chayとCrystal Kayが語り合う、女性の悩みと男性が知らない本音

40代の男女4人が繰り広げる激しい愛憎劇を描いた、連城三紀彦の『隠れ菊』が原作のテレビドラマ『あなたには渡さない』(テレビ朝日系)。その主題歌“あなたの知らない私たち”を、chayとCrystal Kayという意外なコラボレーションが担当し話題になっている。

「女同士の戦い」や、スリリングな恋の駆け引きをテーマにした歌詞の世界、昭和歌謡を思わせるケレン味たっぷりのメロディー。chayがこれまで歌ってきたピュアでスウィートな楽曲とは180度違う内容だが、Crystal Kayの甘くメロウな歌声との掛け合いによって、これまで見たことなかった彼女の新しい魅力を引き出すことに成功している。昨年デビュー5周年を迎え、6年目に突入したchayの新境地ともいえるだろう。

一方、来年でデビュー20年を迎えるCrystal Kay。10代で表舞台に立ち、30代になった今、彼女の歌いたいことはどのように変化したのだろうか。主題歌“あなたの知らない私たち”の歌詞にちなんだ「際どい恋バナ」を交えつつ、2人に大人の女性の生き方について語り合ってもらった。

デビュー6年目に入った今、新たな挑戦としていいなと思ったんです。(chay)

—以前からお2人は、親交があったのですか?

chay:はい。4年くらい前に、フェスでご一緒したのが最初でしたね。そのあともライブイベントや歌番組でご一緒する機会があって、何度かお会いしてお話させてもらっていました。Kayさんの楽曲は大好きでずっと聴いていたので、「いつか音楽でご一緒できたらいいな」と漠然と思っていましたね。

左から:chay、Crystal Kay

—chayさんは、他のアーティストとのコラボは初めてですよね?

chay:以前RIP SLYMEさんと歌った“JUMP with chay”という楽曲以来ですね。私のシングルとしては初めてです。今回ドラマの主題歌ということで「コラボやデュエットはどうですか?」というご提案をいただくまで、誰かと一緒に歌うという考えがなかったんですよね。だけど、きっと新しい一面を出せるだろうし、デビュー6年目に入った今、新たな挑戦としてもいいなと思ったんです。ドラマが男女の関係の話でもあるので、男性とのデュエットも考えたんですけど、女性と女性のバチバチとした愛憎劇を表現するなら、女性とのコラボの方がいいんじゃないかって。

歌詞も、私が今まで歌ってきた世界観とは全く違うものになると思ったので、大人っぽい世界観を表現するには、Crystal Kayさんの力をお借りするしかないと思い、お声がけしました。

chay

—もうドラマはご覧になりました?

Kay:見ました! すっごいドロドロ……(笑)。だけど見ていて気持ちいいというか、スカッとしますね。こういうダイレクトな感じのドラマは久しぶりな気がします。主演の女性2人(木村佳乃、水野美紀)が強いんですよ。意思がはっきりしていて、ズバッと言うから。

Crystal Kay

chay:名言が飛び交いまくりますよね(笑)。しかも、1秒たりとも見逃せないような、ものすごい急展開があるんです。

—主題歌“あなたの知らない私たち”を初めて聴いた時の印象は?

Kay:率直に「いい曲だな」と思いました。歌詞も最高だし、どこか懐かしい歌謡曲のような雰囲気もあって、みんなきっと歌いたくなるだろうなと。私も歌謡曲、大好きなんですよ。叔母が竹内まりやさんや松任谷由実さん、DREAMS COME TRUEさんが好きでよく聴いていたし、歌番組も一緒に見ていたから。

chay:ドラマを見ている人にとって主題歌は、物語の一部みたいなものだからとっても重要だと思うんですよね。混沌としたこの物語をバックアップできるような楽曲を期待していたら、本当に素晴らしい曲が上がってきて嬉しかったです。「どこで曲がかかるんだろう?」とドキドキしながらドラマを見ていたら、旦那にビンタをバーンと食らわせる最高のタイミングで流れたので嬉しかったですね(笑)。

