スガシカオを愛する13組が集まったフェス、全ステージをレポート

5月6日、さいたまスーパーアリーナにて、『スガフェス! スガ シカオ~20年に一度のミラクルフェス~』が開催された。前日まで行われていたフェス『VIVA LA ROCK』のプロデューサーであり、このフェスの共同プロデューサーでもあり、そもそもデビュー20周年イベントをやりたいというスガに、このフェスのインフラを共有する形での開催を提案したという鹿野淳が前説を務めたのち、イベントがスタート。二部構成で多数のゲストが出演した本イベントを、時間軸に沿ってレポしていく。

怒髪天は、スガ シカオデビュー20周年を祝う場で、結成30周年のTheピーズも讚えた

スガ シカオの20年を振り返る映像、本人による前説や会場説明の中継映像に続いて、最初に出演が発表された怒髪天がトップを飾った。“セイノワ”“オトナノススメ”と熱のこもったプレイに、アリーナ前方はもちろん、スタンドのあちこちでも拳が振り上げられる。

「スガくん、よく呼んでくれましたよ! 出るアーティストの発表が進むごとに青ざめましたよ! ヒット曲ないの、俺らと稲川淳二さんだけなんだから!」というMCで笑いをとった増子直純(Vo)。Theピーズが結成30周年を記念して行う初の日本武道館ワンマン(6月9日に開催)の宣伝をして、Theピーズのカバー“グライダー”を歌う。スガ シカオにエールを贈るこの出演で、Theピーズにもエールを贈ったということだ。

怒髪天(撮影:西槇太一)
怒髪天(撮影:西槇太一)

ラストはミラーボールが回り、四人でハッピを着て、カラオケで“夜空ノムコウ”を歌い始めた……と思ったら、2コーラス目のBメロからスガ シカオが「ご本人登場」的に歌いながら現れる。

怒髪天、スガ シカオ(撮影:西槇太一)
怒髪天、スガ シカオ(撮影:西槇太一)

終了後、ステージ転換中には、山本彩(NMB48)、ゲスの極み乙女。、及川光博、テリー伊藤、松任谷由実による、スガ シカオへのお祝いコメント映像が流れた。

THE BACK HORNは「スガさんに育てられました」

続いては、かつてスガ シカオとともに「スガ シカオ with 菅波栄純」としてライブ活動を行っていた菅波栄純がギターを務めるTHE BACK HORN。前日には『JAPAN JAM』のSUNSET STAGEのトリを飾ったばかりだが、この日は2番手に登場した。“罠”“刃”と、不穏かつ危険な空気を放ちまくるライブアンセム2連発でスタート。

THE BACK HORN(撮影:半田安政)
THE BACK HORN(撮影:半田安政)

宇多田ヒカル参加で話題になった最新シングル“あなたが待ってる”を経て、スガ シカオが加わり、山田将司とのツインボーカルによる美しいバラード“With You”にみんな聴き入る。なおスガは、「スガシカオ with 菅波栄純」のことを「汗くさいユニットだよね。夏しか活動してないから」とコメント。菅波からは、「スガさんに育てられました」という言葉がこぼれた。

THE BACK HORN、スガ シカオ(撮影:半田安政)
THE BACK HORN、スガ シカオ(撮影:半田安政)

終了後のステージ転換中には、再びお祝いコメントあり。石田ゆり子、奥田民生、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)、平井堅、井上陽水の映像が流れた。

スガに「演奏能力が異常に高い」と言わせた、UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDENは、“桜のあと(all quartets lead to the?)”“オリオンをなぞる”でスタート。サポートメンバーもバックトラックもなし、三人で生演奏していることが信じがたいほど、すさまじい情報量の音がさいたまスーパーアリーナに響く。2曲終えたところで、斎藤宏介(Vo,Gt)が「今日は本当に短い時間なんですけど、全力で最後まで楽しませてもらいたいと思います」とあいさつ。

UNISON SQUARE GARDEN(撮影:西槇太一)
UNISON SQUARE GARDEN(撮影:西槇太一)

UNISON SQUARE GARDEN、スガ シカオ(撮影:西槇太一)
UNISON SQUARE GARDEN、スガ シカオ(撮影:西槇太一)

“オトノバ中間試験”“天国と地獄”をプレイしたあと、スガ シカオが登場。「みなさんもご存じのとおり、ユニゾンは演奏能力が異常に高いです。20年やっても追いつけるかどうかわからないけど、いっぱい練習してきました」という言葉から、「SUGASON SQUARE GARDEN」(斉藤宏介曰く)の四人で“シュガーソングとビターステップ”を演奏。間奏明けでスガがリードボーカルをとると、同時に大歓声が上がった。

