習得し作詞作曲をスタート、2004年に開催されたアテネオリンピックで演奏する人気DJティエストのパフォーマンスを見て衝撃を受け、以降自身でDJやトラックメイキング、楽曲のプロデュースを行う。16歳で大手ダンス・レーベル<スピニン・レコーズ>と契約。2014年3月に米マイアミで開催された世界最大級のダンス・ミュージック・フェスティバル<Ultra Music Festival>では史上最年少の19歳でヘッドライナーを務め、同年9月に日本で初開催されたの世界人気DJランキングで、二年連続1位を獲得。2018年2月、韓国の平昌五輪スタジアムで開催された第23回冬季五輪平昌大会閉会式でパフォーマンスを行い、DJとしてはティエスト、カイゴに続きオリンピックでパフォーマンスした3人目のアーティストとなった。2018年5月に開催された<EDC Japan 2018>に出演し、同フェス2年連続でメイン・ステージに登場。

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