三清洞(サムチョンドン)は、伝統的な朝鮮様式の家屋・韓屋が密集する北村韓屋村や、景福宮といった有名観光地が近いことから、多くの人々に注目されてきた定番の観光エリア。歴史を感じる路地にはローカルな特色のあるお店が並び、数多くの観光客が連日訪れています。 いっぽうで、伝統的な街並みやお店だけでなく、じつは現代アートギャラリーが密集した最先端アートスポットとしての一面も持っているのがこのエリアの奥深いところ。今回はアート好きの方にオススメしたい「三清洞の散歩コース」をご紹介します。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
アート散歩の前の腹ごしらえは、超有名店『三清洞スジェビ』からスタート
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三清洞の街は、伝統的な韓屋のなかに、いま風のオシャレなカフェ、雑貨屋などが並び、過去と現在が融合したような雰囲気が特徴。散歩しているだけでも楽しめます。
さっそくギャラリーをご紹介したいところですが、歩きまわる前にまずは腹ごしらえということで、韓国人なら誰もが知る「三清洞」の超有名店『三清洞スジェビ』に行ってみましょう。
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地下鉄3号線の安国駅から徒歩で北に約20分。近年、有名なカフェやショップの大型店舗も増えている通称「三清洞カフェ通り」に『三清洞スジェビ』はあります。
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『三清洞スジェビ』は1982年にオープン。三清洞の古顔として37年もの間、人気店として営業しています。大統領官邸からも近いため、歴代の大統領も訪れたお店としても有名です。
食事時になれば、常連客や観光客が大勢集まり、店の前には長い行列が。営業は通しでやっているので、比較的スムーズに入れるお昼過ぎから夕方前の時間帯が狙い目かもしれません。
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『三清洞スジェビ』の定番メニューは、やわらかくてモチモチした食感が絶品の「スジェビ(すいとん)」。
熱い土鍋のなかには、煮干しベースのさっぱりしたスープに、アサリ、キュウリ、ニンジン、ニラ、ジャガイモなどがたっぷり。
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薄くて長めにスライスされた「スジェビ」は、このお店オリジナルのスタイル。コショウと醤油、細かくきざんだ海苔をかけていただきます。
存在感のある大きな「パジョン(ねぎのチヂミ)」や、生のジャガイモをおろして焼いた「カムジャジョン(じゃがいものチヂミ)」も人気メニュー。キムチを添えていただきましょう。
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三清洞スジェビ(サムチョンドンスジェビ) / 삼청동수제비
住所:ソウル特別市鍾路区三清路101-1
電話番号:02-735-2965
営業時間:11:00〜21:00(祝日は休み)
URL:https://samcheongsujeb.modoo.at
庭もカフェもまるごとアート空間『KUKJE GALLERY』
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腹ごしらえをすませたら、本格的なアート巡りのはじまりです。
最初の目的地は、韓国を代表するギャラリーのひとつ『KUKJE GALLERY』。『三清洞スジェビ』を出て三清洞カフェ通りを南に向かって約10分。景福宮の塀に面した大通り(三清路)沿いに『KUKJE GALLERY』があります。
1982年に開廊した『KUKJE GALLERY』は、ヨーゼフ・ボイス、ビル・ヴィオラといった世界的な大物アーティストの展覧会を開催してきただけでなく、世界中の主要なアートフェアにも参加し、韓国のアーティストを海外に紹介する役割も果たしています。
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展示室は、K1、K2、K3と3つの館に分かれていますが、残念ながら取材時はK1が改装工事中(リニューアル後の予定については2019年夏頃発表予定とのこと)。1階のカフェだけが営業していました。
カフェの壁には韓国人アーティスト、ホン・スンヘ(Hong Seung-Hye)の作品が。ホン・スンヘは、90年代からピクセルアートをベースとして「有機的幾何学」というテーマで活躍する韓国人アーティスト。彼女のピクトグラムがカフェ空間に芸出性を吹き込み、販売されているチョコレートにも同作家の作品がプリントされています。
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ホン・スンヘの作品とのコラボしたチョコレート
そんなカフェでコーヒーとチョコレートをいただくと、まるでホン・スンヘの作品のなかに取り込まれてしまったような気分になりました。
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カフェで提供しているチョコレートとカフェラテ
ちなみにギャラリー内だけでなく、庭に生えているように見える木や休憩用の椅子もすべてがアート作品。ギャラリーの敷地内すべてがアートで溢れています。
