美しきバンコクの夜を彩る一杯とは? 世界が認めるクリエイティブなバー最前線

先日発表された「世界のベストバー50」と同じ、イギリスのウィリアムリードメディアグループが主催する「アジアのベストバー50」2019年度版にて、バンコクのバーが7店もランクイン!
いま、アイデアと実力を兼ね備えたバーテンダーたちが、タイのフレッシュなフルーツや野菜、ハーブを使い、魔法のようなテクニックで生み出す珠玉の一杯に、世界中から熱い視線が注がれています。
『The Bamboo Bar』といった老舗から、『Smalls』『ASIA TODAY』『Iron Balls Distillery』といった新顔まで、いまバンコクで行くべきクリエイティブなバー4軒を紹介します。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

バンコク名門ホテルの上質なバー『The Bamboo Bar』

数あるバンコクのバーのなかで、有名かつもっとも歴史のあるバーといえば、マンダリンオリエンタルバンコク内に1953年に創業した『The Bamboo Bar』。

創業当時よりコロニアルスタイル(植民地様式)の内装で話題を呼びましたが、2015年に大幅リニューアル。籐のテーブル&チェアやシーリングファン、天井を覆うアンティークの鏡、虎柄のバースツールなど、「サファリ」をコンセプトとしつつも、創業当時の雰囲気も残した、より洗練された空間へと生まれ変わりました。

そんな老舗バーをさらなる高みへと導いたのは、マネージャーのJamie Rhind氏。「世界のベストバー50」で4年連続1位を獲得したロンドンのバー『Artesian Bar』のキープレーヤーだったという輝かしい経歴を持つ人物です。

2016年に『The Bamboo Bar』へやってきた彼は、地産地消の観点から、タイのフレッシュな食材をカクテルに使うことに決めて実行。

その美しく実験的なカクテルが大きな話題になり、「アジアのベストバー50」ランキング34位から大幅アップ。2019年度はなんと8位に上昇しました。

シグネチャーカクテル(看板メニュー)は「コンパス」と名付けられたカクテルシリーズ。タイ北部、東北部、中央部、東部、南部など、それぞれの地域独特の料理や飲み物、ライフスタイルからヒントを得て考案されたというもの。

たとえば「Aggy Aggy」というカクテルは、タイ東北部・ナコンラチャシマーの自然をイメージしたもの。ジンにスイカ、サラというフルーツ、バジルをミックスした口当たりの良いスウィートな味わいは日本人ゲストに人気なのだとか。

その他にもレモングラス、ココナッツ、ひまわりの種、桑の葉、カシューナッツ、もち米など、豊かなタイの大地の恵みを活用した、新鮮なカクテルが多数揃います。

創業当時からのオリジナルのソファでくつろぎながら、『The Bamboo Bar』の歴史に思いを馳せつつ、美酒に酔いしれてみてはいかがでしょう。

『The Bamboo Bar』
住所: 48 Oriental Avenue,Bangkok
営業時間: 17:00〜24:30(金・土曜は25:00まで)
定休日: なし
電話番号: 02-659-9000
URL: https://www.mandarinoriental.com/bangkok/chao-phraya-river/fine-dining/bars/the-bamboo-bar

バンコクナイトライフシーンの伝説的人物がつくり出す、大人のバー『Smalls』

続いてご紹介するのは、2019年度「アジアのベストバー50」の42位にランクインした『Smalls』。現在のバンコクのナイトライフに欠かすことができない人気バーのひとつです。

「良い会話、良い飲み物、良いインテリア、そしてアート……。これらを飲み込む居心地のいい場所をつくりたい」

2014年、そんな想いに駆られたバンコクの伝説的老舗クラブ『Q BAR』の元オーナー、David Jacobson(デヴィッド・ジェイコブソン)氏が、バンコクきってのビジネス街であり歓楽街のシーロム地区からほど近い静かな通りにオープンさせました。

1960年代につくられたレトロな建物をリノベーションし、ヴィンテージ家具が置かれた趣あるバーの店内には、どこか風変わりなアートや写真がいたるところに飾られています。

これらはデヴィッド氏のコレクションや、バンコク在住のアーティストによるものだそう。妖しげな赤いライトのなかで照らされて、不思議な魅力を生み出しています。

『Smalls』では、画家のフィンセント・ファン・ゴッホや、詩人のポール・ヴェルレーヌ、小説家・太宰治など偉大な芸術家たちが魅了された「禁断のお酒」とも言われる薬草系リキュール「アブサン」が楽しめることでも有名。

ショットで、またはアブサンを注いだグラスの上に角砂糖を乗せたスプーンを置き、角砂糖の上から水を垂らしていただくという伝統的な飲み方で楽しみましょう。

そのほかにもシグネチャーカクテルや、シングルモルトウィスキーなど、お酒好きにはたまらないセレクションが揃っています。

音楽へのこだわりも魅力のひとつ。毎週水曜日はジャズバンドによる生演奏が行われ、それ以外の曜日はレギュラーDJがハウス、ジャズ、ファンクなどをメインにプレイします。メインストリームの流行りの音楽とはまた違った、芯のある音楽にぜひ耳を傾けてください。

無国籍な雰囲気のインテリアによる居心地のいい空間のなかで、素晴らしい音楽を聴きながらいただくお酒と食事のなんとも美味しいことったら! また、吹き抜ける風が心地いい3階のルーフトップスペースは開放感抜群。ついつい長居してしまうことは間違いないでしょう。