ふなっしー、RADIO FISH、稲川淳二。異色な3組が、それぞれ個性的なライブを繰り広げる

アリーナ左後方に登場したふなっしー。トロッコに乗って移動しながらふなっしー公式テーマソング“ふな ふな ふなっしー♪”を激しくヘッドバンギングしながら歌って盛り上げる。ステージ右手前にトロッコが着いたところで、スガとトーク。スガ曰く、今日の出演者みんなガチ友だけどふなっしーだけ会ったことがなかった、会いたかったから出てもらった、とのこと。

ふなっしー、スガ シカオ(撮影:半田安政)
ふなっしー、スガ シカオ(撮影:半田安政)

RADIO FISHは、“黄金時代”“ULTRA TIGER”“進化論”“PERFECT HUMAN”の4曲をパフォーマンス。MCでオリラジの二人が、「こんだけのお客さんの前でやらせていただくなんて、感謝だねえ」「さいたまスーパーアリーナの本気見たね」と、喜びを言葉にする。なお中田敦彦は、高校時代からスガの大ファンであること、仕事で縁ができてプライベートでスガに会ったりもしたが、それが3〜4年前でその次の再会が今日ここであったことを明かす。そして、メンバーのshow-heyが9年前にダンサーとしてスガの“コノユビトマレ”のミュージックビデオに出演している、という縁も明かした。

RADIO FISH(撮影:半田安政)

RADIO FISH(撮影:半田安政)
RADIO FISH(撮影:半田安政)

稲川淳二もふなっしーと同じくトロッコでアリーナに現れ、フロア中央で怪談『脂ぎった顔』を語った。去り際にスガが登場し、稲川に“クライマックス”のミュージックビデオに出てもらったことなどを話す。

稲川淳二(撮影:西槇太一)
稲川淳二(撮影:西槇太一)

桜井和寿は、スガ シカオを真似たサングラスで登場

Mr.Childrenは、“ファンファーレ“でスタート。同時に大歓声が巻き起こる。歌い始めた桜井和寿(Vo,Gt)はサングラスをかけている。曲の途中でギターを置いてハンドマイクになり、「いいよ、最高!」「さあいこうか、Mr.Childrenです!」とそのままハンドマイクで”擬態“へ。曲の後半で桜井、「呼んでくれてありがとう、スガ シカオ!」とシャウト。

「スガシカオが主催だから、なんとかスガ シカオになりきろうと思ってサングラスをかけてきました」「MCがあんまり長くなると、最後のスガ シカオがなくなると聞いております。だからトントンと話していきますよ」とMCを短めに切り上げ、“Tomorrow never knows”“跳べ”で客席をピークに招き、“終わりなき旅”を聴かせる。オーディエンスみんなそれぞれ口ずさむ。

Mr.Children(撮影:西槇太一)
Mr.Children(撮影:西槇太一)

「それはそれはね、僕は影響を受けてるんですよ。で、もっともこの人の匂いがぷんぷん匂ってくるあの曲を一緒にやりたいと思います」「主催者は何度も何度も出てくるでしょ。そのたびに鮮度がなくなっていくわけ。本人もそれを感じてると思います。いちばんフレッシュな状態でみなさん迎えていただきたいと思います」という桜井の呼び込みで、スガが加わり、ともにミスチルの“ファスナー”を歌う。桜井の声とスガの声は、ハッとするほどの相性のよさ。歌いきったスガは、「うわ、うれしい、ミスチルの演奏で歌ったよ俺!」と叫んだ。

Mr.Children、スガ シカオ(撮影:西槇太一)
Mr.Children、スガ シカオ(撮影:西槇太一)

SKY-HI、隆太&優、水樹奈々、そしてサプライズゲストも。この日限りのセッションが続く

30分のインターバルののち、第二部がスタート。まずはkōkuaで“夢のゴール”をプレイ、スガが歌う。

そこにSKY-HIが登場。“Double Down”、そして「次は俺の曲でSKY-HIとセッションするぜ」(スガ)、「この曲マジで好きなんだよ、大人も子供も一瞬だけ19才に戻ろうぜ」(SKY-HI)という言葉から、“19才”へ。SKY-HI、フリースタイルをばっちりキメる。ラストはSKY-HIの“スマイルドロップ”。

SKY-HI with kōkua(撮影:半田安政)

SKY-HI with kōkua(撮影:半田安政)
SKY-HI with kōkua(撮影:半田安政)