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ウーゴ・ロンディノーネ『spring moon』 2013〜2014年
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ホン・スンヘ『stool』 2014年
取材時はベルリンを拠点に活動するアーティスト「エルムグリーン&ドラッグセット(Elmegreen & Dragset)」の『Adaptation』展が開催されており、コンセプチュアルな彫刻や絵画作品がK2とK3に展示されていました。
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エルムグリーン&ドラッグセット(Elmegreen & Dragset)『Doubt』 2019年
現代アート好きにには、見逃せない韓国を代表するギャラリー。三清洞まで来たらぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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KUKJE GALLERY / 국제갤러리
住所:ソウル特別市鍾路区三清路54
電話番号:02-735-8449
営業時間:月曜〜土曜10:00〜18:00 日曜・祝日10:00〜17:00
URL:https://www.kukjegallery.com
世界中の大物写真家と専属契約を結ぶ『Gallery K.O.N.G.』
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『KUKJE GALLERY』から景福宮の塀に沿って北に向かって徒歩約7分。大統領官邸の春秋館(チュンチュグァン)のすぐ隣に『Gallery K.O.N.G.』があります。
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『Gallery K.O.N.G.』は2005年に開廊。ジョエル・マイロウィッツ、サンディ・スコグランドなど、海外の大物写真家の展覧会を開催し、韓国の写真界に大きな影響を与えてきました。
現在の場所に移転したのは2010年のこと。近年は写真だけでなく、絵画、彫刻、映像、インスタレーションなどの作品も展示しています。
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取材時には、『Gallery K.O.N.G.』の専属作家であり、世界的な人気を誇る風景写真家マイケル・ケンナの展覧会『KOREA Part 1』が開催中。2005年から2018年まで韓国各地で撮影した風景写真が展示されていました。
『Gallery K.O.N.G.』は、それ以外にもベルナール・フォコン(フランス)、アーウィン・オラフ(オランダ)といった世界的な写真家と専属契約を結んでおり、ハイレベルな展示を定期的に開催しています。
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展示スペースは開放的な空間になっており、ゆったりと作品を鑑賞することができます。このギャラリーでしか見られない、世界的なアーティストの展示が今後も続々予定されているとのことで、毎回来訪が楽しみになりそう。
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『GalleryK.O.N.G.』の専属作家の中には、フランスを拠点に世界的な活動を広げる韓国人の絵画作家であるミン・ジョンヨンも所属。2016年には、ここで個展を開催するなど、韓国の写真好きから支持されるギャラリーの1つです。
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GALLERY K.O.N.G / 공근혜갤러리
住所:ソウル特別市鍾路区三清路7ギル38
電話番号:02-738-7776
営業時間:火曜〜土曜10:30〜18:00 日曜12:00〜18:00 月曜日休廊
若手アーティストと美しい景色とカフェ『COSO』
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『Gallery K.O.N.G.』から、徒歩約10分。『三清洞スジェビ』を超えてさらに進んだ三清洞エリアの奥地に『COSO』があります。
ここはギャラリーといっても、これまでご紹介した2か所のように作品展示だけを目的にしているわけではありません。『COSO』は作品を見ながら、食事やデザート、ドリンクが楽しめるギャラリーカフェなのです。
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ワンオーダー制なので、1階のカフェでドリンクなどを注文したら、グレーの壁と大きな窓が印象的な、4階建ての広い展示スペースへ。
展示スペースでは、1、2か月おきに展覧会を開催しており、その企画はお店のブログで常時募集しているのだとか。
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企画展のほかにも若いアーティストを紹介するアートフェアや、アーティストグッズの販売イベントなどを開催しており、複合文化スペースとしての役割も果たしています。