Kay:けっこう難しい表現をする部分もあったので、それがちゃんと伝わるように歌いました。かけ合いもスピーディーなんですよ。

chay:息つく暇がないよね。私は今回、あえてキーを低めにしたんです。いつも歌っている曲は、もっとキーが高くて声を張って歌うメロディーが多いんですけど、今回は大人な感じを出したかったし、語尾の抜け方とか、声質もシルキーで妖艶な感じにして。で、サビは闘争的で臨場感たっぷりにするという、メリハリも意識しましたね。

—chayさんにとっては、かなり新境地だったんですね。参考にした曲やシンガーはいましたか?

chay:一青窈さんの“他人の関係 feat. SOIL&PIMPSESSIONS”です。一青窈さんの表現力って本当に素晴らしいから、すごく参考にさせてもらいました。

「知らない私」ありますよ、たくさん(笑)。秘密がない関係とか、ないですよね?(Crystal Kay)

—歌詞は、タイトル通り「あなたの知らない私」がテーマです。お2人は恋人や友人、家族に対しても、「あなたの知らない私」や「私の知らないあなた」って存在しますか?

Kay:「知らない私」ありますよ、たくさん(笑)。秘密がない関係とか、ないですよね?

chay:ないと思います。

—でも、夫婦にしても恋人にしても「隠し事のない関係」が清いと言われがちじゃないですか。

chay:秘密を持つのって、悪いことばかりじゃないと思います。特に女性は、実はうちに秘めていることって絶対あると思うんですよ。ジェラシーだったり悔しさだったり。一見するとドラマもドロドロだし主題歌もちょっと過激だけど、歌詞をじっくり読んでいただいたら、意外と共感できる部分は多いかなと思います。

—お話を聞きながら、僕は個人的にデヴィッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』(2014年)を思い出しました。あの映画を観た多くの男性は、「女性って怖いなあ」という感想を述べていたと思うんですけど、それに対して女性が「何を今さら」みたいな反応だったのがとても印象的で。

Kay:ああ(笑)。

—自分の知らない秘密を女性が持っていることを、あまり想像できないか、想像したくない男性って多いと思うんですよね。

chay:それはあるかもしれないですね。男性の方が、自分をさらけ出している気がする。素直なのかも。

—というより秘密を抱えきれないのかもしれません。墓場まで持っていく勇気も覚悟もないというか……(笑)。

chay:なるほど、「言わずにいられない」みたいな? 女性は墓場まで持って行けると思いますよ。本当に言いたくないことは、絶対に言わない。

Kay:そうだね、男性が思っているより女性はいろんな顔を持ってる。女同士の会話とか、きっと男性が聞いたら卒倒するかもしれない(笑)。「男より男」だったりもするし。

なんか、恋バナみたいになってきたね(笑)。(Crystal Kay)

—肝に命じます(笑)。数年前から、他人の恋愛事情をとやかくいう人が増えたように思うんです。その一方で、このドラマをはじめ不倫を扱う作品は増えているし、軒並み好評ですよね。このねじれた現象についてはどう思われますか?

chay:このドラマ、非現実的なストーリーではあるんですけど、実は意外とそんなこともないのかな、とも思うんですよね。私や私の周りには、こんな経験している人はいないけど、きっとこういうことがありふれているからこそ流行っているし、共感して見ている人もいるのかなと思います。

Kay:そうだね、自分が(不倫を)したりされたりしているからこそ、人のことが気になるし、感情的に叩くんじゃないかな。

—羨ましいというのもきっとありますよね。

Kay:うん、きっとそれもあると思う。

chay:「羨ましい」かあ。私は絶対ダメですね。もし友達がしてたらきっと止めます。もちろん本人たちの問題ですし責めはしないですけど、不倫なんて誰も幸せにならないと思います。だから、私は浮気とかでも絶対ダメですね。どんなに好きでも「さよなら」って感じかな。

Kay:でも、すごく好きな人だったらどうする?

chay:えー(笑)。でもやっぱり、この曲の歌詞にもあるけど<あんまり甘く見ないでね>っていう感じですね。さっきも言ったように、女性はきっと「悔しい」「馬鹿にしないで」「見返したい」っていう気持ちも湧き出てくると思うんですよね。

—夫婦に限らず人と人との関係性を、メンテナンスしながら持続させるって奇跡みたいなものですよね(笑)。

Kay:メンテナンスねー。本当にそう思う。なんか、恋バナみたいになってきたね(笑)。

chay:え、好きなタイプはどんな人ですか?