そして、この日のために組んだ、flumpool山村隆太、高橋優、スガ シカオの三人による弾き語りユニット「スガンプーユ」のステージに。まずアカペラで“夜空ノムコウ”を聴かせ、高橋優“福笑い”、flumpool“星に願いを”と続けていく。

最後は「(山村と高橋の所属事務所の)アミューズのパイセンの曲を」とスガが言って、福山雅治の“家族になろうよ”を披露。歌い終わって「すげえ練習したじゃん。自己採点しない? 何点?」「60点」「ええっ」という掛け合いも見せた。ついMCが長くなっては押すのを気にして曲にいく、そして曲に入ると美しいハモリにオーディエンスをどっぷり浸らせる、という時間だった。

スガンプーユ(撮影:半田安政)

スガンプーユ(撮影:半田安政)
スガンプーユ(撮影:半田安政)

続いて、kōkuaとともに水樹奈々が登場。青やオレンジのケミカルライトが振られる中、スガがギターに徹した“ETERNAL BLAZE”でスタート。MCでは2011年、自分が独立したばかりの頃に水樹奈々が『僕らの音楽』(フジテレビ系)にゲストで呼んでくれて、とてもうれしかったが大人の事情で実現できなかった、今日はその時以来の念願の共演である、ということをスガが説明。

水樹奈々(撮影:西槇太一)
水樹奈々(撮影:西槇太一)

次にやる曲はアニメ『テガミバチ』のテーマソングであり、そのアニメに水樹奈々が出演していたことを話してから、“はじまりの日”に突入する。この曲のフィーチャリングアーティストのMummy-D(RHYMESTER)が登場しないまま始まったが、そのパートになると「来てるっつうの!」とステージに登場、大拍手を浴びる。

水樹奈々、kōkua、Mummy-D(撮影:西槇太一)
水樹奈々、kōkua、Mummy-D(撮影:西槇太一)

ラストは「一緒に歌わせてください、俺が選ばせていただいた曲」と、水樹とスガで“恋想花火”をデュエットした。スガ曰く「キーが高すぎてノドから虫が出そう」。

自称「ミュージシャン一のスガマニア」、ポルノグラフィティ

kōkuaからいったんスガだけはけ、ポルノグラフィティの二人が登場し、1曲目から“アゲハ蝶”をプレイ。岡野昭仁(Vo,Gt)が、「みなさんの歌声が聴きたい。メロディーは2パターンでございます!」とオーディエンスを煽り、大いに歌わせる。そしてミュージシャン一のスガマニアであることを自称し、「ほかの人がやらないことをやっていいですか? スガさんの曲のメドレーをやりたい!」と、スガとともに“黄金の月”“SWEET BABY”“コノユビトマレ”を立て続けに披露。

ポルノグラフィティ with kōkua(撮影:西槇太一)
ポルノグラフィティ with kōkua(撮影:西槇太一)

ラストはタオルを回してくれとオーディエンスに要請し、“ハネウマライダー”でしめくくった。アリーナはもちろん、スタンドの上の方まで、オーディエンスのタオルが盛大に回り続けた。

ポルノグラフィティ with kōkua(撮影:西槇太一)
ポルノグラフィティ with kōkua(撮影:西槇太一)

「いい人のスガ シカオ」は終えて、ファンクネス全開の独壇場へ

「倒れたりする人いたら助けてあげてね。俺も倒れるかもしれないけど(笑)」というスガのMCから再びkōkuaの時間へ。スガの“午後のパレード”、そしてkōkuaの結成の曲となった“Progress”の2曲を演奏した。“午後のパレード”ではミラーボールが回り、RADIO FISHが登場してダンス。“Progress”では、入場時に全員に配られたシンクロライトの光が客席を埋め尽くした。

kōkua(撮影:西槇太一)

kōkua(撮影:西槇太一)
kōkua(撮影:西槇太一)

最後に、現在活動をともにするバンドとスガのステージ。まず“アイタイ”を聴かせてから、「さて、いい人のスガ シカオは終わりました! ここからはファンクの渦になって、このさいたまスーパーアリーナをファンクで埋めようではありませんか!」と宣言。そして「俺は20年間ギリギリで生きてきた。みんなはどう?」と、KAT-TUNに詞を提供した“Real Face”で始まり、“ドキドキしちゃう”に続き、“91時91分”で終わるメドレーで、さいたまスーパーアリーナの温度を上げ放題上げていく。「心の距離が近づいていく。そして大きなウネリになる。それをファンクというんです!」とスガ。

ビジョンにリリックが映し出された“アストライド”“みんなに明日”、「この先に、奇跡が起こりますように!」という言葉で始まった“奇跡”、そして色とりどりのシンクロライトが輝いた“Re:you”を経て、ハンドマイクで歌う“19才”で本編終了。最後にスガ、「ミュージシャンになって一番最高の時間だった、ありがとう!」とお礼を言う。

スガ シカオ(撮影:半田安政)

スガ シカオ(撮影:半田安政)
スガ シカオ(撮影:半田安政)

最後に、出演者が全員集合。そして、スガからは本音の言葉がこぼれる

ドラムソロから始まったアンコールは、“したくてたまらない”。スガは「もうちょっとだけいこうか! 終わりたくねえぜ俺も! こんな楽しい世界、ずっと終わりたくないよ」と言いながらトロッコに乗り、アリーナを一周。この日さいたまスーパーアリーナのけやきひろばで行われた『スガうた リアルダンジョン』(ものまねコンテスト。司会はエハラマサヒロ)の優勝者を、途中でトロッコに上げた。

スガ シカオ(撮影:半田安政)
スガ シカオ(撮影:半田安政)

本日の出演者がステージに総登場し、ステージに戻ってきたスガを拍手で迎える。「20年やってよかった!」と叫んだスガ、最後に一人でMC。2011年に事務所もレーベルもやめて一人になったこと、その時に鹿野淳に「厳しい時は周囲に甘えられるだけ甘えればいい、あとで返せばいい」と言われたこと、今日のこのライブはファンやスタッフへの恩返しの第一歩だと思っている──ということを伝え、大きな拍手に包まれる中、名残惜しそうにステージを下りた。なお、その後ビジョンで、『スガフェス! WEST』というイベントを大阪で行うことが発表された。

オールラインナップ(撮影:半田安政)
オールラインナップ(撮影:半田安政)

以上、どの時間、どの瞬間をとっても、本当に濃密な半日(13時から21時)だった。これだけ豪華なゲストが多数出演して、どのアクトも全力のパフォーマンスを見せてくれたこともとても幸せだったが、最後のスガ シカオのステージに対して、それらのどの時間よりも熱いリアクションをオーディエンスが返していたことが、何よりも幸せなことだったと思った。

あとひとつ。第一部と第二部の間のブレイクタイム、FM802の中島ヒロト・加藤真樹子のコーナーで、このフェスに際して行われた「会場まで200km以上の距離を自転車で来たらスガ シカオが入場料おごってくれる企画」の結果が報告された。規定の本日お昼12時までにさいたまスーパーアリーナに到着して入場できた人が、22人もいたそうだ。郡山から来たという女性と、北海道から来たという男性が紹介された。後者の男性は、フェリーでいったん大洗に着いたが、それだと200kmに達しないので一回逆方向に走ってから会場に向かったとのこと。

オールラインナップ(撮影:西槇太一)
オールラインナップ(撮影:西槇太一)

イベント情報
『スガフェス! スガ シカオ~20年に一度のミラクルフェス~』

2017年5月6日(土)
会場:埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
出演:
スガ シカオ
怒髪天
稲川淳二
ポルノグラフィティ
THE BACK HORN
山村隆太(flumpool)&高橋優
kōkua
Mr.Children
水樹奈々
UNISON SQUARE GARDEN
SKY-HI
RADIO FISH
ふなっしー

リリース情報
スガ シカオ
『雨ノチ晴レ』

2017年5月6日(土)配信リリース
価格:250円(税込)

スガ シカオ
『ハッピーストライク』

2017年5月6日(土)配信リリース
価格:250円(税込)

プロフィール
スガ シカオ
スガ シカオ

1997年デビュー。1stアルバム『Clover』以降、全てのオリジナルアルバムがTOP10入りを記録。2011年、所属事務所からの独立を発表し、同時に活動の場をインディーズに移す。インディーズ活動と並行し、2013年4月シングル『アイタイ』をメジャーリリース。各音楽チャートで軒並み上位を記録し、シーンに於ける存在感を改めて示した。その後も、メジャー / インディーズの枠組みに捉われない独自の活動を行ってきたが、2014年5月に発売した『アストライド / LIFE』でビクター / スピードスターレコーズと契約しメジャーフィールドに完全復帰。2016年1月20日には、6年ぶりのオリジナルアルバム『THE LAST』をリリース。2017年5月6日にはデビュー20周年を記念して、さいたまスーパーアリーナにて『スガフェス! スガ シカオ~20年に一度のミラクルフェス~』を開催した。



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