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今回訪れたときには、韓国人若手アーティスト(キム・ウンジ、ソ・ジヘ、ユ・ジェシク)による3人展『ポイダポダジョン』が行われていました。
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1階から4階までの展示スペースには、ドリンクを飲めるスペースも併設されており、ルーフトップに上がれば、北岳山の美しい景色を望むこともできます。
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カフェの人気メニューはアイスアメリカーノと抹茶ラテ、そしてたまごサンド。苦味のある抹茶ラテとやわらかいたまごサンドに舌鼓を打ちつつ、アートと景色を楽しむことができるのは、『COSO』ならではの体験になるでしょう。
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COSO
住所:ソウル特別市鍾路区三清路135-5
電話番号:02-732-7779
営業時間:火曜〜木曜、日曜12:00〜22:00 金曜、土曜12:00〜23:00(月曜日休廊)
URL:https://www.instagram.com/coso_seoul
シメは伝統建築でクラフトビール『Kiwa Taproom』
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美味しいものを食べ、さまざまなアートスポットを巡った一日の締めくくりにクラフトビールはいかがでしょうか。
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『COSO』から安国駅に向かって15分ほど歩いた『国立現代美術館ソウル館』の裏にある韓屋パブ『Kiwa Taproom』。ここは約100年前に建てられた韓屋のつくりを活かしつつ、ビールパブにリノベーションしたお店です。
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店内は、韓屋のつくりを活かした縁側席や、それに合わせた小さなお膳や座椅子、店名の「kiwa=瓦」を使ったインテリアまで、伝統を感じられる空間でビールを楽しむためのさまざまな工夫がうかがえます。
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主力メニューのクラフトビールは5種類(シアサッカーIPA、グレンチェックアンバーエール、ピンクセゾン、セルビッジポーター、オレンジビアンコ)。
それぞれが各季節をイメージした独自開発のクラフトビールとなっており、5つのブリュワリーと提携して生産しているそうです。少し不思議なビールの名前は、それぞれの季節を代表する布地から名づけられているのだとか。
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左からシアサッカーIPA、グレンチェック・アンバーエール、セルビッジ・ポーター、ピンク・セゾン
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フードメニューには、スーヴィード法で低温調理した豚の肩肉をフムスのディップソースで食べるもの。ベーコン、チーズなどがトッピングされたサラミのロスティ(ジャガイモでつくられるスイス料理)が人気。いずれもビールにピッタリのおつまみです。
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ビールはもちろん、食事もしっかりいただける韓屋パブ『Kiwa Taproom』。夜は韓屋の雰囲気があいまってムードが増して、人気とのことで、夜までゆっくりと過ごすのもいいでしょう。
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Kiwa Taproom
住所:ソウル特別市鍾路区栗谷路1ギル74-7
電話番号:02-733-1825
営業時間:月曜〜金曜16:00〜24:00 土曜・日曜14:00〜24:00
URL:https://www.instagram.com/kiwataproom
三清洞エリアで体験する、アートな一日
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今回紹介した『KUKJE GALLERY』や『GALLERY K.O.N.G』のほかにも三清洞エリアには多くのギャラリーが点在しています。
『KUKJE GALLERY』のすぐ隣には、「古いものから習い、新しいものをつくる」という理念で1988年オープンした老舗の『学古斎ギャラリー』や、海外のアートシーンとの積極的に連携する『ARARIO GALLERY』があり、『GALLERY K.O.N.G』のすぐ隣には『KUKJE GALLERY』の元ディレクター、パク・キョンミ氏が独立してオープンした『PKM Gallery』や『Gallery DOS』などが。
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景福宮や北村韓屋村で定番の観光コースも楽しいですが、その次に訪れたときは、少し足を伸ばして三清洞でアートを存分に楽しむ一日を過ごしてみてはいかがでしょうか?
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