Kay:あははは。好きなタイプ? 自分よりも背が高い人かな。あと尊敬できる人。お互い尊敬できる関係だと、メンテナンスもできそうですよね。結婚したことないから分からないけど(笑)、お互いリスペクトしていい間柄なら応援したいし、応援してくれると上がるし。お互いを高め合うことができるように思います。あと、一緒に楽しめることがある人がいいですね。

—「尊敬する」というのは、相手に対して「関心を持ち続ける」ことだと思うんですよね。

Kay:うん、そうですね。

—だから、相手に対して無関心になってしまったら、もうその関係は終わりなのかなと思います。「あなたの知らない私」「私の知らないあなた」があるくらいの方が、お互いに関心を持ち続けられるのかもしれないですよね。「秘密」も程よいスパイスというか(笑)。

chay:何事も「尊敬」って大事。最近すごく思うんですよね。今って、相手に対する敬意が払えていないことが多い気がする。それは仕事だけでなく、友人も恋人も家族も、みんな同じですね。

Kay:そうだね。

アイデンティティークライシスもあったんですよ。私は日本で生まれたけど、日本人じゃない。(Crystal Kay)

—chayさんは去年デビュー5周年を迎え、Kayさんは来年が20周年というアニバーサリーイヤーです。これまで歌ってきた中で、「歌いたいこと」って変わりましたか?

Kay:私は変わりましたね。

chay:え、聞きたい!

Kay:28~29歳のころに、歌のチャレンジをしたくてニューヨークへ行ったんです。平和な日本を飛び出て初めての一人暮らし。バックアップがあったわけでもなかったし、結構大変だったんですよ。いろんな国からハングリーな人たちが、アメリカンドリームをゲットしに集まってくる街なので、ちゃんと自分をしっかり持ってないと置いていかれちゃうというか。とにかくペースが早いんです。しかも当時、ちょうど女性の20代後半でクライシス的な壁もやってきて(笑)。「この先どうしたらいいんだろう」「このままでいいのだろうか」って。

chay:すごくよく分かります……!

Kay:きっと、私の歌を聴いてくれている同世代の人たちも、同じような壁に当たっているんだろうなと思うようになって。それからは自分のためにではなく、みんなのために歌うっていう気持ちにシフトしたんです。歌詞も、みんなを支える内容に変わったのかな。女性だけじゃないけど、聴いた人が「よし、頑張ろう」と思えるようなテーマが多くなりましたね。

—1人で暮らしていたことで、自分と向き合う時間も多かったのでは?

Kay:それはありますね。しかも、日本を出たということはかなり大きかった。ちょっとアイデンティティークライシスみたいなものもあったんですよ。私は日本で生まれたけど、日本人じゃない。韓国人と黒人のハーフって当時、周りにあまりいなくて。だからコンプレックスみたいなものがどんどん大きくなっちゃって。しかも表舞台に立つ仕事をしているから、そこのバランスが危ういまま大人になってしまって。

それが、ニューヨークではみんながしっかり自分を持っているんですよね。「私はこれがやりたい」「私は何人で、それを背負ってこういうことができる」「で、あなたは? What's your story?」って訊かれることが多くて。あれだけの才能が溢れている中で、「君は何が違うの?」みたいに言われていろいろ考えたんです。でも、日本だと逆じゃないですか。

—みんなで足並みをそろえ、「出る杭は打たれる」みたいな感じですもんね。

Kay:その時に、自分ではコンプレックスだと思っていたユニークな出自にもっと自信を持った方がいいんだって気づけたんですよね。

chay:素敵な話……。

Kay:(笑)。だから強くなって帰ってこられたかな。そういうのも含めて、「私もみんなと同じことを感じているし、悩んでいるんだよ」っていうことを、歌詞とかで感じてもらえたら……と思うようになりました。