『Smalls』
住所: 186,3-4 Suang Phlu1 Alley,Khwaeng Thung Maha Mek,Khet Sathon,Bangkok
営業時間: 19:00〜26:00
定休日: 火曜
電話番号: 095-786-2804
URL: https://www.facebook.com/smallsbkk/

タイ産の素材にこだわったカクテルの深淵な世界『ASIA TODAY』

2019年度「アジアのベストバー50」の48位にランクインしているジン専門バー『Teens of Thailand』のオーナー、Niks Anuman-Rajadhon(通称:ニック)氏が、新たなコンセプトでオープンさせたバー『ASIA TODAY』。

お店があるのは、バンコクのチャイナタウン「ヤワラート」の片隅。個性的なお店が集まっていることで有名なカルチャースポット、ソイ・ナナの一角。

カリグラフが描かれた業務用冷蔵庫のようなドアに一瞬戸惑いますが、思い切って開けて足を踏み入れてみましょう。すると、そこに広がっていたのは怪しげなピンクの照明の中に浮き上がるカウンターバーと、「This bar is better than Teens of Thailand」という遊びゴコロいっぱいのネオンサイン。そして棚にずらりと並んだラベルが貼られた瓶たち……。

じつはこれ、お酒ではなく、タイ各地の森林で採れた貴重なハニーコレクション。

『ASIA TODAY』のコンセプトは「ノンスーパーマーケット」。自然の蜂の巣から採れたワイルドハニーと、タイ産のカカオのほか、農家から直送されたハーブやフルーツを駆使した、見た目にも鮮やかなカクテルを提供してくれるバーなのです。

自らもハニーハントにも行くというオーナー・Niksさん。手に入れた蜂の巣から蜜を絞り出し、残った蜂の巣から蜜蝋を手づくりするなど、自然の恵みをすべて大切に享受。サスティナビリティーを信条に活動しています。

シグネチャーカクテルの「Eastern Honey」は、お店で手作りしたビーズワックスマグに入った一杯。野生ミツバチの蜂蜜を使い、仕上げにふわふわのハニーフォームを乗せ、レモンのような風味が爽やかな口当たりのいいカクテル。

カカオを使ったメニューでは「Cocoa Shoot」が人気。深みのあるチョコレートバーボンリキュールにジンジャービアをミックスさせ、ほろ苦いココアの風味がクセになりそうな一杯。カカオの実を再利用したカップもとってもキュートです。

蜂の種類、花、場所、環境、年などによって味がまったく違い、同じ味はひとつとしてないというワイルドハニー、そしてカカオの奥深い世界を体験してみませんか?

『ASIA TODAY』
住所: 35 Soi Maitri Chit,Bangkok
営業時間: 19:00〜24:00(金・土は25:00まで)
定休日: 月曜
電話番号: 097-134-4704
URL: https://www.facebook.com/asiatodaybar

バンコク発、クラフトジン蒸留所バー『Iron Balls Distillery』

近年、バンコクで第1号店がオープン後、香港や東京にも上陸し、大きな話題となっているオーストラリア人デザイナーのAshley Sutton(アシュリー・サットン)氏の物語『鉄の妖精』の世界を再現したバー『The Iron Fairies』。

サットン氏がオーナーも務めるこのバーはオープン直後から大人気で、訪れる人々をドラマチックで幻想的な世界へと引き込み続けています。

さて、昨今のクラフトビールに続いてブームになるといわれているのが「クラフトジン」なのですが、2015年よりサットン氏もクラフトジンの製造に乗り出しました。

さまざまな試行錯誤のうえ誕生したのが、南国らしいパイナップルやココナッツをメイン原料に、ジンジャーやシナモン、ジュニパー、レモングラスの風味を添えた、甘くさわやかなオリジナルジン「IRON BALLS」。

そして『Iron Balls Distillery』では、店名からおわかりいただけるとおり、「IRON BALLS」を実際に店内で蒸留しているという驚きのバーなのです。

照明を落とした薄暗い店内は、おとぎ話のなかに出てくる工房のようなファンタジックで不思議な空間。たくさんの鉄製インテリアと、ジンの蒸留器とつながったパイプが張り巡らされる様子が、より一層ドラマチックな世界観を強調しています。

「IRON BALLS」はパイナップルとココナッツを原料としているため、通常のドライジンとはまったく違うトロピカルな味わいが特徴。そのためパイナップルやレモンなど、フルーツと合わせたカクテルに使うのがぴったりなのだとか。

ジンの魅力をたっぷり堪能したい方には、レモンピール、マンゴー、スイートバジルをあしらったフレッシュな一杯、生のパイナップルとシナモンスティックを合わせたビターな一杯、ジンの味そのものが楽しめるジントニックなど、3種のジンセットがおすすめです。

さらに月〜木曜日の20時まではジントニックのみ、Buy1, Get1 Free(一杯注文すればもう一杯サービス)で楽しめます。ヨーロッパでさまざまな賞を受賞しているタイ発のクラフトジン「IRON BALLS」の魅力をぜひ存分に感じてみてください。

『Iron Balls Distillery』
住所: GF,Park Lane Ekkamai,Sukhumvit 63 Rd.,Bangkok
営業時間: 18:00〜25:00
定休日: なし
電話番号: 02-714-2269
URL: https://www.facebook.com/Ironballsdistillery/


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