デジタルコミュニケーションが社会を変える

デジタルコミュニケーションが世界を変える Vol.1 ソーシャルメディアが席巻する時代に生まれた新しい「アーティスト」

デジタルコミュニケーションが世界を変える Vol.1

「自分の好きなことで飯を食おう」 という思想
杉山知之

―今日お話してきた、これからの「デジタルコミュニケーションアーティスト」にはどんな力が求められるのでしょう?

杉山:さきほども言ったように、既存のものを繋げていく能力が重要になってくると思います。たとえば『本科 デジタルコミュニケーションアーティスト 専攻』(以下、DCA)の在校生は、良い意味で目立ちたがり屋が多いのですが、漠然とでも、面白いことをやりたい、かっこいいと思われたい(笑)、と考えている。そうした気質が、色んな人から話を聞いて、つなげる能力に昇華されれば現場で活かされるでしょう。人が好きで、フットワークも軽く、コミュニケーション力が高いというのは、クロスメディアのディレクターには必須の要素ですから。実際、クラスの催しをやると全員が司会をやりたがったり、用意されたものに飽き足らず、勝手にイベントをやっていますよ。

―同じ目的の人と知り合えるのも、特にクリエイティブ業界を目指すに人には価値がありそうですね。

杉山:そう、僕がリアルな学校にこだわるのはその1点なんです。知識を身につけるだけならEラーニングでもいいかもしれませんが、学校に集まることで知り合える同志がいるのは重要なことだと考えています。特にDCA専攻は、社会人もいるので多彩で志も高い。いっぽうで大学生のメンバーが可愛がられたりしていて、彼らから見ればプロと共に学べるわけです。会社では管理職を務めるベテランもいて、そういう人は「学生」を改めてやれること自体も楽しめるんでしょうね。

―クリエイターとしての資質を伸ばす点で、何かアドバイスを頂けますか?

杉山:いまの若い人たちは国に関係なく、何でもフラットに入ってくる。だからこそ一度、自分の国を見つめ直してみるのもいいのではないかと思っています。そういう想いもあって、うちの大学では留学制度もあるんですが、行ってきた生徒はみんな、日本や日本人の特性を自覚して帰ってくることが多いんです。伝統的に受け継いでいるルーツの強みも、特定の宗教観やタブーに過度に縛られない自由さも。そのアドバンテージはしかし、自覚しないと武器にならない。どこの学校にも行けて何でも学べる時代に、いったん先祖のことに戻って再確認しつつ、クリエイティブに向かう。それは将来の大きな糧になると思います。

若いクリエイター

―それもまた、文化とのコミュニケーションと言えそうですね。

杉山:国際化を平準化と勘違いしている人が多いですよね。真の国際化は、互いの違いを知り、理解し合うこと。だからこそコミュニケーションできるんです。それは決して、同じものを同じように作ることではない。ビジネスだって、他と違うからこそ値段がつく。でも、オリジナリティという言葉にも気をつけなきゃいけませんね。作品を構成する要素がすべてオリジナルでないといけないと信じている人がいますが、100個の要素のうちせいぜい3個がオリジナルでも、充分にオリジナリティを発揮できる。人と違うことをやらなくては、という重みを感じ過ぎてもいけません。

―まずは真似でいい。真似て真似て、それでも違う部分が残ったら、それが個性だ、という助言もよく仰っていますね。

杉山:デジタルハリウッドの場合はもともと「自分の好きなことで飯を食おう」が思想の根底に流れているから、芸術家養成所ではないんです。もちろん、芸術家志望で来てくれてもよいけれど、どちらかと言えば、オリジナリティは確保しつつ、ふつうの人にも受け入れられるレベルで「ハッ」とさせるものづくりを目指すのが基本です。だからまずは真似っこでいい。そこから突き抜ける人もいますしね。

―関連知識がほとんどない状態で入学する人もいるのでしょうか?

杉山:いますね。僕の経験から言えば、スタート時の状況と、卒業時の状態、さらに社会に出てからの成長度合いはあまり比例しません。ひとつ言えるのは、働き始めてから伸びる人って基本的に楽天的で、やってるうちになんとかなるさ、と続ける人が生き残りやすい。だから最初の就職先は、自分が本当にやりたいことをやっている会社に行けと言っています。将来性より経験値。大きな組織の小さな歯車に押し込められるほうが、後々大変ですよ。

―この世界は転職・起業は当たり前というのもよく聞きますね。

杉山:そう。それもケース次第ですが、自分を高める場所に移動すること自体はまったく悪いことではありません。そして、仮に途中でまったく違う仕事に転身するとしても、一度ある地点以上に行った人は大丈夫なんですよね。さらにデジタルコミュニケ―ションで言えば、今後この分野のノウハウはどこでも必要とされるはずですから。その意味で、狭義のエンターテインメントに限らない広がりという点でも期待しているんです。

次回の連載は、実際にクリエイティブ業界の最前線でお仕事をされ、 世界的にも評価されているクリエイターにお話を伺う予定です。 2012年1月後半に掲載予定。お楽しみに!

今回ご登場いただいた杉山学長の理想を実践している『本科 デジタルコミュニケーションアーティスト専攻』の詳細はこちらから。

『本科 デジタルコミュニケーションアーティスト専攻』(DCA専攻)について

<ソーシャルメディア時代の新たなコミュニケーションと広告を生み出せる次世代デザイナーへ。>
ソーシャルメディアの普及とWeb技術の発展は、あらゆるメディアを旧来の枠から解き放ちました。PC上のWebだけでなく、スマートフォンやARアプリ、映像、デジタルサイネージなど、技術の進歩で生活者の周りには情報があふれ、企業からのメッセージは今までの方法では届かなくなっています。そんな環境の中、広告やCMは、新しいカタチへ生まれ変わろうとしています。「どんな技術を」「どう組み合わせて」生活者との新しいコミュニケーションをデザインするのか、次世代の広告デザイナーには『クロスメディア』で提案する力が求められています。今、国内で最も実践的なコミュニケーションデザインを学ぶコースです。

目指すゴール

1. 次世代コミュニケーションのクロスメディアデザイナー

Webとグラフィックデザインをベースとして、本格的な映像技術と、スマートフォンアプリやSNS連動企画、プロジェクションマッピングなどに応用できる即戦力デザイナーを目指す。

2. ソーシャルメディアを駆使するクリエイティブディレクター

TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用し、クライアントのニーズに応えられる広告・ブランディングを展開できる即戦力のデザイナー・ディレクターを目指す。

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