—chayさんは今、まさにKayさんがそういう経験をしていたころの年齢ですよね。

chay:そうなんですよね。私もずっと、いわゆる等身大の歌詞を書いてきたし、その時その時の気持ちを大事にすることをモットーにしているんです。例えば、19歳の時に書いた“nineteen”という曲は、自分が18歳や20歳の時には書けなかったと思うし、あの瞬間だからこそ出てきた言葉がたくさん詰まっています。

ファンの方は、同世代の女性が割合としてすごく多いので、デビューから6年経って、デビューしたころは高校生だった子が、今は結婚してお母さんになってたり、お子さんを連れて会いに来てくれたり。そうやって「みんなと一緒に歳を重ねていっている感覚」というものはあります。

—chayさんも、みんなと同じことで悩んだりしますか?

chay:そうですね。さっきKayさんがおっしゃっていたのと同じで、同級生や幼馴染みの子たちとたまに会ったりすると、みんな悩みが同じだったりするんです。20代後半を迎えて、「このままでいいのかな」とか「これからどうしていこうか」とか。ファンの方からも、SNSやファンレターで同じような悩みがたくさん送られてくるんですよ。職種は違ってもとても共感します。私も毎日考えていますよ(笑)。

—それが歌になることもあります?

chay:ありますね。最初のころは、「詩的な表現でキレイに書かなきゃ」と思っていて。人前で素を出すのって難しいじゃないですか。「いい子でいなきゃ」と思ったりするし。

でも、自分のダメな部分、嫌いな部分、恥ずかしい部分をさらけ出した方が、相手も心を開いてくれるし受け入れてもらえることの方が多いことに気がついてからは「ありのままでいいんだ」と思えるようになりました。だから今は、私もみんなと一緒に悩んで、それを歌って成長していけたらいいなと思っています。

リリース情報
chay feat. Crystal Kay
『あなたの知らない私たち』初回限定盤(CD+DVD)

2018年12月5日(水)発売
価格:2,700円(税込)
WPZL-31550/1

[CD]
1.あなたの知らない私たち
2.あともう少し
3.Kiss me(-Xmas version-)
[DVD]
1.恋のはじまりはいつも突然に
2.運命のアイラブユー
3.12月の雨
4.Kiss me
5.Be OK!
6.Summer Darling
7.あなたに恋をしてみました
8.それでしあわせ

chay feat. Crystal Kay
『あなたの知らない私たち』通常盤(CD)

2018年12月5日(水)発売
価格:1,296円(税込)
WPCL-12969

1.あなたの知らない私たち
2.あともう少し
3.Kiss me(-Xmas version-)

プロフィール
chay (ちゃい)

1990年10月23日生まれ。幼少の頃から歌手を目指し、小学生の頃からピアノで曲を作り始める。大学に入学すると同時にギターを始め、路上ライブなどを重ね、本格的に音楽活動を始める。2012年10月、“ロッテガーナミルクチョコレート”CM ソング「はじめての気持ち」でワーナーミュージック・ジャパンよりCDデビュー。歌声とcuteな容姿のギャップが魅力。

1986年2月26日生まれ、横浜出身。1999年「Eternal Memories」でデビュー。2018年6月にアルバム『For You』をリリース。NHK ドラマ10『デイジー・ラック』の主題歌「幸せって。」、バファリン「TIME IN A BOX」タイアップソング「わたしたち」など、2018年にTVを中心にCrystal Kayの歌声が注目を浴びた。来年2019年がアーティスト活動20周年イヤーとなるCrystal Kayは音楽以外の活動にも積極的に取り組んでいく。



フィードバック 0

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Music
  • chayとCrystal Kayが語り合う、女性の悩みと男性が知らない本音

Special Feature

Habitable World──これからの「文化的な生活」

気候変動や環境破壊の進行によって、人間の暮らしや生態系が脅威に晒されているなか、これからの「文化的な生活」のあり方とはどういうものなのだろうか?
すでに行動している人々に学びながら、これからの暮らしを考える。

記事一覧へ

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて